ジョブ型雇用とは何か

1)シェリル・サンドバーグ氏の場合

 

ジョブ型雇用のイメージをつかむために、シェリル・サンドバーグ氏の場合を参照します。



1987年、ハーバード大学に入学。

1991年に経済学部の首席で卒業し、ジョン・H・ウィリアムズ賞を授与。

学位論文のアドバイザーは、ローレンス・サマーズ氏。

1991年 サマーズ氏はサンドバーグ氏を世界銀行で彼の研究助手として採用。

世界銀行で、1年間、インドの公共衛生にかかわる仕事をする。

1993年 ハーバード・ビジネス・スクールに入学。

1995年 最高成績で経営学修士を取得。

1995年ー1996年 マッキンゼー・アンド・カンパニー経営コンサルタントとして働く。

1996年ー2001年、財務長官チーフのラリー・サマーズ氏のもと職員として再び働く。

アジア通貨危機の際に発展途上国の負債を免除する国務長官の仕事をサポート。

2001年に彼女はGoogleに移籍。

2001年11月ー2008年3月 グローバルオンラインセールス&オペレーションズの副社長。

2008年3月 Facebookは、サンドバーグ氏をGoogleより引き抜き、COOとして雇う。

2022年6月、同年秋にFacebook最高執行責任者を退任。退任後も取締役。 



マッキンゼーは1年、Googleは、6年5か月、Facebookは、14年3か月です。

ただし、Facebookは、当初は5年契約の予定でした。

2015年5月に、配偶者のゴールドバーグ氏が亡くなったことが、予定が伸びた原因であると言われています。

サンドバーグが2015年中にFacebookを退任していれば、7年程度で次のポストに移動していたことになります。

 

2)ジョブ型雇用のイメージ

 

(1)大学の成績

 

大学の成績は、就職先のポストや給与に結びつきます。

大学の教員もローレンス・サマーズのように、実業界と行き来しています。

企業は、大学のカリキュラムと成績には、実務に役立つ価値があると考えています。

 

(2)ジョブローテ―ション



Facebookでは、サンドバーグ氏が明確なビジョンを描いたことで、投資家からの資金調達ができたと言われています。

 

日本では、欧米に遅れているから追いつくべきという主張が多いですが、IT業界では、同じサービスをしても、後発の企業が、先発の企業に追いつくことはありません。

 

後発の企業が、先発の企業に追いつくには、先発の企業には、ないサービスを提供することで、競争優位になれるというビジョンが必要です。これがないと、投資家から資金調達はできません。



サンドバーグ氏の場合、Facebookは例外ですが、基本的には、最長でも7年、短ければ1年で、ジョブを変わります。

 

サンドバーグ氏は、GoogleFacebookを渡り歩いています。

 

結果的には、この2社は、成長しました。

 

しかし、新興企業ですから、つぶれるリスクはありました。



ここで、ローテーションの期間を5年、企業が失敗するリスクを30%とします。

 

5年後に、企業が成長して、生き残っている確率は70%です。

 

10年かけて2つの企業で働けば、2つとも失敗する確率は、9%です。

 

15年かけて3つ企業で働けば、3つとも失敗する確率は、3%です。

 

つまり、ジョブローテションは、ベンチャービジネスには、必須の安全弁です。

 

15年かけた、2つの企業が失敗しても、残りの1つの企業の所得が、失われた10年をカバー出来るだけ、高ければ、ベンチャービジネスで働くリスクは減ります。

 

コンサルティング各社は、顧客企業が新しい分野に進出し、いち早く安定した業務の運営体制を確立するために必要な方法論を提供するビジネスモデルを開発しました。

 

IT企業の成長が止まって、ッキンゼー、アクセンチュアは大規模リストラに追い込まれています。

 

しかし、5年のローテーションで、考えれば、コンサルティング各社は、新しいビジネスモデルで、5年以上の期間、利益を出して言いますので、切り替えの時期になっていることがわかります。

 

ここで、クビになったら大変だと考えるのは、年功型雇用に洗脳されています。

 

クビにならなくとも、コンサルティング各社お成長は止まっていますので、より高い成長の見込める企業に転職すべきです。

 

ベンチャービジネスはリスクはありますが、10年程度成長の高い企業で働けは、一生困らないだけの資金ができます。

 

科学者になった場合、誰もやっていない新しい実験をした場合、成功する確率は極めて低いです。

だからといって、科学者は、自分の職業がギャンブル性が高いとは思いません。

 

実験を数百繰り返しても、全ての実験が失敗する確率はゼロではありません。

 

しかし、統計的には、その確率は無視できるくらい小さいです。

 

3)プロジェクトの成功率



新規プロジェクトの成功率は30%と言われています。

 

ベンチャー企業は、複数のプロジェクトを進め、失敗したプロジェクトからは撤退を繰り返します。

 

これは、科学者が、失敗を恐れず、成功するまで、次々と実験を繰り返す過程に対応しています。

 

上記で、「5年後に、企業が成長して、生き残っている確率は70%」と書きましたが、これは、企業の生き残り確率であって、プリジェクトの成功率ははるかに低くなります。



4)年功型雇用の闇

 

年功型雇用を基準にした給与では高度人材は、獲得できません。

 

年功型雇用では、若年者の給与が増えませんでの、出生率は上がりません。

 

日本企業は、失敗確率の高いプロジェクトを避けています。

 

TSMCのモリス・チャンは、新しいビジネスモデルのビジョンを作りました。

 

これは、前人未到の領域です。

 

失敗確率はかなり高かったはずです。

 

失敗したらやり直せる条件でなければ、イノベーションは起きません。