非常事態宣言延長とコップの水~コロナウィルスのデータサイエンス(43)

コップの水

5月4日に、非常事態宣言が月末まで、延びることになりました。

心理の例でよく言われるたとえに、コップに水が半分入っている場合の2種類の反応があります。

  • もう水は、半分も空になった。

  • まだ、水は半分残っている。

これは、水が価値のある財とすると、前者が悲観論、後者が楽観論といわれます。

しかし、こうした説明は問題を曲解するものと思います。

コップに水が100%入っている状態を1、0%の状態を0とします。

そうすると、2つの例は、次のようになります。

  • 0.5->1

  • 0.5->0

前者は切りあげ、後者は切り捨てを行っているだけです。

水の量が0.5でなく、0.4であれば、切り捨ての方が近似精度が高くなります。

コップの水は、その先の残っている水の利用を見ているので、

同じ0.4でも、水位が変動していて、上昇している場合には、その上昇速度と経過時間を考えるべきです。

こうした表現は、微分方程式で記述できますが、誰でも、答えがすぐに求まるようになったのは、スマホが普及したここ10年くらい、使いやすいアプリレベルで言えば、普及したのはここ5年くらいのことです。

つまり、数千年来の現象の記載方法と予測方法がここ5年で変わりました。

まだ、5年ですので、使い勝手については日進月歩の状態です。

非常事態宣言の延長

さて、このコップの水と非常事態宣言の延長にが明確な関係があります。

コップの水がいっぱい<->感染者が多数

コンプの水が空<->感染者がゼロ

という対応で、同じ方程式で記載できます。

非常事態宣言の延長は、現在の行動制限データに基づく、2週間後の感染者数の予測に基づいて行なわれるべきだからです。

ですから、延長するか否かは微分法方程式の解で判断すべき内容です。

つまり、予測された感染者数の変動です。

微分方程式がわからなくとも、少なくとも、方程式の解はグラフで表されますので、根拠となるグラフが提示される必要があります。

これがない意思決定は、「独断」と呼ばれます。