昨日の宿題を先にかたづけておきます。
宿題は以下です。
「東京都、新型コロナウイルス新規感染23人確認 39日ぶりに30人を切る」という報道は、感染者数が減ったことを印象づけますが、これも、「ファースト・アンド・スロー」のカーネマンの言葉を引けば、少数の法則で、極端な値の次は、平均に近くなるのが普通です。これを書いているのは、8日の13時ですが、夕方にニュースで確認したいと思います。
東京都の8日の感染者数は、39人で23人を上回りました。カーネマンの言う通りでした。
宿題の答えは、文章だけにしておこうと思ったのですが、Google Reportが更新されていたので、東京都のグラフも更新しておきます。NTTドコモのそうですが、ソフトバンクの吉祥寺駅のデータは変動が大きすぎます。基本、この2社のデータには、次の問題点があり使えないと思います。
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デジタルデータが公開されていない。
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サンプル地点が少なく、人口密集地域を選びすぎているため、ばらつきが大きく、また、行動制限率が過大に推定されている。
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重み付き平均の値が公開されていない。
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おそらく、Googleのように、サンプル点数を増やすと、データ量と計算量が、対数的に増えるので、計算処理のアルゴリズムを分散処理を使ったビッグデータ用に切り替える必要があります。しかし、2社はこれができていません。おそらく、この2社のデータ解析部門は、こうしたビッグテータ処理をする能力がないのだろうと思われます。
Google Report
https://www.google.com/covid19/mobility/ Accessed: <2020・05・9>.
マスク対策
5月4日に、非常事態宣言が月末まで、延びることになりました。首相は、いつものように、要点のわからない発言をしていて、その中に「マスク等の医療器具」を行き届くようにするというのもありました。
政府は、既に前から、マスクの問題を扱っていました。ここで、マスク問題を整理しておきます。
まず、最近のマスク問題を扱っている部署は、次です。
厚生労働省医政局経済課(マスク等物資対策班)
一方、「新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する厚生労働省対策推進本部」(通称コロナ本部)
には、「厚生労働省医薬品等物資班」があります。
この2つの関係はよくわかりません、また、コロナ本部と従来の部課との関係もよくわかりません。
時系列をおいかけると次のようになっています。
スタートは1月28日で、既に、3か月以上たっています。
マスクについては、どの部署が責任を持ち、3か月の間に何をしてきたのかを確認できる情報は公開されていません。
対策の時系列
1月28日 マスクについては1月28日付け厚生労働省医政局経済課事務連絡にて関係業界団体を通じて
増産要請を行い、現在、各社とも24時間体制で増産に当たっています
(新型コロナウイルスに関連した感染症の発生に伴うマスク等の安定供給について、
厚生労働省医政局経済課、事務連絡2月5日記載)
3月10日 「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」
介護施設等に対する布製マスクの配布
衛生マスクの転売禁止及び罰則を定めることを閣議決定、15日施行。
4月1日 アベノマスクの発表
コロナ本部と働き方改革
4月2日のNHKに、コロナ本部の説明がありました。
これは、中央官庁でよく行う組織マネジメントで、特定の課題が重要になってくると、たこ部屋を作って、兼任辞令を発令して、職員を閉じ込めて仕事を強要します。
とはいっても、民間会社とは異なり、公務員は年間予算で動きますので、突発的な事項に対応するお金は基本ゼロです。この場合の、仕事とは次の3つになります。
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ともかく組織にとって都合の良い情報をかき集めて、霞が関文学をつくる。これは、問題解決より、弁明資料作り、アリバイ作りが主体になります。
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行政指導などお金のかからない範囲で民間や大学にお願いする。これは、依頼先に、補助金などで毎年お金が流れている場合は有効な手段ですが、そうでない場合は、気休めのお願いになります。それでもお願いをしたという記録は残るので、免罪符になると考える場合も多いと思います。マスク業界には、補助金があまり流れていなかったと思われます。
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補正予算や次年度予算を増やし、あるいは、定員の増加を図る。いわゆる焼け太り戦略です。今回のコロナ対応では、この戦略は間に合わないので、封印されていますが、一段落したらでてくると思います。すでに、保健所の定員が少ないなど、煙が立っています。保健所の定員を増やすよりも、AIの応答を使った方がずっと効率的で、保健所に働いている人にやさしいと思います。ただでも、人口が減って人で不足なのですから、人口が多かった、昔に戻すことは不合理です。
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4月30日に補正予算が通りましたので、補正予算を使った対策がやっとできるようになりました。ただし、予算の中心は10万円のバラマキなので、それに忙殺されるではないかと心配です。10万円を1割カットするだけで、マスクや、PCR検査対策には、有り余るほどの金額になるのですが、それは検討されていません。
委員会をつくるのも1+2になります。
公務員の仕事は、上から降ってきて、これを解決しなさいという課題がほとんどです。とはいえ、1,2,3では自前で問題解決はできません。実は、公務員にとって、一倍のリスクは問題を抱えたままにしておくことです。
依頼文章を作って、アウトソーシングすれば、仮に、問題が解決できなくとも、上手くいかないのは、アウトソーシング先の問題であると責任を転嫁できます。この仕事の仕方はババヌキににています。与えられた仕事がババであると感じたら、周囲が、ババであると認識する前に、アウトソーシングすれば勝ちです。
簡単に言えば、現在の公務員の仕事は次の2つです。
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予算と定員をとってくる。
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上記のため、あるいは、仕事をしっかりしていることをアピールするために作文する。
逆に、やってはいけないことは自分で仕事を抱えることです。例えば、マスク配布のためのスマホアプリをつくる、これはダメです。ソフトにはバグはつきものです。バグがあると自分で責任をとれなければならなくなりります。これは、バカしかやりません。アウトソーシングするこれが正解です。
Rt Covid-19はMike Kriegerが作っています。この人は、2018年までは、 InstagramのCTOをやっていました。
これはすごいことだと思います。自分で仕事をしないのは、日本の場合、公務員だけでなく、大企業も同じかもしれません。筆者は、公務員がスマホアプリをつくるなと言っているのではありません。そうする人は出世できないか、退職して、給与のよい民間で働いているということです。
例外的には、予備費を運用することもあります。例えば、2011年の震災の時には、実績に基づいて後払いするから、被害実態調査を早急にするように民会会社に依頼した例があります。今回もこの手法を使っているとは思いますが、金額としては、ごく一部にとどまるとおもいます。これには、随意契約で、つかまるリスクがあります。
というわけで、マスクもPCR検査も可決できないのは、働き方改革の問題です。
とはいっても、筆者は公務員の個人を非難しているわけではありません。
これは、組織マネジメントの問題なのです。
コロナ本部のWEB資料は1月28日と30日の分は見つかりましたが、その後、コロナ本部が何をしているのかはわかりませんでした。まあ、NHKが「10近くの班が編成されているといいます」というのですから、わからなくて当然です。責任の所在はあいまいで、業務分担もあいまいです。その結果、混乱しています。
厚生労働労働省の公務員の置かれている状況はWEBをみればわかります。
次の2つのWEBを比べてみれば、厚生労働省の混乱は明らかです。
Wikiは、基本的に、サテライトオフィスで、実体としてのオフィスをもちません。
一方、厚生労働省は、実体のオフィスが中心です。しかし、その内容は文字の大きさ一つをとっても、混乱しています。目次もなく、欲しい情報にたどり着くのは至難の業です。霞が関には働き方改革が必要と思われます。
どちらが、使いやすいかは、いうまでもないでしょう。
今日はここまでです。
コロナ本部 2020年4月2日 21時48分 NHK
厚生労働省の2階の大講堂に設けられた新型コロナウイルスの対策本部
講堂には長机がところ狭しと並び全国の空港などで実施する検疫を管理する「検疫班」。いまだに難しいマスクの調達を監督する「マスク班」、国会対応を担う「国会班」など10近くの班が編成されているといいます。
WEBの公開資料
新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する厚生労働省対策推進本部
1月28日、1月30日
新型コロナウイルス対応に関する医療関係団体及び厚生労働省による協議会
3月24日、4月23日
資料
●厚生労働省で発行した通知文などの文書が閲覧できます。 ※厚生労働省が発行したすべての通知文が掲載されているものではありません。ご了承ください。
http://www.hospital.or.jp/mhlw/isei_index.html
コロナと闘う公務員たち 厚労省“コロナ本部” 現場の保健所は 2020年4月2日 21時48分 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200402/k10012363911000.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00013.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html#kokunaihassei
日本における2019年コロナウイルス感染症の流行状況 wiki
(「感染者数1~10位の都道府県」の片対数グラフあり)
アベノマスク wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%99%E3%83%8E%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AF
Rt Covid-19