日本と海外の政治家評価の差の疑問~2030年のヒストリアンとビジョナリスト

(日本と海外の政治家評価の差について、説明する専門家を知りません)

 

日本の国会答弁が、ディベートのルールを無視した茶番であることはわかります。

 

国会答弁や霞が関文学とは、意味不明で、中身のない発言の代名詞です。

 

「これから、専門官と協議して、最善の方向を検討します」は、普通に考えれば、「私にはわかりません」の婉曲表現です。わかっていたら、時間稼ぎの中身のないこのような発言をする訳がないからです。

 

2002年度に犬語翻訳機を作りイグノーベル賞平和賞を受賞したバウリンガルもありますし、最近では、京都大学白眉センター特定助教の鈴木俊貴氏が、シジュウカラの言葉を解読したようですが、同じように、国会答弁翻訳機をつくることも可能と思われます。

 

最近の例を、国会答弁翻訳機で考えれば、次になります。

 

(1)インフレ対策に特別給付金を配りました。=>「インフレに乗じて、支給額を減らす予定です」

年金はインフレ補正で、下がっています。

 

(2)男女の賃金格差を公表します。=>「男女の賃金格差は温存するつもりです」フランスは、格差を取り締まり摘発する公的機関を作って大きな効果を上げています。公表にはほとんど効果がないことはわかっています。解決策から目をそらすのは御免です。

 

(3)ウクライナ戦争に伴い、ウクライナを支援し、ロシアとの関係を見直します。=>「ロシアとの経済関係は今後も継続します」天然ガス、石炭の代替供給先を見なおす予定は当面ありません。

 

ここまでは、筆者には、何が起こっているかは、理解できているつもりです。

 

今回の疑問は、こうした政治家の発言は、海外では、どのような評価を受けているかという点です。

 

欧米では、「これから、専門家と協議して、最善の方向を検討します」と言えば、選挙に落選しますので、だれも言いません。ブレグジットの時の英国の政治家を見ればわかります。具体的なロードマップについて、専門家の意見やアドバイスを求めることはありますが、意思決定と責任は、政治家がとります。そうしないと、選挙に勝てないからです。

 

(1)と(2)は日本の国内問題ですから、海外の有権者やマスコミは見るに耐えないと思っても、口を挟むまではないと思っているでしょう。

 

しかし、(3)は、日本の国内問題ではありません。

 

昔に戻れば、天安門事件の対応も同様であったと思われます。

 

もしも、欧米の国内政治家を評価するのと同じ基準で、(3)が評価されていたとすれば、かなり、まずい状態ではないかと思います。



生物多様性条約に対する日本の対応は、条文を読む限り、かなりおかしな、多様性をとり違えた対応になっています。

 

通常であれば、その段階で、クレームが来るのですが、なにしろ、生物多様性条約については、今まで、日本が最大のスポンサーでしたので、お金を出してもらえるのであれば、細かい点は目をつぶろうとか、クレームをつけえて、スポンサーを降りられる方が怖いといった反応があっても、不思議ではありません。

 

しかし、現在では、スポンサーの能力は、日本より中国が上です。

 

さらに、日本は、急速に貿易赤字を拡大しつつあります。

 

こうして、大スポンサーのステータスを失えば、外交で正面切って、正論をぶつけられる可能性が高くなります。

 

今のままでいくと、その時点で、日本の外交が崩壊してしまっても不思議ではありません。

 

金の切れ目が、縁の切れ目で、日本に賛成してくれる国がほとんどなくなる状態です。

 

1998年のソ連の崩壊のときに、ソ連は、同じような課題に遭遇しました。経済力と軍事力では、外交をリードすることが出来なくなったのです。

 

このときに、シュワルナゼとゴルバチョフが、とった方法は、地球環境問題を使って、軍事力と経済力の弱体化を補うという手段でした。この方法は、2000年くらいまでは、外交で一応の成功をおさめました。

 

しかし、資本主義移行に伴う国内経済の疲弊にともないプーチン氏が大統領になり、軍事力優先の外交に先祖返りしてしまいました。

 

今回の戦争で、ロシアの軍備は、1990年以前のレガシーが多いことが暴露されています。

 

つまり、今回の戦争の遠因には、ロシア外交の先祖返りがあります。

 

日本は、現時点では、デジタル経済へのシフトが遅れていること、ビジョンが描けていないことから、これから、日本経済の弱体化は10年はとまらないでしょう。ゴルバチョフのような政治家も見当たりません。

 

ともかく、科学的方法を無視して、霞が関文学を繰り返して、改革は何もしないのですから、なるべくして、経済は沈みつづけます。

 

つまり、日本にも、ソ連崩壊と同じような国際的なステータスの低下がまっています。終戦直後と同じように、優秀な人は、国内では、能力を発揮して働く場がないので、海外を目指すと思われます。これは、ソ連崩壊のときに起こったことです。

 

そのときに、ロシアが、1990年以前のレガシーな軍備に命運をかけたように、日本が、1990年以前のレガシーな製造業に命運をかけるようになる可能性もあると思います。全く、非科学的な夢よもう一度という発想です。

 

最近、新聞には、過去の成功者の成功談が連載されることが多く、どうも、夢よもう一度の視点が強くなっているように感じます。当たり前ですが、ビジネス環境が劇的に変わってしまったので、科学的には、過去の成功談が役にたつ確率はほぼゼロです。筆者は、特に、DXに対しては、有害だと考えています。

 

日本は、過去の成功を過大に評価するバイアスがとても強く、オリンピックの代表でも、現在の実力のある人よりも、過去の金メダリストを再登場させるバイアスが見られます。もちろん、過去の金メダリストは、勝てないのですが、金メダルという権威を離れて、実力を冷静に評価できないのです。同じことを産業界で行うと、レガシーな製造業の復活になり、実質は、DXを遅らせるだけの政策になります。

 

大学で言えば、東京大学が金メダルみたいに権威があることになりますが、インドでは大学に入るところで、倍率が60倍ですから、東京大学の学生の多くは、インドの一流大学の学生にかないません。米国のIT企業で、インド系のCEOが多いのは、単純に優秀だからです。日本のIT企業でも、優秀なインド系の人が働くようにならなければ、国際的に勝負にならないはずですが、こうした議論はなされていません。

 

つまり、日本経済が落ち込んで、外交が崩壊して、1990年以前のレガシーな製造業に命運をかけて、ロシアみたいになる、あまり、想像したくない姿ですが、こうなる可能性もかなりあります。

 

まあ、これは、素人の疑問ですので、外交の専門家が、この点をどう考えているのか、知りたいところです。




引用文献

 

東大の助教を辞め、5年任期の教員に…シジュウカラにすべてを捧げる「小鳥博士」の壮大すぎる野望 2020/05/24 Presodent Online 川内 イオ

https://president.jp/articles/-/57657?page=1