コロナウイルスの最近の対策～コロナウイルスのデータサイエンス（２３６）

8月20日から、静岡・京都など新たに７府県に、緊急事態宣言を出すことが決まったようです。

これだけ、陽性率が高ければ、緊急事態宣言を出しても、経済にダメージを与えるだけで、感染は収まらないことが考えられます。緊急事態宣言の効果が出るまでに2週間のタイムラグがあります。東京都の緊急事態宣言は、7月12日から8月31日です。神奈川県は、8月2日から、8月31日です。最近の東京都の陽性率は24％、神奈川県は35％です。現在までの陽性率の上昇を見れば、効果があるというエビデンスは認められません。なお、東京都と神奈川県の緊急事態宣言の期間を調べようと、NHKの特設サイトをチェックしましたが、そこにあるデータは、現在の発令状況だけで、過去のデータはありませでした。つまり、緊急であるはずが、頻繁に、小出しにしているために、特設サイトからデータが落ちています。現在の東京都と神奈川県の緊急事態宣言が、いつから始まったか答えられる人は少ないのではないでしょうか。飲食店は、時間外営業をすると罰金があるので、緊急事態宣言に注意しますが、それ以外の人の意識には、のぼらなくなっています。

ワクチン接種証明があれば、飲食店も利用可能にするなど、緊急事態宣言以外の方法は、いろいろ考えられますが、何もしないで、効果のなくなった緊急事態宣言だけに、頼るのは、理解できません。

8月15日の記事に、つぎのように書きました。

8月第２週の東京都の感染者数のまとめ～コロナウイルスのデータサイエンス（２３５） 2021/08/15

2021/08/14のニューズウィークに、菅首相へのインタビューがあり、「今後、日本の経済政策の優先順位は」という問に、菅首相が、「リモートワークや遠隔医療を拡大して、オンラインで医療サービスを受けられるようにする」と言っているのを見て、びっくりしました。米国では、コロナウイルスを契機に、遠隔医療に既に、シフトしてしまって、元に戻すか、このまま続けるかの議論が進んでいます。日本では、コロナウイルスの自宅療養の場合には、保健所からので電話で対応していますが、人手不足で、増員していますから、医療知識は、ボット以下と思われます。反対勢力がある訳ですから、コロナのパンデミックの時に、できなかったことが、後でできるとは思えません。

この記事は、「夏季オリンピック開催中の東京で、菅義偉首相がニューズウィーク米国版の独占インタビューにZoomで応じた」そうなので、インタビューは8月8日まえです。2021/08/13の JIJIは次のように伝えています。

東京都医師会は１３日の記者会見で、新型コロナウイルスに感染した自宅療養者への対応を強化するため、都内全域でオンライン診療や２４時間の見守り体制を導入すると発表した。

オンライン診療では、保健所などが必要と判断した自宅療養者にアクセス方法を伝え、受診してもらう。２４時間の見守り体制では、地区の医師会や在宅医療を専門とする医療機関が電話やオンライン、訪問により、自宅療養者の健康観察や診療に当たる。

これを受けても、「遠隔医療」は医師会まかせで、依然として、緊急事態宣言1本です。

2021/08/15のJIJIは、「東京都は１５日、新型コロナウイルス感染者の急増を受け、濃厚接触者を特定する積極的疫学調査を縮小するよう、都内の各保健所に通知を出したことを明らかにした」と伝えています。つまり、陽性率を抑える目標は放棄したことになります。

現在、感染者数が多いのは、沖縄県と東京都です。

8月14日には、沖縄県は、直近1週間の人口10万人当たり新規感染者は279.74とワースト記録を更新しています。特に、宮古島市は367.96と急激に悪化しています。都道府県別の2位は東京です。

曜日によるばらつきはおおきいですが、高どまりと言えます。

現在の枠組みでは、緊急事態宣言を出してしまうと、その先の手段はありません。

つまり、緊急事態宣言自体が最終目的化しています。

コロナウイルスを抑えることが目的であれば、指標を見ながら、コントローラを調整する必要があります。

そのプロトコルは明らかにされていません。制御不能といわれていますが、緊急事態宣言が効かないのであれば、コントローラを追加しなければ、制御するつもりがあるとは思われません。