ズームレンズとプレミアムレンズという言い方があります。
プレミアムは、premiumは、「品質がよくて高価な,高級な.」という意味なので、プレミアム・ズームレンズという用例も可能ですが、一般には、プレミアムレンズは、単焦点レンズに使います。
ズームレンズは、便利ですが、ズームのすべての画角で、高性能を維持することはできないので、バランスを考えて、妥協してつくります。
ズームレンズの性能は、コンピュータによる試行錯誤の設計のコストダウン、特殊レンズ素材のコストダウン、デジタルカメラになった可能になった電子補正によって、劇的に性能が改善してきました。ミラーレス化は、電子補正を促進しました。
筆者は、これらの条件は、ほぼ出尽くしたと考えています。
この先には、センサーとの連動、フラッシュと連動、マルチショットが考えられますが、インタフェースの標準化が進まないと、マウントの従属の問題を引き起こすと思われます。
MFTは、この問題の例です。マウント規格は公開されていますので、AFには、かろうじて互換性がありますが、手振れ防止には互換性がありません。レンズの絞りリングも、メーカーが異なると使えません。フォーカス合成では、メーカーが限定されるだけでなく、対応レンズも限定されてしまいます。
さて、話を戻します。
ズームレンズの性能は劇的に改善しましたが、単焦点レンズには、勝てません。
ズームレンズは、大きく、広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームに分けられます。
広角ズームを使う人は、広角側の画角を求めているので、広角端の性能を優先した設計になっているはずです。
望遠ズームを使う人は、望遠側の画角を求めているので、望遠端の性能を優先した設計になっているはずです。
ただし、望遠ズームの設計は、コストや、サイズ、重量の制限があり、難しいので、20mmを越えるズームレンズでは、望遠端の画像が劣化することがあります。
標準ズームは、画角50mm前後が重視されていると思われます。
ズームレンズと単焦点レンズを比べた、もうひとつの違いは、周辺の画質です。
レンズを設計するとき、まずは、中央の画質を考えます。
ズームレンズの場合には、ズーム全域で、中央の画質に問題がない条件を確認します。
次に、周辺の画像の改善を検討するはずです。
ズームレンズの中央の画質を、単焦点レンズに近づけることは可能です。
ズームレンズの周辺の画質を、単焦点レンズに近づけることは困難です。
レンズの開発は、センサーサイズが小さい方が容易です。
つまり、センサーサイズが小さいとレンズの中央と周辺の差が近くなります。
センサーサイズが小さくなると、ズームレンズと単焦点レンズの差が小さくなります。
一番画質のよいカメラは、フルサイズセンサーで、大きめの単焦点レンズを使う場合です。
しかし、単焦点レンズでも、サイズを小さくしたり、ズームレンズをつかう場合には、セカンドベストの画質になります。
悩ましいのは、セカンドベストのレンズとカメラの組合せは、一通りではないことです。
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6は、パナソニックが、2008年10月31日に、世界初のミラーレス一眼カメラ、かつマイクロフォーサーズシステム第1号機として出したLUMIX DMC-G1のキットレンズでした。
この時にはズームレンズは、この標準ズームと望遠ズームのLUMIX G VARIO 45-200mm/F4.0-5.6/MEGA O.I.S.の2本だけでした。
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6はキットレンズですが、マイクロフォーサーズシステムの将来をかけて、コストを度外視してつくられました。
LUMIX G VARIO 14-45mm/F3.5-5.6は電子補正レンズの第1号でした。