遅れていることとと出来ないこと - computer

米紙ワシントン・ポストは8月７日、中国軍のハッカーが防衛機密を扱う日本政府のコンピューターシステムに侵入していたと報じました。米国家安全保障局（ＮＳＡ）が2020年秋に発見し、日本政府に不正アクセスの重大性を警告しています。

元米軍高官は同紙に対し、ハッカーの侵入は「衝撃的なほどひどかった」と語りました。

ハッカーは日本政府のシステムに深く、執拗に侵入し、自衛隊の計画や能力、欠点の評価などを得ようとしていたといいます。

　同紙の報道を受け、浜田防衛相は８日午前の記者会見で、「サイバー攻撃で防衛省が保有する秘密情報が漏えいした事実は確認していない」と述べた。侵入があったかどうかについても、「防衛省・自衛隊の対応能力を明らかにすることになる」として言及を避けています。

しかし、ワシントンポストの元の記事は、次の内容です。

2020年秋頃米国NSAが日本政府へのハッキングを把握。

2020年秋頃米国NSAナカソネ長官とポッティンジャー大統領副補佐官が訪日し日本の防衛大臣と対応を協議。その後首相にも報告。

2021年初頭米国が中国による日本政府のネットワークへの侵入が継続していることを把握、日本政府へ対応支援を提案。

2021年秋頃米国が攻撃の深刻さと日本政府の取り組みがあまり進展がないことを裏付ける情報を入手。

2021年11月15日～17日ニューバーガー米国国家安全保障担当副補佐官が訪日。自衛隊や外交担当者と協議。

つまり、「中国による日本政府のネットワークへの侵入が継続」ていたことになります。

稲村悠氏によれば、2023年に、日本のサイバーセキュリティ対策の司令塔である内閣サイバーセキュリティセンター（NISC）に、外部からの不正アクセスによって5000通のメールやメールアドレスなどが漏えいした可能性があることが判明し、政府内では、攻撃は中国による可能性が高いと見られています。

一田和樹氏は、「NISCの事件については、事件発生から3年経ってからの公開なので別の意図も感じる。さらにプレッシャーをかけるために3年前の事件を公開したのではないかと考えられる」といっています。

稲村悠氏は、次の様に言っています。

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防衛省関係者は、「今になって報道されたそのタイミングに意味があると推察する。日本への警告もしくは日本の背中を後押ししているのではないか」と言う。

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歳川隆雄氏は次のようにいっています。

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サイバー対策強化には、高度な能力を持つ人材が欠かせない。民間からの登用が必要になるが、政府高官は「次官級の待遇でもトップ人材は集まらない」と指摘する。

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ここにある問題構造は、マイナンバーカードと同じです。

マイナンバーカードには、クレームをつける米国NSAがいませんでした。

サイバー対策強化には、クレームをつける米国NSAがいました。

しかし、起こっている事態は同じです。

マイナンバーカードは、サイバー対策強化よりはるかに単純な問題です。

マイナンバーカード問題の解決ができないのであれば、サイバー対策強化はできないと判断することが合理的です。

デジタル庁と同じように、サイバー対策強化の組織を作ればよいという人もいます。

しかし、デジタル庁と同じように、サイバー対策強化の組織は機能しないと考えられます。

引用文献

China hacked Japan’s sensitive defense networks, officials say 2023/08/08 Washignton post Ellen Nakashima

米紙が報じた中国による日本の防衛ネットワークの侵害についてまとめてみた 2023/08/09 piyokango

中国が「日本の最高機密網」侵入の衝撃…3年前の事件が今報じられた裏に“米国の思惑”？

2023/08/11 Diamond Online 稲村悠

台湾有事は近づいているのか？　2023/08/21 Newsweek 一田和樹

中国軍ハッカーが日本の防衛システム侵入と米紙報道、浜田防衛相は「秘密漏えい確認していない」2023/08/08 読売新聞

日本政府により隠された「中国からのハッキング」の衝撃…米国ワシントン・ポスト「スクープ」の真の狙い　2023/08/19 現代ビジネス　歳川隆雄