並木公園でHDR風~つくば市とその周辺の風景写真案内(53)

2種類のHDR

HDRには2種類あります。

  • 第1は、まともなHDRで、これは、ハードウェアのダイナミックレンジを広げて、ソフトもそれに対応する方法です。これには、HDR互換のディスプレイが必要です。KritaやDarktableはHDRに対応しつつあります。この場合には、HDRの画像を作っても見る側がこれに対応していないとHDRで見ることはできません。また、Kritaによると、OSはWindows10だけが対応していて、今のところMacOSLinuxも使えないようです。

  • 第2はFakeのHDRです。これは、Fakeのため、基準がないので、混乱しています。考え方は、露光量を変えた画王を3枚(または、5枚、7枚)準備して、これを合成する時に、通常であれば飛びやすい、黒または白に近い領域を強調した画像を作る方法です。

カメラがHDR専用モードを持っている場合には、モードダイヤルをHDRに合わせてシャッターをおすと、HDR風画像ができるというカメラが最近では多くなっています。この場合には、メモリーカードに残るのは、合成されたJpegだけなので、HDRとしての編集の余地はありません。

次に、HDR用に、ブランケット撮影する場合ですと、合成前の画像が残りますので、HDRとしての編集を加減することが可能になります。ただし、Fakeであるが所以に、統一ルールはありません。

並木公園でHDR

複数画像で、HDR風を試してみます。

撮影の第1の方法は、露光ブランケットを使うことです。ここでは、ブランケットの刻みと枚数の制限があります。

たとえば、刻みは最大で2EV、枚数は3枚といった具合です。一方、フェイクのHDRの合成ソフトでは、刻みは2EV以上で、枚数は最低3枚が必要になります。

撮影の第2の方法は、専用のHDRモードで連射する方法です。対応しているカメラは少ないですが、通常のブランケットより大きな刻み幅と、枚数が指定できるようです。

次に合成です。

こうした露光の異なる複数内数の画像を合成できるソフトは限られています。アドビのソフト以外ではキャノンのDPPが対応しています。写真1はDPPで並木公園を編集しました。

darktableには、HDR風の機能はありません。darktableのHDRは複数のRAW画像を合成して、HDRのDNG画像を作ることができます。本当のHDRになります。あとは、編集でHDR風にするだけです。ここでの編集はトーンカーズをきかせることです。これは、フィルミックRGBでは使ってはいけない機能を、頑張って使うことになります。この部分はフェイクのHDRですから、darktableにプリセットがないとクレームをつけてはいけません。

オリンパスのPL-6は、最大7枚のHDR画像を撮影することができます。刻み幅も3EVとれます。入門機には、あるまじきスペックです。と感心していたら、残念ながら、最近の入門機種では、このHDR機能はなくなり、カメラ内合成になっています。この機能を使ってみました。

撮影上の問題はHDR撮影モードにすると、タイマー設定が出来なくなる点です。写真2では、PL-6でHDRモードで撮影した5枚のRAW画像を合成してHDR画像を作っていますが、明らかに画像がずれています。キャノンのDPPではHDR風合成の時に、ずれを自動調整する機能があるので、少しのずれであれば問題はないのですが、darktableには、その機能はありません。なので、シャッターを押したときのずれが合成画像にでています。PL-6では、リモコンケーブル RM-UC1を準備する必要があります。

 

 

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写真1 HDR風並木公園(DPP)

 

 

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写真2 HDR風並木公園(darktableのHDR合成の失敗例)