感染率と免疫の現状~コロナウィルスのデータサイエンス(78)

抗体検査

6月から抗体検査が始まっています。

ソフトバンクは、抗体検査の結果を発表し、「陽性率0.43%、医療関係者の陽性率は1.79%。その他の陽性率は0.23%」という数字を出しています。

今後、免疫ができたかがチェックのポイントになります。

感染率と抗体検査の陽性率を見ておきます。

抗体検査の陽性率のデータは感染率より、少ないので先にこちらを見ておきます。

感染拡大後の抗体検査で免疫が確認できた人の割合は、10から20%程度です。空母の値、6割は最大値と思われます。

免疫検査

免疫検査でのサンプルの陽性率は、米国の実績では最大で約50%です。WHOは5%をリスク判定のガイドラインにしています。

国内では、陽性率は、監視項目にはないっていませんが、過去の実績をみるとピークは以下になっています。

東京都:31.7%(4月11日)

神奈川県:16.86%(4月12日)

感染率=免疫検査数×陽性率

になるので、免疫検査数(または、人口に対する検査率)を無視して、論じても意味がないという議論がでてきます。

そこで、問題になるのが、感染率と抗体免疫率の関係になります。免疫検査の精度もあまり高くはありませんが、抗体検査は更に精度が落ちるといわれています。ですので、統一的な見解はありません。

ただし、数字のオーダーを抑えておくことは重要と思います。

米国の感染者数は200万人を超えました。2019年の推定人口は329,064,900人です。人口の1%は329万人です。ですから、0.6%くらいです。抗体検査の免疫率は、感染の広まった地域では10%はあります。200万人は、感染の広まっていないところも含んでいるので、単純には比較できませんが、感染率と免疫獲得率はオーダーが違います。

329,064,900人の10%は3290万人なります。3290/200=16.45倍の違いです。

日本の感染率は136人/100万人=0.0136%になります。0.43/0.0136=31.62倍となり、その違いは米国より大きくなります。

図1は、国別と、県別の感染率を並べたものです。参考までにソフトバンクの値をいれてありますが、他の値は免疫検査であるのに、これは、抗体検査なので、同列にはあつかえません。

こうして並べてみると、最大の東京都で、388人=0.0388%です。免疫が獲得できている割合が高いと期待はできないかもしれません。

 

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図1 感染率の比較(100万人当たりの感染者数)

出典

ロイター 2020年6月9日

4万4066件を対象に検査を実施し、陽性だったのは191件だった。検査期間は5月12日─6月8日。検査対象のうち5850件が医療関係者で、陽性率は1.79%。その他の3万8216件の陽性率は0.23%だった。

https://jp.reuters.com/article/%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%EF%BC%A7%E3%81%8C4%E4%B8%87%E4%BA%BA%E8%B6%85%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E3%81%AB%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E6%8A%97%E4%BD%93%E6%A4%9C%E6%9F%BB-%E9%99%BD%E6%80%A7%E7%8E%870.43%EF%BC%85-idJPL4N2DM2M7

https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/japan.html

https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/

「サンプル調査の結果、新型コロナウイルスの抗体保有率は首都ロンドンで約17%、英国の他の地域で5%以上であった」

シコラ博士によると、新型コロナウイルスに感染したことがある人の大部分は、抗体検査で陰性と判定される。シコラ博士らが英ラザフォードがんセンターで勤務する医療従事者161名に実施した抗体検査での陽性率は7.5%で、低い抗体陽転率(免疫ができる割合)にとどまった。シコラ博士は「実際に新型コロナウイルスに感染した人の割合は、抗体検査の陽性率よりもずっと高いだろう」との見解を示している。

 

ブルームバーグ 2020年4月28日 4:05 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-27/Q9GHGLDWLU6E01

 

  • 米空母セオドア・ルーズベルトの新型コロナ感染、乗組員6割に抗体確認

ニューズウィーク 2020年6月9日(火)11時05分

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/6-73.php