9)レンズのどこにお金がかかるか
9-1)センサーサイズの復習
一般的なデジタルカメラのセンサーサイズは、以下です。
35mmフルサイズ機用(約36×24mm)
APS-H機用(27.9×18.6mmなど機種により異なります)
APS-C機用(22.3×14.9mmなど機種により異なります)
1/1.8型(約7.18×5.32mm)
1/2.3型(約6.2×4.6mm)
フルサイズと比べたクロップセンサーの面積比は以下になります。
APS-C 38%
イメージサークルの対角線の長さから、APS-Cが50%、フォーサーズ、MTFが、25%のようなイメージを受けますが、APS-Cとフォーサーズ、MTFの差は、1.36倍で、印象より小さいです。
9-2)OM SYSTEM 90mm F3.5 Macro IS PRO
MFTのOM SYSTEM が新しいレンズ「OM SYSTEM 90mm F3.5 Macro IS PRO」を出しました。
「とるなら 写真道楽道中記」は次のように書いています。
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売り出し価格は安いところで166,320円。マイクロフォーサーズ用のマクロレンズとしては非常に高価ですが、今のところミラーレス用の「望遠マクロ」を探すと本レンズ一択となります。フルサイズ用の100mm F2.8 マクロのほうが安かったりしますが、その多くは等倍までで、4/3センサーサイズのクロップに耐えることができる製品は少ないはず。
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OMデジタルが「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」を正式発表 - とるなら 写真道楽道中記
よくMFTのレンズの価格は、システムが小さいので、フルサイズの半額と言われます。
確かに、F2.8の標準ズームレンズについてみれば、この半額が間違っていない気もします。
フルサイズのF2.8 通しの純正の標準ズームレンズの価格は30万円です。
MFTであれば、パナソニックでも、OM SYSTEM でもF2.8 通しの純正の標準ズームレンズの価格は10万円前後です。
しかし、「とるなら 写真道楽道中記」は、MFTの90mm F3.5よりフルサイズの100mm F2.8 マクロの方が安いと言っています。
つまり、ここでは、MFTのレンズの価格は、フルサイズのレンズの価格と同等か、少し高いことになります。
ここでは、面積比は効いてきます。
フルサイズと比べたクロップセンサーの面積比は以下でした。
APS-C 38%
MFTの画素数は、2000万画素です。
同じ密度で換算すると次になります。
フルサイズ 7142万画素
APS-C 2714万画素
「とるなら 写真道楽道中記」が言っていることは、フルサイズの100mm F2.8 マクロは、7142万画素では使えないだろうということです。
つまり、MFTのレンズは、非常に高い解像度が要求される(高い解像度の満足している)という意味になります。
富士フィルムが4000万画素のAPS-Cカメラを出しました。
これは、MFTでは、2947万画素になります。
富士フィルムの今まで発売したレンズの半分は、解像度が不足して、4000万画素が十分な性能を発揮しないことがわかっています。
富士フィルムと同じレベルで考えれば、MFTで3000万画素のセンサーの可能性があります。
一方、MFTでは、ハイレゾショットをサポートしているので、3000万画素のセンサーは不用とも思われます。
ハイレゾショットでは、レンズの解像度がさらに必要になるという扱いをしている人もいます。しかし、ハイレゾショットはセンサーを動かしているだけですから、MFT の3000万画素のような厳しい要求にはなっていない気もします。
9-3)広角ズームの価格
MFTのレンズの価格は、システムが小さいので、フルサイズの半額と言われのは、純正レンズです。フルサイズでも、サイドパーティのレンズであれば、MFTの純正レンズとあまり価格差はありません。
MFTのサイドパーティのレンズの種類は、フルサイズに比べると少ないです。これは、価格が安いので、利益が出にくいのかも知れません。
MTFのようなクロップセンサーでは、フルサイズに比べると、望遠ではシステムが小型になるメリットがあります。
一方、広角では、クロップは画角を出しにくくなります。
MFTのOM SYSTEMのF2.8の望遠ズームレンズとシグマのフルサイズのF2.8の望遠ズームレンズを比べると、シグマの方が価格が安くなっています。
シグマのレンズは、Art(最上位ランク)で、問題のない性能です。
OM SYSTEMのレンズには泣き所があります。逆光耐性が低いのです。
シグマのレンズは、逆光耐性が高いです。
フレームに太陽を入れた場合には、OM SYSTEMは、シグマにかないません。
とくに、ED 7-14mm F2.8 は古いレンズですから、なおさらです。
ED 7-14mm F2.8 は古いレンズで、改良型が出ない理由は、レンズが売れないからです。
レンズの売り上げをみれば、広角ズームは売れないことがわかります。
売れない理由は簡単で、広角では、フレーム選択の自由度がひくいので、何枚かとっても、同じような構図になってしまうからです。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO/14-28mm相当(35mm判換算)
16万円
シグマ 14-24mm F2.8 DG DN | Art
15万円
9-4) XC35mmF2
2020年に富士フィルムが、XC35mmF2を出しました。
換算50mm前後で、F2ですから、フルサイズ50mmF1.8相当のレンズです。
このレンズは、兄弟レンズと光学系が同じで、外装をかえています。
レンズ構成は、6群9枚(非球面レンズ2枚)です。
つまり、レンズのガラスと枠が価格に占める割合は低いことになります。
パナソニックも、同じくらいの価格で、14-42mm / F3.5-5.6 のズームを出しています。
レンズ構成は8群9枚(非球面レンズ4枚/EDレンズ2枚)です。
これは特殊レンズを6枚も使っています。
XC35mmF2
6群9枚(非球面レンズ2枚)
希望小売価格:27,000円(税別)
LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm / F3.5-5.6 ASPH.
レンズ構成は8群9枚(非球面レンズ4枚/EDレンズ2枚)
9-5)まとめ
ここ10年で、レンズの価格が、素材面では下がってきていると思います。
一方では、モデルチェンジができないほど売れない広角ズームは、割高に思われます。
これは、設計費のもとを取るまでは、モデルチェンジしないためかもしれません。