パナソニックにみるレンズの設計費用(19)50mmのMTF

標準画角の50mmのMTFについて、考えてみます。

 

 

図1が、レファレンスになるCANONのEF-50mmF1.8です。

 

パナソニックの40%ルールで見ると、10㎜より外側は、問題外の画質になりますが、ここに、主題がこなければ、問題がないとう設計思想です。

 

中央の解像度は悪くありませんが、同じ価格帯のEF-28㎜F2.8には及びません。

 

図2は、NIKONの50mmF1.8です。非球面レンズを入れて、CANONよりは、1万円くらい高くなっています。

 

MTFはフラットになり、中央の解像度もあがっています。

 

1万円の価格差の影響もあると思われますが、NIKONの50mmF1.8が、CANONの50mmF1.8を圧倒しているという評判は聞きません。

 

図3は、CANONの新しいRFマウントの50mmF1.8です。

 

NIKONと同じように、非球面レンズをつかっていますが、旧型より価格が上がっています。

 

図2と図3は非常に似ています。

 

図4は。SONYのFE-50mmF1.8です。図1に似ています。

 

パナソニックの40%ルールで見ると、10㎜より外側は、問題外の画質になります。

 

図5は、TTArtistan 50mmF2です。1万円程度の価格ですが、FDレンズを使っているため、MTFはフラットになっています。

 

NIKONの50mmF1.8、CANONのRF-50mmF1.8に負けていません。

 

非球面レンズとFDレンズを投入すれば、MFTが各段によくなることがわかります。

 

シグマは、2023年2月日に、「50mm F1.4 DG DN Art」と「50mm F2 DG DN」を出しています。また、APS-C用には、56㎜F1.4もあります。

 

図6は、50mm F2 DG DNのMTFです。

 

図5に比べれば、全域で、MTFが優れています。

 

とはいえ、差は小さいので、画像を見て、差が判別できるかは不明です。

 

価格差が5倍以上あるので、今後、AFが付けば、ユーザーが、TTArtistanに流れる可能性があります。

 

「50mm F1.4 DG DN Art」は、デジタル補正を前提としないレンズです。

 

大きく、重く、高価になるので、スタジオ以外では、使いにくいと思います。

 

ここでは、コンセプトが違うので比較しません。

 

図7は、Lumix S 50mmF1.8です。

 

定価は、Sigmaより若干安くなっています。

 

MTFは、図6より、若干悪く見えますが、僅差です。

 

このレンズは、300gあり、Sigmaの50mm F2 DG DNの345gと同じランクで、TTArtistan 50mmF"の200gより重くなっています。

 

サイズは、順に、φ73.6x82mm 、φ70.mmx68mm φ60x30mmです。

 

価格は、NIKONCANONの50mmF1.8の2倍程度、サイズも大きいので、あまり評判にはなりません。

 

RF50mm F1.8は、φ69.2mm×40.5mm、160gです。

 

性能とサイズは比例して、次の順になります。

 

RF50mm F1.8 < TTArtistan 50mmF2 < Lumix S 50mmF1.8 < 50mm F2 DG DN

160g       200g                                  300g                                 340g

29千円      12千円         50千円        78千円

 

これから、Lマウントでは、200gで、TTArtistan 50mmF2くらいの性能、3万円くらいの価格のレンズがあれば、売れると思われます。

 

Lumix S 50mmF1.8は、サイズや価格を抑えることより、基本性能に徹した真面目な作りですが、あるユーザーは、「あまり特徴の無いレンズです」と書いています。この評価は、小型のMFTの25mmF1.7 に似ています。

 

50mmF1.4 は大きく、重くなります。

 

50mmF2で、通常はボケ量は十分ですので、サイズを下げて、性能を維持した50mmF2の製品が中心になると思われます。

 

図8は、1980年代のCANONのFDレンズの50mmF1.2です。

 

F1.2の解像度は問題外です。

 

30本の線は、全域で、パナソニックの40%ルールの外にあります。

 

ソニックは、40本の線で見ていますで、完全にアウトです。

 

非球面レンズとFDレンズが安価になったので、現在では、図1や図7のように、周辺に行くとレンズの特性が劣化することはなくなっています。

 

小型のMFTは、レンズの中心を使って、周辺を捨てることで、高い解像度を実現してきました。

 

しかし、図5と図6を見ると、小型のMFTのその利点は、レンズ性能の向上によって、失われつつあります。

 

CANONは以前には、「MFTは、あるレベルを超えていれば、問題がなく、MTFが高いほどよいレンズとは言えない」と説明していました。

 

しかし、最近のレンズは、設計ソフトの向上と非球面レンズとFDレンズの価格低下によって、MTFの改善に進んでいます。

 

昔とは、水準が大きく上がりましたが、MTFは、あるレベルを超えていれば問題はなく、サイズと操作性に優れているのがよいレンズに思われます。

パナソニックMTFの40%ルールは、その一例です。

 

50mmF2のレンズが3万円で購入でき、カメラの価格も、S5IIのように、小型のMTFとフルサイズで差がないのであれば、小型のMFTを使う理由はありません。

 

TTArtistan 50mmF2のマーケット戦略は、この点で合理的です。MTFでわかるように日本メーカーのレンズの方が性能が良いので、今後も、中華レンズより、日本メーカーのレンズが売れると考えるべきではありません。日本メーカーのレンズは、日本製ではありませんし、日本製に意味はありません。

 

図1 CANON EF-50mmF1.8

図2 NIKON 50mmF1.8

 

 

図3 RF-50mmF1.8

図4 SONY 50mmF1.8

 

図5 TTArtistan 50mmF2

 

図6 Sigma 50mmF2

図7 Lumix S 50mmF1.8

図8 FD50mmF1.2L

 

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