7)総合評価
太陽発電:
太陽光発電を設置するために、森林を伐採しています。
森林を伐採すれば、CO2の吸収量が減ります。
鳥が生息できなくなるので、生態系が変化します。
トータルの環境影響はどうなるのでしょうか。
あるいは、森林伐採は、崖崩れのリスクを高めます。
トータルの環境影響はどうなるのでしょうか。
円安:
円安になれば、ドルで見た実質の賃金が下がります。
人件費が圧縮できます。
企業の円建ての利益があがります。
実質賃金が下がれば、労働者の生活が苦しくなります。
生活が苦しくなれば、婚姻率が下がり、出生数が減少します。
円安のトータルの経済への影響はどうなるのでしょうか。
機能性表示食品:
小林製薬の健康被害問題で、規制緩和によって導入された「機能性表示食品」が被害を拡大させたとの指摘が出ています。
「機能性表示食品」の規制を強化すべきであるという主張があります。
「機能性表示食品」は、医薬品ではありませんので、無ければ、健康が維持できない性質のものではありません。
「機能性表示食品」の規制を強化すれば、それには、より多くの税金を投入する必要があります。
「機能性表示食品」の規制を強化すれば、それは、将来の消費税増税のリスクを増加させ、その結果、経済成長が阻害されます。
将来の経済成長を阻害するリスクを増大させてまで、「機能性表示食品」の規制を強化するメリットはあるのでしょうか。
解雇規制:
年功型雇用では、解雇規制があり、解雇すると裁判で負けます。
その結果、仕事をしない窓際族が増えます。
窓際族の給与は、他の人の働きで稼いでいることになるので、平均給与がさがります。
解雇規制の結果、労働市場がないので、スキルにみあった給与の仕事はありません。
トータルで考えれば、解雇規制は、労働者の賃金を引き下げて、経済的な不利益になっているように見えます。
解雇規制に問題はないのでしょうか。
問題は解雇規制ではなく、退職金や、スキルアップのサポートではないでしょうか。
年金:
厚生労働省のHPには、賦課金方式の年金と積み立て方式の年金について、一長一短であるとかかれていますが、その根拠となるエビデンスは示されていません。
現在の年金は、賦課金方式ですが、既に、賦課金方式の財源は枯渇して、税金が投入されています。
この事実は、賦課金方式の年金は、積み立て方式の年金に比べて、持続可能性がないことを示しています。
賦課金方式の年金は、トータルで考えれば、間違いではないでしょうか。
ルソー流の自然状態を想定して、積み立て方式の年金を考えます。
所得分布が、パレート分布であると仮定します。
これは、上位20%の富裕層、中間60%の中間層、下位20%の貧困層から所得分布が形成されているというモデルです。実際の所得分布は、パレート分布ではありませんが、基本的な年金のアイデアを点検するのであれば、パレート分布で十分です。一般には、富裕層の数は、貧困層の数より少なくなります。
中間60%の中間層は、年金を自分で積み立てて、自分で使うと思われます。
下位20%の貧困層は、年金を自分で積み立てられませんので、富裕層からの所得移転によって、最低限の年金を確保することになります。
上位20%の富裕層は、社会的安定のために、下位20%の貧困層への所得移転に合意します。
おそらく、持続可能な年金は、こんなイメージになっているはずです。
このモデルのポイントは中間層が、「年金を自分で積み立てて、自分で使う」点にあります。
この前提が崩れていると、年金は、持続可能ではなくなります。
現在の年金は、持続可能と言えるのでしょうか。
8)わかったふり
10年で、名目の円の価値が半減しました。
ドル換算の日本の株価は、半額になりました。
日本人の円資産は、ドル換算(基軸通貨)では、半分になりました。
株価があがっても、日本の一人あたりGDPはOECDの最下位に近づいています。
これは、円安を誘導したので、当然の結果です。
金融緩和政策には、出口戦略が無いと指摘されてきました。
このような批判があった場合、自然科学の世界では、エビデンスをもとに説明するルールになっています。
10年前に、政府は、わかったふりをしていました。
政府は、エビデンスをもとに説明できませんでした。
現在、政府は、円安からの出口戦略がありません。
政府は、「行き過ぎた円安」でわかったふりを続けています。
政府は、中抜き経済が持続できると思っているように見えます。
政府は、本当のところ経済学(連立微分方程式)がわかっていないように見えます。
ここ10年、金融緩和は世界的な流行になりました。
経済学を、連立微分方程式で考える限り、経済学に流行はあり得ません。
経済学に流行があると思っている人は、連立微分方程式が理解できない人です。
副作用や波及効果を含めたトータルな政策の効果については、政府は、何も理解していないのではないでしょうか。