20mmF1.7について、考えてみます。
良いレンズとは、他のレンズでは、撮影できないような写真が撮れるレンズをさします。
他のレンズでは、撮影できないような写真が撮れても、画像が破綻していれば、問題外になります。
ズームレンズの場合には、画角を変化させると条件が変わるので、基本的に、どの画角でも破綻のない画像を吐き出すレンズを目指します。
クセがあるが、良い画像を吐き出すズームレンズは、作ることが難しくなります。
一方、単焦点レンズであれば、個性的な画像を吐き出すレンズをつくことができます。
単焦点レンズは、ズームレンズに比べて、小型で、F値の小さなレンズを設計しやすくなります。しかし、単焦点レンズの特徴は、それだけではないと思います。
さて、20mmF1.7は、全群繰り出しレンズです。
焦点距離を合わせる場合に、レンズはグループとして移動します。
このために、このレンズは、コンティニアス・オートフォーカスができません。
レンズをグループで移動させれば、レンズ間の位置関係はかわりません。
つまり、レンズ間の位置関係を固定化した上で、ぎりぎりのチューニングが可能になります。
全群繰り出しレンズになると、コンティニアス・オートフォーカスがうまくできません。
富士フィルムのXマウントの交換レンズの第1号のXF35mmF1.4も全群繰り出しレンズで、オートフォーカスがうるさいことで知られています。
つまり、20mmF1.7は、MFTでは、恐らく唯一の全群繰り出しレンズと思われます。
20mmF1.7の描写を決めている特性は、全群繰り出しレンズにあり、その結果、他のレンズでは、撮影できない個性的な写真が撮れます。
20mmF1.7の描写の説明は難しいです。解像度や色収差は、小さいですが、この2点でいえば、より優秀なレンズは他にもあります。
特徴は、コントラストの強さと色のりにあると思いますが、一言で説明できません。
写真1は、20mmF1.7で撮影しています。ボケは弱いですが、ボケていない部分から、次第にボケが大きくなるボケのグラデーションは見事です。
色は、LEICAブランドのように派手にはなりませんが、メリハリは強いです。
写真1のようなグラデーションを他のレンズで再現することは難しいと思います。