コロナウイルスのデータを(1)どのように取りまとめるか(これは過去のデータの整理)、そして、(2)どのように将来予測をするのか、さらに、(3)その結果をどのように伝達するかは重要な課題です。
残りは(3)のコロナウイルスのデータのとりまとめ結果と将来予測結果をどのように伝達するかを考えることにします。
ところで、正しいことをわかりやすく伝えるという視点は、ポストトゥルース時代以前の視点です。
ポストトゥルース時代には、それ以前に間違った情報の洪水をどうして止めるのかが問題になっているので、ここから検討を始めます。
ツイッターとフェースブック
トランプ大統領が選挙対策で、ツィッターとフェースブックにポストトゥルースを書きまくっていたことは広く知られています。前回の選挙では、トランプ陣営からフェースブックにお金が流れ、そのために、フェースブックは見て見ないふりをしたともいわれています。
一方、中国などの軍の情報部隊は、ハッキングしたり、意図的に、変更した情報を流して、場合によっては、外国の選挙に介入して、政権に中国の利益になる人物を当選させるように工作しているともいわれます。
なので、最近では、こうした間違った情報を流すことは、やめるべきであるという風潮が強くなり、ツイッターやフェースブックが対策をしなければ、批判に耐えられなくなってきています。
たとえば、トランプ大統領の投稿に対して、投稿がある点で大きなバイアスがかかっているので、そのことを承知したうえで読むようにといった付箋を付けたり、海外からのサイバー攻撃の一部とみなされるような問題が多い投稿は削除しているようでです。
国内のポストトゥルース
同様な問題は、日本国内にもあるのですが、まったく、対策がなされていません。
リテラシーが低くて、間違っていることが自体が理解できないのか、わかっていても放置しているのかは不明ですが、国内では、ポストトゥルース対策自体が問題になっていません。
例をあげてみます。
ホリエモン新党問題
東京地知事選にホリエモン新党から3名が立候補しています。この政党はホリエモンとは関係がないらしいです。3名立候補しても、都知事は1名ですので、3名が当選することはありません。1名が本命で、2名はダミーです。3名が連続して、立候補手続きをすると、ポスターでは、連続した3つの枠をとることができます。この3つの枠を、ダミー、本命、ダミーの順につかい、ダミーのところには、立候補者の写真ではなく、ホリエモンの写真をつかっています。つまり、この政党は、ホリエモンの支持をうけているというポストトゥルースをねらっているわけです。これに対する選挙管理委員会の対応は、ポスターに、立候補者の写真をはらなければならないという規定はないので、選挙違反ではないので何もしないというものです。この選挙管理委員会は、、ツィッターとフェースブックから始まっているポストトゥルース問題を理解していません。
年金の増額問題
国家財政が厳しく、特に、年金に対する支出は大きな割合をしめ、更に、今後増額すると予想されるため、その抑制が大きな課題です。これに対しては、物価変動スライドが導入されています。これは、デフレとインフレに分かれています。デフレの場合には、物価が下がれば、そのに合わせて、支給額を減じます。しかし、これは、名目の支給額が減るため、今まで実施されていません。インフレの場合には、インフレに応じて支給額を増やすのですが、この時に、支給額の増加率をインフレ率より小さくするルールが導入されています。つまり、名目の支給額は増えますが、実質の支給額は減って、そのことで財政負担を減らす仕組みです。最近は、インフレでこの調整が行われました。
ラジオのNHKの政党対談を聞いていたら、自民党の代表が、アベノミクスによって経済が活性化したので、年金の支給額が増えた。これは、アベノミクスの成果だと強調していました。かし、これは、実質は減額なので、ポストトゥルースです。政権に対する忖度かもしれませんが、NHKはポストトゥルースに対して何ら対策をしていないのです。税金が補助金で入っている分だけ、フェースブックよりたちが悪いと思います。
予算配分のポストトゥルース
選挙の時期になってきたので、予算の配分がテーマになってきました。この扱いも問題が多いです。たとえば、ポスト5G対策に政府は予算を600億円つけたという記事が最近ありました。IT企業の研究開発費は1社で年間1兆円を超えています。これは、米国の企業だけでなく、中国の企業も同じです。600億円はおそらく一つのプロジェクトの予算としても決して大きくないと思われます。国内では、これをさらに配分する訳ですから、効果はほぼゼロです。現在の政策は、効果はゼロなのにやっているふりをしているものが多数あります。
IT化に必要なことは、利用できる公開データを増やすことです。マイナンバーカードに全ての銀行口座をリンクさせる法案がとん挫しました。全ての口座をリンクされると困るのは、違法行為をしているおお金持ちと仕事がなくなる税務署だけです。庶民にとっては問題より、メリットがはるかに大きいです。日本国憲法は、公共の福祉が私権に優先することを明記しています。しかし、これは、実際には守られません。過去の大きな間違いは地価問題で、地価の上昇分は私権として所有者がほぼ100%取得していたことです。これは、国際的にはあまり例がありません。上昇分のかなりの部分を自治体が収得するのが普通です。そうしないと土地バブルが起こったり、景観破壊がなされて、街が壊れてしまいます。しかし、地価上昇分が政治家の収入源となり、私権の制限ができず、その結果土地バブルになりました。銀行はそれまで、土地を担保に融資をしてきたので、企業を評価して投資することができません。バブル崩壊から30年経ちますが、未だに、銀行のお勧め商品は海外の会社が開発した投資商品でデータをあつめてリスク評価をすることができません。証券会社も同じです。
21世紀は情報がお金になる時代です。お金を流通させるより情報を流通させることが重要です。プロバイダーが出てきたときに、米国は、問題のあるデータは後で処理して削除することで対応ができるようにしました。日本は、事前にチェックして全て、著作権や肖像権の問題がないことを確認するまでアップできなくしました。その結果、国内では、裁判リスクを考えるとデータを掲載したサイトの運営ができなくなりました。現在のビッグデータは、Googleのように、サイトにアクセスした情報によっています。現在、国内には、こうした検索データが自動的に蓄積できるサイトはほとんどありません。
東京都知事選では、小池現知事は、日本版のCDCをつくるといっていますが、このサイトで見ているように、これだけデータが公開されていなければ、CDCを作ってもお金のむだです。
21世紀の経済は、情報流通の量で決まります。IT系企業の開発予算をみてもわかるように、予算の大部分は優秀な人の人件費です。箱のものをつくる発想で、看板を付けた建物をつくってもまったく意味がありません。
モノの動きで経済は決まるという考えは、ワシリー・レオンチェフが、1936年にアメリカを対象として作成した産業連関表で初めて数値化されます。日本に入ってきたのは戦後です。もの(材料)の動きが経済の中心であって時には、このモデルはよく当てはまりました。しかし、IT企業が経済を牽引する現在では、このモデルはうまくあてはまりません。お金には、連続条件が成立します。しかし、情報では、連続条件が成り立ちません。たとえば、本を2冊刷った場合には、紙の量は2倍になります。読者の数は2倍になるので、2冊分のお金でうれるでしょう。これをネット配信すると、価値は、読者の数で決まります。読み放題サービスをしても、普通の人は、1日に10冊くらいしか読めません。10万冊が読めますといっても、10万冊分の使用料金かかるわけではありません。こういったことがモデル化された情報経済の産業連関表が発明されるまでには、まだすこし、時間がかかるでしょう。ただし、情報経済においては情報の流れが変化するのであって、ストックは変化しないことがわかります。ネット配信の本は読んでも減りません。ある程度の本質は現在でもわかります。
逆に、IT化などの古い経済のアイデアによる効果のない予算配分が多数行われています。その施策の効果は次の2つで判定できると思います。
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モノ経済の基準:労働生産性をあげることができるか
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情報経済の基準:情報の流れを大きく変えることができるか
まとめ
情報を正確に伝えるには、
など、他の要素も考える必要があります。
今回は、「ポストトゥルースの排除」だけを考えました。