日本のアフガン退避作戦のことが、頭を離れません。
17日 日本人大使館員12人が英国の軍用機で出国して、23日 首相官邸で国家安全保障会議(NSC)があって、岸信夫防衛相が自衛隊法に基づく自衛隊輸送機の派遣を命令して、25日夜に、最初の輸送機が首都カブールの空港に到着します。加藤勝信官房長官は25日午前の記者会見で、アフガニスタンから出国を希望する日本人や大使館・国際協力機構(JICA)事務所で勤務していた現地採用職員の迅速かつ安全な退避のため、米国はじめ関係国と緊密に連携を取りながら万全の対応で取り組んでいくと述べました。
日本時間の26日夜、退避希望者数百人が20台以上のバスに分乗し首都カブールの空港に向けて出発したものの、空港付近で発生した大規模な爆発により、移動を断念します。
論点を並べてみます。
第1は、タイミングは遅れても、効果が疑わしくなっても、実行することです。フランスのように、8月15日以前に動ければ、展開はちがっていました。
第2は、自衛隊が空港外で行動できないように、実力がないか、発揮できないことです。これは、裸の王様と同じです。
第3は、成果が評価されないことです。成果が出なければ、別の方法を考えなければいけません。これは、成果を評価すると共に、代替プランを準備しておくことになります。この点と第1の論点はセットです。つまり、プランBを実施するか否かは、ある期限までに、情報収集を締めきって、評価をして、プランBに切り替えるかを決めます。このように、タイミングを考えて、危機管理をするのであれば、8月15日のすぐあとで、国家安全保障会議(NSC)を開いて、状況によって、実行する、代替プランを、評価時期を区切って、並べておくべきした。
期限を切って、アウトカムズを評価し、順次、プランを切り変える意思決定方式を、タイムリミット方式の意思決定と呼ぶことにします。
8月16日には、米軍機にしがみついて、墜落する人がでています。24日には、バイデン大統領は、テロの可能性を示唆しています。「自力で、カブール空港に行く」プランAと「準備したバスで、カブール空港に行く」プランBがありました。プランBがいつ作られたかわかりませんが、事前に作られていたのであれば、25日夜に、最初の輸送機に間に合うように、実施されるべきだったことになります。
これは、特異なことを言っている訳ではなく、尖閣諸島などの国境警備では、どこまで、侵入されたら何をするかが決まっているはずです。
ところが、コロナ対策でも、判断条件と代替プランのセットが全く作られていません。これは、アウトカムズ評価がなされないことが常態化している結果です。
どの条件で、緊急事態宣言を出すかは、ガイドラインは、おまけで、根拠のエビデンスのない政治判断により決まります。出された緊急事態宣言の実施内容も、ガイドラインはお飾りで、根拠のない政治判断です。感染者数や、重症患者数を基準にすれば、感染者数も、重症患者数もはるかに少なかった昨年中止したイベントを、今年、実施してよい理由はありません。仮に、判断基準が、死亡者数に変わったのであれば、それを明示しなければなりません。
第4に、効果がないか、効果は期待できなくとも、ひたすら、「かんばります。鋭意努力します」と言い続けます。これは、オオカミ少年です。ここで、タイムリミット方式の意思決定をとらない場合には、オオカミ少年発言をすれば、評価は先送りされますので、時間稼ぎのオオカミ少年発言が最も合理的な行動になります。もちろん、「もうできません」と本当のことを言えば、すぐ、首になりますから、これは、問題解決のための発言ではなく、首つなぎのための発言です。首にならないという点で、極めて、合理的な行動であることは確かです。しかし、死亡者が出ている時点で、首つなぎのための発言が、人道的にどこまで許容されるかは、考える必要があります。
これと裸の王様、つまり、問題可決をする実力がないか、実力発揮できない条件が重なると、時間稼ぎのオオカミ少年が最も合理的な行動になり、ここに、無限ループの裸のオオカミ少年が出来上がります。
これはゲーム理論で考えれば、最適解なので、これから、抜けだすために、必要なことは、タイムリミット方式の意思決定を導入して、ゲームのルールを変えることです。
これができないと、有事に、日本のアフガン退避作戦の失敗が繰り返されます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210827/k10013227601000.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/34363079af01adbbd39ce889027c3d3ab4100c2c
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