労働市場の話 - computer_philosopher’s diary

（労働市場が激動しています）

労働力が不足している企業が、50％を越えているという調査もあります。

しかし、労働市場があれば、労働力の不足は、賃金の上昇になり、賃金が上昇すれば、DX投資が回収できるようになります。つまり、企業は賃金と労働生産性をあげる（DX推進）ことで、少ない労働力をより高い賃金で、雇用するようになります。その結果、日本人の一人当たりGDPが増加します。

一方、今まで、行われてきた政策では、賃金と労働制生産性が上がらないように、非正規雇用の拡大と円安をすすめてきました。さらに、労働生産性の低いゾンビ企業に補助金を配布して、存続を図ってきました。

その結果、労働生産性があがりませんので、労働力は不足することになります。

これに対して、政府は、なし崩しに、外国人労働者拡大に走り、経団連は、政府の受け入れ政策を歓迎し、外国人労働力は頼りになる「外せない戦力」といっています。

ここには、DXによって労働生産性をあげる意図はありません。

また、安い労働力で輸出する製品は、レッドオーシャンなので、先行きは不透明です。恐らく、製品価格は、競合する新興国が参入することで、低下していきます。

これは簡単に言えば、賃金を下げ続けなければ輸出できなくなることを意味しています。

こう考えると、問題は人手不足ではなく、ソンビ企業を存続させるために、膨大なコストを払っていることです。

8月8日の幻冬舎COLD ONLINEには次のような記事が出ていましした。（筆者要約）

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外国人人材のマッチング事業などを手掛ける全研本社は日本企業の経営者などを対象にIT人材についてのアンケートを実施しました。

日本の中小企業の経営者を対象としたアンケート調査によると、新しく採用する外国人のIT人材に「年700万以上800万円未満の賃金を考えている」との回答が最も多かったです。一方で、新しく採用する日本人のIT人材の想定賃金で最も多かった回答は「300万円未満」でした。

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これに対して、Yahooのみんなの意見で、「東京大学教授で、地経学研究所長の鈴木一人氏が次のコメントをつけています。

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日本のIT人材への投資もそうだが、外国人IT人材もその年収で雇えると思っているところが怖い。今や市場はグローバルであり、人材をめぐる競争は激しくなる一方。日本の企業経営者は日本における賃金水準がグローバルに見て、どの程度なのかを意識した賃金体系を採用していくことが求められるだろう。

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筆者は、労働市場が出来なければ、日本経済は回復しないと考えています。

とはいえ、そのような意見はマイナーで、依然として、年功型雇用が可能である、あるいは、ジョブ型雇用を部分的に導入すれば、なんとかなるという考えが主流と思われます。

ジョブ型雇用は労働市場が前提です。給与の査定には、能力の評価が必須です。

これは、現在の日本では、非常に難しいです。

2023年の全英女子で、渋野日向子氏が予選落ちしました。渋野日向子氏は、2019年の全英女子で日本人選手として樋口久子氏以来、42年ぶり2人目の海外メジャー優勝を果たしました。

しかし、2023年の渋野日向子氏の実力は、2019年には及びません。調子がよくないのです。

海外のマスコミは、その年の選手の能力を評価しながら、報道します。

日本のマスコミは、「日本人選手として2人目の海外メジャー優勝者」というブランドで評価して、実力を評価しません。

年功型雇用では、年齢とポストのブランドで評価されます。能力は評価しません。

同じ大学の教授でも、欧米では、給与は5倍くらいは違います。ノーベル賞受賞者でも、最近の業績が振るわなければ、給与はさがります。教授の給与をあげることは簡単にできますが、能力を評価することは簡単にはできません。

最大の課題は、能力評価です。

恐らく、欧米の能力の基準でみれば、日本の企業幹部の半分は、解雇されると思います。

すくなくとも、「外国人のIT人材の年収は700万以上800万円未満で、日本人のIT人材の年収は300万円未満」というような回答をする人は、欧米の企業幹部には、いないと思われます。

引用文献

外国人IT人材に「年収700万～800万円支払う」が最多の一方…。日本人IT人材への“衝撃の想定年収額”【経営者アンケート】　2023/08/08　幻冬舎　COLD ONLINE

経済界、進む外国人労働力頼り「外せない戦力」…政府の受け入れ政策を歓迎 2023/08/09 産経新聞

首相「外国人と共生」発言は事実上の移民政策？　政府の労働者拡大策に強まる懸念　2023/08/09　産経新聞

【全英女子】渋野日向子「ショック大きい」　パッティングに苦戦、105位で予選落ち 2023/08/12 日刊スポーツ