前回は、Nikonの55-300㎜キットレンズ、Pentaxの55-200mmキットレンズに比べて、Orumpusの75-300mmのレンズ(いずれも新品の実売価格が4万円未満のローエンドのレンズ)の方が色収差が少ないという話でした。
思ったより、盛大に色収差が出るので、もう少し、ローエンドのレンズを調べてみました。
写真1は、EF75-300mm F4-5.6 III USMの300mmF5.6です。カメラは、EOS M3です。ジャンクレンズなので、主題の写りは問題外です。また手ブレ防止がないので、怪しいです。ここでは、色収差を見たいので、ボケに注目すれば、色収差が盛大にでています。
このレンズが、キヤノンの中で最悪のレンズなので、このレンズには近づくなと言う写真家もいます。
200mmを超えるとオートフォーカスは使えず、マニュアルフォーカスになります。
距離が長いと色収差もかなり出るので、75~135mmの間で、F4まで絞れと言われています。
一方、価格が安いので、過酷な条件で、使い捨てと割り切って使用するプロもいるようです。
写真2は、EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STMの200mmF6.7です。カメラは、EOS M3です。流石に、丸ボケは小さいですが、色収差はみられません。
写真3は、PENTAX F Zoom 28-80mm f3.5-4.5(1989年発売)の80mmF4.5です。カメラは、EOS M3です。キットレンズだったので、ジャンク品が出ていますが、これは、もらったものです。
色の強い、くっきりとした濃い描写が好きだという人もいますが、色収差の出方は、盛大を通り越しています。
一般、軸上色収差は、緑色が出ると言われるますが、ここでは、黄色です。
WEBを見ると、Pentaxファンの人は、オールドレンズ好きが多いのですが、色収差を見れば、古いレンズを持ち出す理由はないと言えます。もちろん、今回の中で、「色の強い、くっきりとした濃い描写」であることは間違いありませんが。
写真4は、XC50-230mmF4.5-6.7 OISです。色収差はみられません。
まとめ:
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。
ミレーレス以降の非球面レンズを採用している望遠ズームでは、価格に関係なく、大きな色収差の問題はありません。一方、フィルム時代や、一眼レフのデジタルカメラの時代のローエンドのレンズには色収差がかなりあります。
darktableの色収差補正を使うと、色収差を弱めることはできますが、かなり残ります。
ニコンとキヤノンの純正RAW現像ソフトは、編集結果をJpegだけでなく、RAWでも保存できます。
そこで、色収差だけを、純正RAW現像ソフトで、修正し、修正後のRAWファイルをdarktableで、再現像という手順を考えました。
ためしに、純正RAW現像ソフトで、色収差だけを修正してみたのですが、色収差は消えませんでした。
どうも、色収差については、RAW現像ソフトよりカメラ内のRAWファイル作成時に、補正するのがベストのようです。
引用文献
キヤノンEF75-300mm F4-5.6 III USMは最悪のキヤノンレンズか?
https://www.skyes.co/blog-japanese/is-the-canon-ef-75-300mm-f4-56-iii-usm-the-worst-canon-lens
特集 富士フイルム フジノン XC50-230mmF4.5-6.7 OIS
http://www.monox.jp/digitalcamera-sp-fujifilm-xc50230mm.html
Canon EF-M 55-200mm f/4.5-6.3 STM IS Review / Test - Analysis
https://www.opticallimits.com/canon-eos/1036-canon_m55200_4563?start=1
Fujinon XC 50-230mm f/4.5-6.7 OIS - Review / Lens Test Report - Analysis
https://www.opticallimits.com/fuji_x/880-fuji50230f4567?start=1