(子ども予算倍増は、基本的なスタンスに問題があると考えます)
他の原稿を途中まで書いたのですが、優先順位を入れ替えて、「子ども予算倍増」のことを書きます。
2023年の年始に、政府は、子ども予算を倍増するため、6月に大枠を決めるといっています。
児童手当は、恒久財源を検討するといっています。
「子ども予算倍増」というのは、これから予算手当をしますという話です。
有識者会議のメンバーは、補助金を要請しますが、財源はよろしくというスタンスです。
ここには、優先順位の間違いがあります。
「子ども予算倍増」の前には、防衛費の議論をしていました。
しかし、日本に人がいなくなれば、防衛費があっても意味はありません。
これから、優先順位は、「子ども予算>防衛費」であることがわかります。
筆者は、今の時期に「子ども予算倍増」をしても、少子化問題の解決になるとは考えません。
しかし、今回は、政策の妥当性はひとまず、脇においておきます。
問題は、財源に目途が付く6月まで、半年間対策を先送りする点にあります。
どこの家庭でも、子供ができれば、子供の支出が優先します。
お金の準備が出来るまで、出産しないというのは、異常事態です。
子供ができれば、親は自分の支出を切り詰めて子供に回せば何とかなると考えます。
ところが、現在は、収入が少ないので、結婚しない、子供を作らない人がいます。
これは、尋常ではありません。
1人あたりGDPが増えると、子供の数が減る傾向は世界的に見られます。
しかし、結婚しない、子供を作らないというのは、その範疇を越えています。
少子化対策の優先順位が高いのであれば、2023年度予算から、少子化対策以外の予算を減額して、費用を捻出することはできたはずです。
これは、子供ができれば、親は自分の支出を切り詰めて子供に回すことに対応します。
この程度のことが出来ない親は、子供を育てることが出来ないと思います。
コロナ対策で膨大な予備費を積みあげて、しかも、執行されなかった予算もありました。
東日本大震災では、膨大な復興予算をまかなうために、増税しました。
そのときには、少子化対策の優先順位は低かったのです。
震災復興で、本当に緊急性がある案件は、2,3年で終わります。
コロナ対策で、本当に緊急性が高かった時期も2年程度です。
コロナ対策では、Gotoトラベルなど、産業支援のために膨大な税金がつぎ込まれています。
しかし、産業支援が、少子化対策より優先順位が高いとは思えません。
6か月という時間は、利害関係者という魑魅魍魎が動き出すのに十分な時間です。
6か月後に起こることは、予算の山わけにすぎなくなります。
有効な政策を率先して抵抗なく進めることは不可能になります。
日本は、人口が減って、本来の予算規模は縮小しています。
つまり、予算は毎年減額するのが妥当です。
現在は、国債を発行して増額していますが、これは、持続可能ではありません。
これは、将来の子供が払うことになります。
もちろん、今後、人口が増えれば、毎年の予算を増やせるかもしれません。
そう考えれば、少子化対策以上に優先順位の高いテーマは、ほとんどないはずです。
この話には、続きがあります。
今まで、日本では、少子化対策として外国人の移住が表向きは否定されていました。
そして、裏では、研修生という違法まがいの制度を運用してきました。
これからは、少子化傾向は世界的になります。
日本がかつてのように円高になることは当面は、考えられません。
そうなると、日本人の少子化問題を緩和する外国人労働者は日本にはいなくなります。
これは、農作業、建築現場など今まで、外国人労働者にたよっていた部門が縮小することを意味します。
食料の輸入は増やさざるをえなくなります。食品価格は高騰します。
場合によっては、冷凍食品に見られるような半加工品の輸入が拡大します。
建築現場から外国人労働者がいなくなれば、現場作業を減らすこともできる建築部品の輸入が拡大します。
組み立てはロボットが使えるかも知れませんが、パーツの半加工品は輸入が拡大します。
問題は、日本の輸出競争力が低下しているために、半加工品を輸入する外貨が準備できなくなる可能性が高いことです。
こうした変化の芽は既に見られています。
5年後くらいたつと外貨不足が顕在化すると思います。
そうなったときに、労働生産性の低い企業に補助金をつけたり、コロナ対策の補助金をばら撒いて、ゾンビ企業を淘汰しなかったツケがでてきます。
優先順位は、成人は、ジョブ型雇用で、市場原理で労働生産性をあげること、逆に、子供は、公共財ですから、市場原理に振り回されず、費用を気にせずに学習できる環境を整備することになります。
この2つは、明確に区分する必要があります。