停まっている時間

1)帰納法バイアス

 

政府は、一定の年収を超えると社会保険料などの負担が生じて手取りが減ってしまう「年収の壁」の問題を巡って、賃上げなどに取り組む企業を対象に従業員1人あたり最大50万円の助成金制度を新設する方針を固めました。

 

あるいは、日本の日本の給与所得控除の上限は195万円ですが、フランスの場合は約164.5万円、アメリカは約147.6万円(他の控除も含む)、ドイツは定額約13万円、イギリスはゼロと、かなり低いので、給与所得控除を引き上げる話も出ています。

 

この2つに共通している点は、労働生産性が低く、所得があがらないという問題とは関係がないということです。

 

ドイツや、イギリスでは、低所得者も納税していますが、税収に対する影響は小さいです。これは、少なくとも納税義務を果たすというモラルの問題です。

 

給与所得控除の上限を引き下げると、納税者数は増えますので、今のままだと、納税手続きにかかるコストが増大します。

 

エストニアのように、納税が透明化され、効率化が進めば、給与所得控除の上限を引き下げることは、コスト増加に繋がりません。

 

少額納税を求めるのであれば、電子政府化が先になります。

 

電子政府化が進まない理由は、担当者の能力がないためです。

 

8月7日に、楽天モバイル代表取締役 共同CEO、楽天シンフォニーの代表取締役CEOのタレック・アミン氏が退任しました。

 

楽天は、スマホのシステム構築のために、タレック・アミン氏をCEOに招いていました。

 

電子政府化を進めるのであれば、電子政府化に対応できない職員をクビにして、出来る人を雇えば良い訳です。

 

CEOのようなトップは、エストニア電子政府の開発者をよんでくれば済みます。

 

電子政府化を進める能力がない人が、クビにならず、高給をとって、いすわっています。

 

スキルがあっても、働くポストはありませんので、高度人材は、海外に出稼ぎにいきます。

 

この状態を放置しても、リスキリングする人はいません。

 

つまり、「リスキリングの努力をします」というのは、能力のない人が、ポストにしがみ付くための言い訳にすぎません。

 

DXが進まない、所得が増えない、企業の国際競争力が低下する原因は、能力に合わせて、賃金を支払わないためです。

 

簡単にいえば、労働市場がありません。

 

労働市場がなければ、人手不足がおき、高齢者は再就職できません。

 

これは、「何ができたら、いくらの賃金で雇用できる」という条件が明示できてないことを意味します。

 

定年後再雇用制度は、日本を社会主義化させて、労働市場を壊し、問題を深刻化させます。

 

問題点はたくさんあるのですが、問題をリストアップして解決する人はいません。

 

少子化の問題はわかっているにもかからわず放置され、取返しがつかなくなりました。

 

労働生産性の問題は、スキルに応じて、賃金が支払わなれば解決しません。

 

技術系職員や大学の教員の給与をあげることは問題解決とは関係がありません。

 

高度人材問題は、国際労働市場において、能力に対して、競合企業より、高い賃金を提示することでしか獲得できません。

 

現在より、労働生産性が高くなれば、能力に対して、競合企業より、高い賃金を提示できません。

 

大学教員の給与は、学習した卒業生の賃金を反映します。授業料をはらっても、卒業後短期間で、授業料が回収できるのであれば、授業料は高くとも問題はありません。つまり大学教員の給与が上がるためには、高度人材が高い給与を得られる労働市場が前提になります。

 

現実は、マイナンバーカードが明確に示しています。高いスキルをもった人が、マイナンバーカードを簡単に実用化すれば、クビになる人が出てきます。こうなると、能力のある人を排除する政治活動が盛んになります。政治や企業で、派閥が力をもつようになれば、高度人材は追放されます。高度人材は、派閥活動には関心がありません。GAFAMで働くことをえらぶはずです。

 

民主主義の政党は、派閥ではありません。派閥活動は、問題解決より、利権を優先します。

 

これはいつか来た道です。

 

2023年は終戦から78年になります。

 

結局、敗戦から何も、学んでいないと思います。



2)アブダプションの思考

 

問題解決法は簡単ですし、簡単な方法しかありません。

 

問題解決法は、アブダプションです。

 

これは、結果から原因を探索します。

 

目的(結果)ー>解決法(原因)

 

アブダプションは、複数の仮説を作りますが、仮説の正しさはわかりません。

 

仮説は検証によって、選別されます。

 

こうして、アブダプションと検証を繰り返すことで、次第に、正しい(有効な)仮説に近づくことができます。

 

アブダプションについては、誤解が蔓延しています。

 

特に、帰納法が正しいという間違ったバイアスを持っているひとは、アブダプションを理解できません。

 

問題は、社会保険料などの負担や、給与所得控除の上限ではありません。

 

これらは、因果モデルを形成していません。

 

必要な成果(結果)は労働生産性(所得)の向上です。

 

これはサイエンスの問題です。

 

目的(成果)を正しく設定していませんので、日本は、どんどん貧しくなります。

 

引用文献

 

「日本の会社員の税金は安すぎる」が財務省の本音…岸田政権が「サラリーマン増税」に突き進む根本原因 2023/08/02 Preisent online 山田 真哉

https://president.jp/articles/-/72186?page=1