ずっと気になっていたのですが、書くことを避けてきた内容があります。
コロナウイルスに対して、学問・学会は、どの程度役に立っているのかという疑問です。
学術会議の任命の問題より、こちらの問題の方が、ずっと、重要だと思いますが、誰も、指摘しません。
今回の緊急事態宣言による経済ダメージが、1兆円に及ぶという指摘があります。しかし、1年前に、同様の計算をして、ワクチン開発に1兆円投じても、緊急事態宣言による経済ダメージを回避できるのであれば、安い出費であるという論陣を張ることが、どうしてできなかったのでしょうか。
今回の緊急事態宣言のコミュニケーションも、うまくいっているとは思えません。行動制限は次第に効かなくなってきています。リスクコミュニケーションの専門知識はどうして生きてこなかったのでしょうか。
別に、この2分野の専門家に問題が集中している訳ではありません。コロナウイルスについては、どの専門分野でも、同じような質問を設定すると、同じような評価になってしまいます。
つまり、学問や学会は、一般国民からは見えなくなっています。
対象があまりに膨大なので、今まで、書くことをやめていました。
最近の冷泉彰彦氏のコラムでは、「感染症の専門家が、理不尽な攻撃に晒される」と「感染症以外の分野に関する専門知識が十分に流通しない」という問題点があると指摘しています。
これを見て、今回、書いてみる気がした訳です。
恐らく、この問題は、特定の学問・学会に固有の問題ではないので、根が深いのではないかと思います。半分は、政治の問題かもしれませんが、半分は、学問・学会の問題のようにも感じます。
政治家と感染症の専門家はツイッターを使っていますが、他の学会では使用例が少ない気がします。学会誌や論文集だけでは、十分なコミュニケーションがとれているとは言えないと思います。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2021/05/post-1227.php