成長と分配の経済学(21)~2030年のヒストリアンとビジョナリスト

1)コロナ第7波とアンシャンレジー

 

(コロナウィルスの第7波対応は、アンシャンレジームを反映しています)

 

政府は29日、オミクロン株の変異株「BA.5」による感染拡大への対策として「BA.5対策強化宣言」を新たに設けると発表しました。

 

陽性となった場合、医療機関とは別の窓口を設けます。8月3日から、陽性者登録センターを設け、オンラインで対応します。

 

政府は、濃厚接触者の待機期間を、7日間から原則5日間に、また、検査で陰性を確認できれば、3日間にまで短縮しました。

 

 khb5ニュースの取材に対して、首都圏のある知事は、「メリットがない。予算をつけるとかなら別だが、政府も『新しい内容はない』と言っている」といいます。

 

 後藤厚生労働大臣は、「BA.5対策強化宣言」は、「専門家からの提言やADBにおける専門家等の意見を踏まえて、事務局において取りまとめたもの」であるといっています。

 

「BA.5対策強化宣言」を出している県もありますが、和歌山県仁坂吉伸知事は4日、定例の記者会見で宣言を発出しない方針を明らかにしました。

 

厚生労働省は5日、新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養している患者(3日午前0時時点)を143万8105人と発表しています。

 

東京都の療養者は合計で約29万人に上り、都民の約50人に1人は入院や宿泊・自宅療養中または療養先が決まっていない状況となっています。



2022/08/02に日本感染症学会など関連四学会は、新型コロナウイルスの流行「第7波」で救急医療や発熱外来が危機的な状況だとして、重症化リスクが低く症状が軽ければ医療機関を受診せずに自宅で療養して様子を見るよう求める声明を発表しています。 



2022/08/02に、政府対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は、感染者の全数把握の見直しや、診療する医療機関の拡大などの対策緩和を2段階で進める必要があるとの提言を公表した。

 

全数把握の見直しは大阪府の吉村洋文知事、鳥取県平井伸治知事も提言している。

 

2022/08/04に、政府は、2020年5月に厚労省が導入した全数把握のシステム「HER―SYS(ハーシス)」の医療機関が患者情報を直接入力する項目が当初の約120から負担を減らすために政府が7項目へ削減することを決めています。

 

2022/08/05時点の日本の感染者数は、世界一という報道もありますが、ロイターのHPでは、2022./07/15に、「サイトの感染者数データは更新を終了しています」つまり、07/16以降の感染者数のデータはありません。

 

2022/08/02のYomi Drで、岩田健太郎氏は、「日本の(いわゆる)感染症法は「『手続きあれど、目的なし』な、いまいちな法律」だと考えています。法律を作った人も多分ゴールのことはちゃんと考えていなかったでしょう」といっています。

 

しかし、ゴールがないのは、感染症法だけでなく、今回のコロナウイルス対策全般にあてはまります。

 

政府対策分科会は、政府から独立していません。尾身茂会長の病院も、コロナウイルス対策の補助金をうけとっていて、尾身茂会長も利害関係者です。政府対策分科会は政府よりも提言を期待されていますので、裸の王様を支持するリスクを抱えています。

 

日本感染症学会など関連四学会は、政府対策分科会よりは独立性が高いと思われますが、それでも、コロナウイルス関係の補助金を受け取っている利害関係者がいると思われます。

 

 後藤厚生労働大臣が言うように、「BA.5対策強化宣言」は、政府対策分科会が提案しているのではなく、その結果を厚生労働省が編集しています。

 

つまり、厚生労働省は、政府対策分科会の提言を自分たちに都合のよいように書き換えることができると考えています。

 

しかし、科学の結果は独立で、書き換えることはできません。書き換えれば、科学ではなく、カルトになってしまいます。どうしても政治的に書き換えなければならない場合でも、科学に基づくのであれば、原文と修正箇所を明示する説明責任があります。

ここで、厚生労働省は、自分たちに都合のよい提案をしてくれる裸の王様のための政府対策分科会を作ればよいと考えていたと思われます。

 

しかし、これは、科学の検証可能性を否定するアンシャンレジームです。アンシャンレジームを強行すると、効果のない政策にお金が無駄に使われます。

 

厚生労働省は、自分たちは正解を知っていると考えていると思います。そうでなければ、「専門家からの提言やADBにおける専門家等の意見を踏まえて、事務局において取りまとめ」ることはできません。しかし、エビデンスがありませんので、「事務局において取りまとめ」は全く非科学的なプロセスです。ですから、「BA.5対策強化宣言」の効果は不明で、半分くらいは、あまり効果がないと思われます。

 

しかし、科学やエビデンスを無視したアンシャンレジームには無理があります。これを繰り返していくと、結局、予算と権限しか残らず、何が正しいのかわからなくなります。

 

「BA.5対策強化宣言」の内容は、先行している東京都の対策を切り貼りしていますが、東京都もエビデンスを得るレベルに達していませんでした。

 

米国のコロナウイルス対策は、CDCが先行して行ってきました。

 

コロナウイルスの流行の初期には、日本もCDCに相当する機関を作るべきではないかという議論がありました。

 

やたらとポストをつくり定員を増やしても、効果はないと思われますが、CDCは、政府から、独立しています。当時のトランプ大統領とファウチ氏に意見が異なることがありましたが、そのことは、ファウチ氏は、トランプ大統領に気兼ねせずに、科学的に正しいと思われる発言をしていました。

 

日本の政府対策分科会には、CDCのような独立性はありません。つまり、CDCに比べれば、裸の王様のための分科会になっています。読者が、これが気にならないのであれば、読者は、アンシャンレジームに洗脳されています。

 

アンシャンレジームは、権威の尊重で、科学の否定ですから、江戸時代に準じたコロナウイルス対策が展開されます。それが、海外では止めてしまった感染者数のカウントだと思います。



日本感染症学会など関連四学会が提案を出したことは、当然ですが、欲を言えば、ファウチ氏のように、それまでも政府対策分科会に異を唱えた部分があってもよかったと思われます。

 

引用文献




新型コロナ「第7波」到来 爆発的に増える感染者 数えるならば目的を 2022/08/02 Yomi Dr. 岩田健太郎

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220801-OYTET50060/

 

「メリットない」知事から評価の一方で批判…新たに発表『BA.5対策強化宣言』 2022/07/29 khb5ニュース

https://www.khb-tv.co.jp/news/14683056



コロナ全数把握の見直しを提言 専門家有志、対策緩和は2段階で  2022/08/02 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/193283

「やり方は破綻、もうやめてくれ」鳥取平井知事が政府が求めるコロナ全数把握を批判(鳥取県

https://news.yahoo.co.jp/articles/85a2331fb4fb415272a608299f99abed77259c61



新型コロナウイルスの流行「第七波」で救急医療や発熱外来が危機的な状況だとして、日本感染症学会など関連四学会は二日、重症化リスクが低く症状が軽ければ医療機関を受診せずに自宅で療養して様子を見るよう求める声明を発表した。 



政府対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は2日、感染者の全数把握の見直しや、診療する医療機関の拡大などの対策緩和を2段階で進める必要があるとの提言を公表した。

 

全数把握の見直しは大阪府の吉村洋文知事、鳥取県平井伸治知事も提言している。

 

2020年5月に厚労省が導入した全数把握のシステム「HER―SYS(ハーシス)」について医療機関が患者情報を直接入力する項目が当初の約120から負担を減らすために政府が4日に7項目へ削減することを決めたこと

 

日本の(いわゆる)感染症法は「『手続きあれど、目的なし』な、いまいちな法律」だと考えています。法律を作った人も多分ゴールのことはちゃんと考えていなかったでしょう。

 

新型コロナ「第7波」到来 爆発的に増える感染者 数えるならば目的を 2022/08/02 Yomi Dr. 岩田健太郎

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220801-OYTET50060/



自宅療養、最多の143万人 入院、健康観察難航も 2022/08/05 KYODO

https://news.yahoo.co.jp/articles/57058e8f9ad63a6ec91369b9425b6bfa92d022de



コロナ全数把握の見直しを提言 専門家有志、対策緩和は2段階で  2022/08/02 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/193283

「やり方は破綻、もうやめてくれ」鳥取平井知事が政府が求めるコロナ全数把握を批判(鳥取県

https://news.yahoo.co.jp/articles/85a2331fb4fb415272a608299f99abed77259c61

 

政府新設のBA.5対策宣言「やってもしょうがない」 和歌山県知事 2022/08/05 朝日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/2c47d14db0306f5c0e53ca24e66ee5c3881b5af3

 

「どの口が言うか、お前が言うか」「責任逃れするために仲間割れ」政府分科会・尾身会長らの提言を痛烈批判 島根県・丸山知事 2022/08/04 BBS山陰放送

https://news.yahoo.co.jp/articles/95de5d23b1cb4f4641c87355e66c77b3b1743396



尾身会長がNHKで“職務放棄”の仰天発言!コロナ対策は自助で、犠牲は国民の「許容度」の問題 2022/07/25 日刊ゲンダイ

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbf6c5a1347727b4ac9001925e3013f8b0bc2f74



COVID-19 Global tracker 最終更新日 2022年7月15日 ロイター

https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-tracker-and-maps/ja/