ダイナミックレンジの検討(その2)
ダイナミックレンジに問題がありそうなことがわかったので、今回は、機種による違いを見てみます。
昨年の秋に、解像度の比較をした画像を取り出してきました。今回もトーンイコライザーで、ダイナミックレンジをもています。一番明るいところは、どの画像でも、0EVから+0.2EVでほとんどさがありません。いかでは、+0.2EVとして考えます。一方、暗い方は、大きく異なります。
Xperia XZs
F2.0 1/640sec 25mm(4mm) ISO 40
サンプル1は、ここのところ比べている筆者のスマホです。ダイナミックレンジは2.2EVとやはり小さくなっています。
ipad Pro
F1.8 1/1195sec (3mm) ISO16
サンプル2はアップルのタブレットです。アップルのスマホの代わりに比較検討につかっています。ここでも、ダイナミックレンジは2.2EVしかありません。
P9900
F3.7 1/800sec (4mm) ISO125
サンプル3はニコンの2.3インチセンサーの望遠コンデジです。光学倍率30倍で、望遠がセールスポイントの機種です。ここでは、ダイナミックレンジは更に狭く、1.8EVしかありません。これは、スマホ以下といえます。
F2.8 1/640sec (5mm) ISO80
サンプル4は、ニコンの1.73インチセンサーのコンデジです。望遠倍率を狙わず、F1.8の明るいレンズを搭載しています。
前のP310は、2.37インチセンサーで、この機種から1.7インチになりました。ニコンで、2000年くらいから続いた、2.3インチセンサーのコンデジの最終形のP310は2012年の発売、P330は2013年の発売です。現在は、2.3インチか、1,7インチのコンデジは望遠タイプしか残っていません。
P330のダイナミックレンジは、5.0EVあります。スマホにくらべれば、センサーが若干大きいことと、RAWに対応していることが効いて、よくダイナミックレンジをとらえています。
P9900
F3.7 1/500sec (4mm) ISO 125
サンプル5は、銀杏のシーンで、スマホに後れをとった、P9900です。あまりに、ふがいないので、ダイナミックレンジの広いシーンを探してみました。サンプル5では、ダイナミックレンジは4.6EVあります。画像を見ると、サンプル3の方が、日向と日陰がはっきりしていて、元のフレームのダイナミックレンジは、花の画像より広く思われます。
まとめ
今回は、ダイナミックレンジの問題は、筆者が使っているソニーのスマホだけの問題か、それとも、小型センサー(2.3インチ)で、Jpegのみサポートの機種に共通の問題かという点を、機種比較をしてみてみました。
銀杏の画像のように、ダイナミックレンジがそれなりに、広いと思われるフレームで、ソニーのスマホ、iPad,P9900は2EV以下のダイナミックレンジになっていました。1.7インチセンサーのP330だけが、5.0EVありました。前回指摘した、「もとのフレームのダイナミックレンジが広い場合ほど、Jpeg画像のダイナミックレンジが狭くなってしまう逆転現象」が多くの機種(P330を除く)では、起こっていると思われます。
考えられる最大の原因はベースカーブなので、できれば、RAWをサポートしている機種が望ましいのでしょうか。少なくとも、darktableを作っている人は、センサーのダイナミックレンジが8EV以下については、検討の対象外になっていると思います。
現在は、スマホが普及していて、iPhone以外では基本的にはRAWはサポートされていないので、この連載記事では「スマホ+Jpeg」でよい写真をとる方法を検討しているわけですが、工夫次第で、本当に、良い写真が撮れるか、段々自信がなくなってきました。