トヨタはK-POP化するのか

2021年1月に、ウーブン・プラネット・ホールディングスが、発足して、今月でちょうど1年になります。

そこで、ウーブン・プラネットの現状を考えてみます。

参考にするのは、K-POPです。J-POPとK-POPを並べると、日本のPOPと韓国のPOPのように見えます。かつて、韓流といって、韓国大衆文化の流行がありましたので、そのイメージも、ちらつきます。

しかし、K-POPは、韓国のPOPではありません。運営会社は韓国にありますが、メンバーは、世界中から募集していて、日本人もいます。

昨年は、大谷翔平氏が活躍して、マスコミに、日本人の大リーガーとして、取り上げられましたが、大リーグは、世界中から、優秀な選手を集めています。

その傾向は、野球よりは、サッカーで、より顕著でしょう。こうした世界では、国籍は、関係ありません。

1年前の2021年1月には、経団連春季労使交渉の企業向け指針で、「ジョブ型」雇用制度の積極的な導入を呼びかけています。

その後、国内では、未だ、ジョブ型雇用の是非の議論が続いています。その状況は、2021/04/07の(独)産業経済研究所の鶴 光太郎氏の記事をみれば、どんな議論が行われているのか、想像がつきます。

ジョブ型雇用の是非が論じられるには、今までの年功型(あるいは、メンバーシップ型)の雇用が成功して、日本経済が成長したという認識があるからだと感じます。

しかし、年功型(あるいは、メンバーシップ型)の雇用が成功したというエビデンスはありません。

高度成長期は、戦後の荒廃の後でしたから、決定的にモノ不足で、何を作っても売れました。その傾向は、朝鮮戦争ベトナム戦争で、増幅されています。

高度成長期は、いい加減にモノをつくっても、ないよりはマシでした。

ホンダがバイクを作った頃には、バイクの会社が200社あったといわれていますが、最終的には、ホンダ、川崎、ヤマハなど数社しか残っていません。

この状況は、最近の中国のEVメーカーの乱立とそっくりです。日本でも、安定した年功型の雇用があった訳ではなく、よりカオスな状態でした。

年功型で、人口の多い若年層の賃金を押さえ、製品価格を安く製造すれば、輸出は伸びます。そうして、輸出を増やして、経済を拡大したとしても、ツケは、後の世代に、先送りされます。

このように、年功型の雇用制度の評価には、問題を先送りした効果を補正して考える必要がありますが、そのようなレポートは見たことがありません。

高度成長期は、見かけの経済は成長していましたが、それは、先送りした問題を見ないからで、その分も補正して考えれば、高度経済成長期は、実は、失敗の歴史であって、その大きな原因は、年功型雇用であったという解釈も可能です。

さて、未だに、ジョブ型、年功型の議論をしていること自体が異常だとおもいますが、話を、ウーブン・プラネットに戻しましょう。

ウーブン・プラネットは、米国のグーグルでエンジニアリングディレクターを務めたジェームス・カフナーが、CEOを勤めていて、グーグルと同じようなジョブ型の組織です。

ウーブン・プラネットの社員は、2022年1月現在で、1400人です。

ウーブン・プラネットの採用情報のHPを見ていただくと、ジョブ型雇用とはどんなものか、一目瞭然です。そこには、募集されているジョブの種類と募集人数が書かれています。

社員の募集は、世界に開かれています。以下に、一部を引用します。


海外からの転職をお考えの方へ

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日本で働くことに興味はありませんか?ウーブン・プラネット・グループメンバーの多様性は私たちの最大の強みのひとつであり、私たちは、世界中から集まる仲間と共に働きたいと思っています。日本への移住について不安に思われている方に向けて、ウーブン・プラネットの仲間として生活の準備をサポートしたいという思いから、スムーズに移住するために必要なことや役立つことをまとめたプレイブックを作りました。知っておくべきことや日本で楽しめることなど、あらゆるトピックをカバーしています。ぜひ安心して日本へお越しください。そして、共に働けることを楽しみしています!


年功型組織とは、素人が活躍する草野球のような組織運営ですから、大リーグのような選抜されたプロのチームとはで、競争になりません。

トヨタでいえば、ウーブン・プラネットは、大リーグと同じジョブ型、その他の組織は、草野球と同じ年功型ですから、差は歴然としています。

あと、1,2年で、ウーブン・プラネットが成功をおさめれば、トヨタ全体の将来の展望は明るくなります。

しかし、それが、社員の雇用を保障するものではないことも確かです。

今後、ウーブン・プラネットがK-POPのように世界中から人材を集めて成功すると、日本の雇用形態にも、劇的な変化が起こるでしょう。

もっとも、今の延長で、J-POPと同じように、なにもしないとうい選択肢を選び続け、世界から退出する可能性もあります。

  • 採用情報 ウーブン・プラネット

https://www.woven-planet.global/jp/careers

  • ジョブ型雇用の誤解を解きほぐす 2021/04/07 (独)産業経済研究所 鶴 光太郎

https://www.rieti.go.jp/jp/special/af/069.html