5月31日でパナソニックがデジカメのGPSアシストのデータ配布を中止していたことを最近になって知りました。
製品を購入した場合に、サポートサービスが付きます。通常は、1年間の無償保証があり、交換部品の保存期間は7年です。この7年は、交換部品が品切れにならないことを保証しています。7年を過ぎて、全ての部品を廃棄するわけではなく、部品が残っていれば、交換してもらえます。いつ廃棄するかは、企業の判断で、グレーです。
最近では、スマホのGPSの精度が上がったので、コストを下げる意味でも、デジカメにGPSを搭載するケースは減っています。
GSP搭載のデジカメの場合、ネットで、GPSアシストデータをダウンロードして、デジカメに入れると、GPS衛星の検索時間が短縮できます。このデータは、GPS衛星の位置に関する情報を含んでおり、毎週、更新する必要があります。
つまり、メーカーがつぶれて、配布サービスが中止されれば、サポートされなくなります。
パナソニックの業績は、全体によくありません。以前は、総合家電で、家電住宅(パナホーム)で、トータルな家電サービスを売りにしていましたが、家電の制御は、アマゾンのエコーに完全に負けてしまいました。
デジカメ部門の業績は悪く、引用4.によれば、「MBC日興証券の桂竜輔シニアアナリストの推計によると、パナソニックのカメラ事業は20年4~6月期に25億円の赤字だった」そうです。引用5.によれば、2020年9月1日にパナソニック株式会社の半導体事業は、Nuvoton Technology Corporationへ譲渡されています。
引用4.は、「m4/3が、売れなかったのは、センサーが小さく、フルサイズに比べ、ボケが少なく、プロの支持を得られなかったためである」と言っています。同様のことを指摘する人は多いのですが、この説明には、エビデンスがありません。iPhoneで写真や動画をとっているプロもいますから、エビデンスはないといえるでしょう。ぼけの大きさは違いますが、それが、どこまで、販売に影響したかは不明です。
パナソニックは、2018年から、m4/3を中断して、フルサイズのミラーレスデジカメの開発に集中していましたが、2021年5月に、3年ぶりに、m4/3の新機種の発表を行っています。
かって、白物家電が、海外製品に負けて売れなくなったときに、日本の各社は、高級路線にハンドルを切って、自滅しています。高級製品は、売れれば、確実に利益が出ますが、パイが小さいのです。おそらく、フルサイズのミラーレスデジカメの販売台数が伸びなかったのだと思います。家電で、業績が伸びているアイリスオオヤマは、製品を作って、原価に利益を乗せて価格を設定すると売れない。製品ごとに売れる価格帯があり、まず、販売価格を決めて、その中に、ベストのものを組み込んで製品に仕上げるといってます。
表1が、1.のお知らせの関連する中身です。
検索したところ、理由は不明ですが、表2のGPSアシストデータは現在も配布しているようです。
これ以外の機種は、スマホのGPSに対応しているので、GPSアシストデータのダウンロードがほとんどないということなのかもしれません。特に、大きな苦情も出ていないところを見ると、実害の出ている人は少ないと思われます。
とはいえ、現在も現役で販売中の機種の一部機能のサポートを中止することは、尋常ではありません。
表1 お知らせ
サービス終了日: 2021年5月31日(予定)
デジタルカメラ ・Webサービスに画像を送る機能 ・クラウド同期サービスに画像を送る機能 ・宅外のAV機器に画像を送る機能 ・GPSアシスト機能
表2 GPSアシストデータ
引用
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Panasonic製デジタルカメラ/デジタルビデオカメラの一部のWi-Fi機能終了に関するお知らせ 2020/11/16掲載 2021/2/3更新
https://av.jpn.support.panasonic.com/support/info/wifi_info/index.html
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その他、ソフトウェア
https://av.jpn.support.panasonic.com/support/dsc/download/index3.html
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パナソニックのカメラ撤退はあり得るか 2021/05/27 IT media News
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2105/27/news063.html
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https://industrial.panasonic.com/jp/business-transfer-of-semiconductors