ETTRとHDR(6)

(6)ペンタックス

 

ペンタックスのカメラのシェアは、とても小さいです。

 

シェアからすれば、いつなくなっても不思議ではありません。

 

ニコンキヤノンが一眼レフから、撤退しましたので、現在、一眼レフを製造しているのは、ペンタックスだけになります。

 

ペンタックスは、リコーに吸収されています。

 

多くのカメラメーカーがコンデジから撤退してきています。

 

リコーは、RICOH GR IIIシリーズの2機種のみを作っています。

 

2023年3月11日の価格.COMのランキングでは、

 

RICOH GR IIIx(26.1mm、35ミリ判換算で約40mm相当)が、3位、RICOH GR III(     18.3mm、35ミリ判換算で約28mm相当)が、6位です。

 

フジフィルムは、XF-10の製造を中止したので、APS-Cセンサーの単焦点レンズのコンデジは、RICOH GR IIIシリーズだけになります。

 

筆者は、ペンタックスのカメラを昔つかっていましたので、現在も古い機種が手元にあります。

 

乗り換えた理由は、自動焦点の性能が悪いこと、サイドパーティのレンズがなく、レンズの選択の幅が狭いことです。

 

逆にいえば、自動焦点が問題にならない風景写真だけを撮影し、お気に入りのレンズがあれば、古いペンタックスで問題ありません。

 

ペンタックスは、唯一、ベースカーブが直線に近くなっています。

 

これは、人物撮影における肌の表現を捨てて、風景写真のダイナミックレンジの確保を優先していことを意味します。

 

RAWで撮影するのであれば、ベースカーブは無視できますが、Jpegで撮影する場合には、これは、他社との差別化になります。

 

ペンタックスは、フイルム時代に、風景写真で売れたメーカーです。

 

デジタルでも、フイルム時代の風景写真のカメラマンの要求に、忠実なスペックになっています。

 

ペンタックスのカメラは、筆者の手元に残っている古いカメラの中で、もっとも古い世代になります。しかし、ペンタックスのカメラでは、風景写真しかとりませんので、古いカメラを使っていても、不満は全くありません。古い機種が長く使えますので、フィルム時代のカメラを思いださせる不思議なスペックです。

 

たまたま、ペンタックスを吸収した会社はリコーでした。

 

古いカメラがいつまでも使えるという点では、リコーのGRIIIも共通したコンセプトです。

 

XF-10を購入したときには、GRIIIと比較して、価格差が大きいので、安価なXF-10を購入しました。

 

仮に、XF-10がなくとも、現時点で、GRIIIを購入するメリットは少ないと考えます。

 

GRIIIは換算27mmF2.8です。

 

APS-CとMFTのセンサーサイズの違いはほとんどないことがわかりましたので、写りは、MFTに、LUMIX G 14mm / F2.5 II(換算28㎜) ASPHを付けた場合と大差がないと思います。少々かさばりますが、パナライカの15mmF1.7をつければ、暗所でも有利になります。

 

カメラのサイズが大きくなりますが、Kiss Mに、EF-M22mm F2 STM(換算35mm)でも、同じような写真が撮れます。この場合には、カメラとレンズのサイズは、GRIIIより一回り大きくなります。

 

GRIIIを購入する人は、カメラを購入するというより、ライフスタイルを購入しているのだと思いますので、マーケットは、ブルーオーシャンだと思います。

 

1)D-range設定

 

白飛び、黒つぶれを押さえる設定ですが、Jpegのみで、RAWでは効果はありません。

 

強度を変えてみましたが、RAWの変化はありませんでした。

 

2)AUTO

 

RAWで撮影できます。

 

3)SCN(シーンモード)

RAWで撮影できます。

例えば、スポーツにすれば、シャッター速度優先で、短いシャッター速度になります。

そう考えると、RAWで保存できて当然ではあります。

 

一方、フィルターは、RAWからJpeg変換の問題なので、RAWで保存する意味がありません。

 

4)カスタムイメージ

 

ペンタックのフィルタ―に相当する機能が、カスタムイメージです。

これは、各RAWに対応した設定になりますので、フジフィルムのフィルムシミュレーションに相当します。

 

カスタムイメージを変更しても、もちろん、RAWで保存できます。

 

パナソニックと異なり、カスタムイメージは、darktableのライトルームには、反映されません。ダークルームに反映されないことは言うまでもありません。

 

しかし、IrfawnViewのプレビューでは、カスタムイメージが、反映されます。

モノクロで撮影した写真は、モノクロのサムネイルになります。

 

なお、RAWの保存形式はDNGです。

 

5)PEFとDNG

 

PEFはペンタックスが専用RAWファイル 、DNGはAdobeが提唱しているRAWです。

 

ペンタックスのレンズ交換式カメラでは、保存方式が選べます。

 

これは、ニコンやキャノンのユーザーに知られていない世界です。

 

ところで、カスタムイメージの撮影テストは、K-01で行いました。

 

多くのペンタキアンが、ペンタックスのカメラでは、RAWの保存形式を、PEFか、DNGが選択できると思っています。

 

しかし、K-01は、PEFをサポートしていません。RAWは、DNGでしか保存できません。

 

今回、この事実を発見して、驚きました。

 

IrfawnViewのプレビューでは、カスタムイメージが、反映されるので、パナソニックと同じように独自のRAW形式のPEFの間違いではないかと思いました。

 

パナソニックのRAW形式をDNGコンバータにかけると、フィルターの効果は削除されます。

 

しかし、ペンタックスでは、DNGで保存しても、IrfawnViewのプレビューでは、カスタムイメージが、反映されます。

 

ペンタックのRAWで、PEFを選択する理由はないようです。

 

田中希美男氏のツイッターの一部を引用します。

 

これは、ペンタキアンに、「PEFとDNGのどちらを使っていますか」と聞いたアンケートの答えです。

 

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PENTAXのRAWファイル記録アンケート(途中ではありますが)、ありがとうございました。予想よりも「PEF」使用が多いのに驚きました。

 

PEFはペンタックス独自のファイル形式です。K10DのころからPEFに加えて汎用タイプのDNG(Adobeが開発)が加わり「二本立て」になりました。

 

 初期のK10Dなどでは「PEFは圧縮RAW、DNGは非圧縮RAW」だった(といわれていますが)現在ではPEFは非圧縮RAWになっているようです。ただしK10Dの使用説明書の撮影可能枚数を見るとPEFもDNGもどちらも同じ数値なので、ほんとうに圧縮PEF・非圧縮DNGだったのかどうか…。


当初は「PEFだけに備わった独自機能を持たせる」との予定だったのですが現在に至るまでなんの進展もなく、結局ファイル内容は「PEF=DNG」の同一のままです。現状ではPEFの「利点」がない(将来的にも希望は極薄い)。むしろ独自ファイル形式のための制限が「欠点」となることもあります。


PENTAXRICOHと一緒になってから多くの機能や表示方法などが統一されるようになりましたが、RAWについてはRICOHは現在のGRシリーズもそうですが一貫してDNGオンリーです。PENTAXシリーズはPEFとDNG併用を続けています。なぜPENTAXRICOHと同じくDNGオンリーにしないのか、そのへんの裏事情は不明。

 

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6)まとめ

 

ペンタックスのカメラには、RAWに変更を与えるダイナミックレンジの変更モードはありません。

シーンモードで、RAWを使っても、全く問題はありません。

 

7)おまけ

 

K-01(16-50mmF2.8)とKiss M(EF-M22mmF2.0)で撮影した写真を載せておきます。

 

RAWですが、EF-M22mmでは、ペンタックスのように色がのりません。

 

RAWの色のりについては、わからないことが多いです。

 

フジフィルムとパナライカは、ノウハウがあるように、感じられます。

 

ペンタックスも、2社ほどう強烈ではなりませんが、ノウハウがあるのかも知れません。

 

写真2は、ヒューシフトをかけています。

 

色のりがどうしても悪い場合、darktableでは、ヒューシフト、カラーゾーン、LUT3Dを使っています。

 

 

 

 

写真1 ペンタックス(左:Aモード、右:シーンモード、風景)

 

写真2 EF-M 22mmF2.0