Darktable 新しいスタイルファイル

 

1)darktableのstylefileの課題

 

darktableのstylefileとしては、dtstyle.netとt3mujinpackがよく知られています。

しかし、この2つは、基本的に、ベースカーブモジュールを使った表示参照ワークフローになっています。

 

つまり、darktableの現在のデフォルトのシーン参照ワークフローでは使うべきではありません。

 

となると、使えるstyefileはほぼ皆無です。

 

色合いの変更だけであれば、LUTを使う方法もあります。

 

これは、ベースカーブよりましと思いますが、オーバーレンジの問題を抱えていて、問題なしとは言い切れません。

 

2)マーク・G・アダムスさんのDarktableのスタイル

 

最近、マーク・G・アダムスさんは、シーン参照ワークフローに対応したDarktableのスタイルを作成して、公表しています。





Darktable スタイルの選択 

A selection of Darktable Styles 2022/10/13 マーク・G・アダムス

https://onecameraonelens.com/2022/10/13/a-selection-of-darktable-styles/

 

この中には、次の14種類のスタイルファイルが含まれています。



(1)Autumnal オータム – 風景用。

 

(2)Chrome It!クロームイット!– 一般的な写真撮影(Fujifilm Classic Chrome)

 

(3)Crimson Boost – 画像の赤を強調します。

 

(4)Desaturate彩度を下げる – 一般的な写真

 

(5)Futureist未来主義者 – 晴れた青空のある建築と風景

 

(6)Grey Skies To Blue灰色の空を青く – 灰色の空を青に変えましょう!

 

(7)Magenta Skies – 青空のある風景と建築物

 

(8)Mono Chrome – 一般的なモノクローム写真

 

(9)Mono Infraredish – Landscape(日中の空は暗く、植物や草は白く)モノクローム写真

 

(10)Pastel パステル – 一般的な写真(富士フイルムのカメラ Provia に似た外観)

 

(11)Preety – ビーチと晴れた日 晴れた日

 

(12)Sunset Bliss – 風景の夕焼け

 

(13)Velviatic – 風景、花、建築(富士フイルム Velvia の影響を受けたカラフルなスタイル)

 

(14)Modifierモディファイア

「Magenta Film (Add To Look)」と呼ばれる「フィルム修飾子」スタイルを含めました。これは、上記のメインの 13 の個々の DtStyles の上に追加することも、独自の 14 番目のスタイルとして使用することもできます。スプリット トーニングを追加して、イメージに古いカラー フィルムのような外観を与えます



写真1は、一番最初のオータムを適用した結果です。

左が未処理で、右がオータムの適用です。

 

色が、余りに不自然で、使えないと思われました。

 

スタイルファイルで使っているモジュールは、次の3つです。

 

ローカルコントラスト

カラーバランスRGB

カラーゾーン

 

色が極端になる原因は、カラーゾーンの使いかたにあります。

ローカルコントラストとカラーバランスRGBは殆どの現像では使います。

 

つまり、スタイルファイルといいながら、実態は、カラーゾーンのパラメータだけです。しかも、その設定は強調しすぎで不自然になっています。

 

ということで、筆者は、このスタイルファイルは、使いません。

 

また、カラーゾーンだけであれば、スタイルファイルを使うメリットは少ないです。

 

darktableの設計思想は、出来るだけ少ないモジュールで現像できるソフトを作ることでした。結果的には、新しいモジュールは大型化していますが、モジュールは統廃合され、使用するモジュールの数は減っています。

 

そうなると、スタイルファイルを使うメリットがなくなるので、これからも、スタイルファイルが作成される可能性は低い気もします。

 

スタイルファイルや、カメラのプリセットのフィルタ―は多くの場合、不自然で、使用に耐えないものが多い気がします。

 

筆者は、カラーゾーンを使う場合は、使用がわかるか、わからないレベルに止めます。

より大きく色合いを変えるのであれば、LUTを使います。

 

無料配布や市販のLUTのパラメータも、スタイルファイルと同じで、不自然なものが多いです。

 

この辺りは、好みの問題ですから、読者の中には、マーク・G・アダムスさんのDarktableのスタイルが大好きな人もいると思われます。

 

3)お薦めのLUT

 

以前にも紹介したことがありますが、Stuart SowerbyさんのFuji Film Simulationが秀逸です。

 

Stuart SowerbyさんのFuji Film Simulationのパラメータで、darktableで利用可能な形式は次の2つです。

 

(1)darktabkeのstyle file

(2)LUT(cube)ファイル

 

(2)には、darktableと書かれていませんが、(1)は、ベースカーブモジュールを使っていますので、シーン参照ワークフローでは、(2)を使うべきです。

 

実は、11月29日時点で、Stuart SowerbyさんのHPにはアクセスできなくなっていました。

 

記事を書く都合上、2次配布しているサイトを探してみました。

 

G’micのColor Presetsの中から、Stuart SowerbyさんのLUTをダウンロードすることができます。

 

なお、G’micのColor Presetsの中では、次のような膨大なLUTが公開されています。

いままで、このことに気付きませんでした。

 

これだけ、LUTがあれば、darktableで、色合いの変更について、プリセットパラメータが足りない場合は少ないでしょう。

 

 

    Creative Pack (by RawTherapee)

    PictureFX (by Marc Roovers)

    PIXLS.US (by PIXLS.US contributors)

    Abigail Gonzalez's CLUTs (by Abigail Gonzalez)

    Alex Jordan's CLUTs (by Alex Jordan)

    Berat's CLUTs (by Berat)

    Eric Ellerbrock's CLUTs (by Eric Ellerbrock)

    InAvision's CLUTs (by InAvision)

    J.T. Semple's CLUTs (by J.T. Semple)

    Kyler Holland's CLUTs (by Kyler Holland)

    Ohad Peretz's CLUTs (by Ohad Peretz)

    Shamoon Abbasi's CLUTs (by Shamoon Abbasi)

    Youssef Hossam's CLUTs (by Youssef Hossam)

    Others

    Films: Black and White (by Pat David)

    Films: Instant [Consumer] (by Pat David)

    Films: Instant [Pro] (by Pat David)

    Films: Fuji XTrans III (by Stuart Sowerby)

    Films: Negative [Color] (by Pat David)

    Films: Negative [New] (by Pat David)

    Films: Negative [Old] (by Pat David)

    Films: Print Films (by Juan Melara)

    Films: Slide [Color] (by Pat David)





Stuart SowerbyさんのFuji Film Simulation

https://blog.sowerby.me/fuji-film-simulation-profiles/

 

Color Presets G’mic

https://gmic.eu/color_presets/fujixtransiii_sample_1.html#browse

 

 

写真1