AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VRの色収差

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VRは、2015年7月に発売されたDXレンズ初のナノクリスタルコートがなされたレンズです。

 

D500のキットレンズとして発売されました。

 

2010年以前には、ニコンは、一眼レフの本命はDXであると主張していました。

D300 はDXのフラグシップでした。

 

この主張は、ニコンがフルサイズセンサーへの参入に、キャノンより遅れたことも一因になっています。

 

2010年までは、ニコンのDX(APS-C)のD300で、ビジネスをしているプロのカメラマンも多くいました。

 

こうしたプロは、D400の発売を待っていましたが、D400は発売されませんでした。

 

D500は遅れてきたD400です。

 

DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4は、プロでも満足できる仕様になっています。

 

EDレンズが4枚と非球面レンズ3枚使われています。

 

非球面レンズを複数使うと、設計の自由度は劇的にあがりますが、その分、設計の手間がかかります。

 

その点では、贅沢なレンズです。

 

MTFは、曲がっておらずよく調整されています。

 

解像度は中央は高いですが、周囲に行くにしたがってなだらかに低下します。

 

低下は少なくあまり問題にはならないと思われます。

 

写真1と写真2は、DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4で撮影しています。

 

写真3と写真4は、AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-EDで撮影しています。

 

AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-EDは、2005年11月の発売です。

 

ニコンで、最初の便利ズームでした。

 

EDレンズが2枚と非球面レンズ3枚使われていますので、かなり、手間をかけた設計になっています。

 

MTF曲線は、中央はよい値ですが、周囲に行くと低下し、その傾向は望遠端では大きくなっています。

 

写真3と写真4は、AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-EDで撮影しています。

 

ここでは、大きな軸上色収差が見られます。

 

写真4の右側では、darktableの色収差補正を使っています。

 

色収差はかなり改善されます。

 

軸上色収差は、緑色になることが多いですが、ここでは、黄色になっています。

黄色の色収差は、ペンタックスのフイルム時代のレンズでしか見られませんでした。

 

2本のレンズの色収差は、大きく異なります。

 

この差の原因ですが、便利ズームは画像劣化がやむを得ない部分もありますが、設計時期が10年違いますので、10年の設計技術の進歩が大きいと感じます。

 

軸上色収差のチェックをしているうちに、35㎜フルサイズ換算はどうでもよくなり、物理的なスペックだけが気になっています。

 

AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-EDは、2005年に発売されています。

望遠端が200mmの便利ズームが2005年に出ています。

 

タムロンがこれ以前に、便利ズームを出していましたが、画質に難がありました。

 

DX VR Zoom-Nikkor18-200mm f/3.5-5.6の画質はよいとは言えませんが、使用に耐える範囲です。

 

一方、MFTでは、望遠端200mmの望遠ズームは、2019年 3月22日 発売 のM.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3が最初です。

 

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3 2019年 3月22日 発売 

M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II (I型2010年 6月25日 発売 )

LUMIX G VARIO 14-140mm / F3.5-5.6Ⅱ ASPH. / POWER O.I.S.

LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH. MEGA O.I.S(2011年発売)

 

もちろん、MTFでは、APS-Cに比べて広角端を拡げる必要がありますが、それは、換算画角の発想です。

換算画角を捨てて、MFTは中央トリミングであると割り切れば、ニコンが2005年に出した便利ズームと同じような物理特性のレンズが2019年まで発売されなかったことは不思議です。

 

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3 は、チャートでは、望遠側の解像力の落ち込みが大きくなっています。実写サンプルでは確かにグラフから受ける印象よりもシャープに見えます。レビュアーは、近距離の解像力チャートデータより、実写の方がよいといっています。チャートは、近い距離に固定して撮影した写真で判断するので、遠景にポイントがある望遠端や広角端では、実写とずれが大きくなるようです。

 

便利ズームは、画像劣化しやすいので、MFTでは、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3が出るまで、望遠端を換算200mmの100mmに留めたことは理解できます。

しかし、F2.8 通しの望遠ズームの望遠端を150㎜にする理由は理解できません。

 

MTFはボケにくいと批判されています。F2.8 通しの望遠ズームの望遠端が200㎜になれば、望遠端のボケ量は、フルサイズと同じになります。

 

70-200mmF2.8のようなMFTのレンズがあってもよいと考えますが、実際には発売されていません。

 

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写真1 AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

写真2 AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

 

 

写真3 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED

 

 

写真4 AF-S DX VR Zoom-Nikkor 18-200mm f/3.5-5.6G IF-ED