筆者は、スマホを買ってすぐに、ブックタイプのケースに入れて使ってきました。しかし、これは、写真を撮るのには、不便なので、今回はブックタイプのケースから取り出しました。ブックタイプでない使いやすいケースがあれば良いのですが、いまのところ見つからないので、ケースには入れていません。
次に、マニュアルをダウンロードしました。これも、今までは、見なくても使えるレベルで、使っていましたので、ブログを書くには、勉強して、確認してからモノを言おうという姿勢です。
センサーはカタログでは、「有効画素数約1920万画素を実現した、ソニー製1/2.3型高感度イメージセンサー」
レンズは「F2.0・広角25mm」となっています。
イメージセンサー以外に「レーザーAFセンサー」(暗所向き)と「RGB-IRセンサー」(色彩再現)が画像センサーに並んでついています。
次に、スマホのカメラ回りを点検してみました。
まず、解像度ですが、次の4つのモードがあることがわかりました。
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19MP(4:3)
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17MP(16:9)
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12MP(4:3)
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12MP(16:9)
デフォルトでは、17MP(16:9)になっています。おそらく、スマホでは、写真をスマホでみることを前提とした設定が、デフォルトになっているため、16:9がデフォルトに設定がおおいと思われます。以下では、19MP(4:3)に設定しました。
解像度の12MPは正直言ってよくわかりません。センサーの一部をトリミングして使っているのか、複数画素を平均化しているのか、不明です。画素を平均化すると考えると割り切れないので不思議です。1次元で3画素を2画素にするくらいの比率にはなっていますが。
次に、カメラの撮影モードを見ると、オートとマニュアルがあります。
マニュアルで設定できる項目は以下です。
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WB
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EV
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ISO
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SS
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フォーカス
これで、はっきりしたことは、筆者のスマホでは、絞りの調整ができないということです。
当面はオートモードの性能を試してみることにします。
ダイナミックレンジの検討
darktableの作者の一人であるAurélien PIERREさんの主張を、自分なりに整理すると、デジカメのダイナミックレンジは次のように整理できます。
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Jpeg画像ファイル(8EV以下)
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大型センサーの最近のカメラのRAWファイル(10-14EV)フルサイズ、ASP-C(ハーフサーズ)
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小型センサーまたは、古いデジタルカメラのRAWファイル(8EV以下):2.3-1.7インチ
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中型センサーのカメラ(8-10EV):1インチ、4/3
ダイナミックレンジが広いのが、2.のカメラ、逆に、ダイナミックレンジが狭いのが、3.のカメラまたは1.で、その中間が4.になります。
2.4.のカメラは、8EVを超えるダイナミックレンジを持っています。特に、2.のカメラは、10EV以上のダイナミックレンジを持っていますが、今の方法では、カメラ内現像で、RAWからJpegを作成するときに、ほとんどの情報が切り捨てられ、失われてしまいます。つまり、カメラ内現像を使う限り、あるいはdarktable以外のRAW現像ソフトを使う限り、2.4.のカメラが、3.のカメラよりダイナミックレンジが広いというメリットが失われてしまいます。もちろん、センサーが大きいのでノイズが小さくなるメリットは残りますが、ダイナミックレンジが広いことによって、掬い上がられたトーンが失われてしまいます。
スマホのセンサーは、3.になりますので、ダイナミックレンジは小さくなります。また、iPhoneなどの一部の機種を除いては、RAWファイルを出力できません。従って、ダイナミックレンジの広いシーンは、苦手で避けるべきではないかと予想されます。
そこで、最初にこの点を確認しておきます。風景写真では、ダイナミックレンジの最も大きなシーンは、太陽を入れたが逆光シーンになります。そこで、太陽とカメラの位置の表記方法を統一しておきます。
分度器の図は、太陽に対する角度の定義を表しています。分度器は水平に置かれているものとします。分度器のゼロを太陽の方向に合わせます。次に、太陽の向きをゼロとしたカメラのセンサーの向きを撮影角度と定義します。分度器の中央にあるカメラの例では、レンズが上向きで、センサーの向き(センサーへの垂線の向き)も同じなので、撮影角は0度になります。0度と時計の12時の向きと考えれば、9時の方向が、90度、6時の方向が、180度、3時の方向が270度と反時計回りに角度を定義します。
この表記では、完全な逆光が0度、順光が180度になります。
サンプル1は、撮影角度が0度の逆光写真です。
F2.0,1/3200sec,25mm(4mm),ISO 40です。
なお、天候は、ほぼ快晴で、時間は1月の2時から3時です。
中央下に青い点とハレーションの輪があります。
見るからに、影があります。
サンプル1の遠景部分の拡大です。細部が完全につぶれていて、ノイズ補正のかけすぎになっています。
サンプル1の近景部分の拡大です。これも、細部がひどくつぶれています。
なお、スマホだけで写真を完結している場合には、ここまで、拡大してみることはないとおもいます。拡大すると、あらが見えて、写真が上手になると考えます。
写真自体を、ここまで、拡大してみることは、ほとんどありませんので、筆者はカメラの性能評価の記事ように、チャートの線がどこまで写っているのかを議論することに、あまり意味があるとは考えていません。ただし、個人的には、過去に、うまく撮れていると思った写真でカレンダーを作ろうとして、拡大したところ、ピンボケで使えなかったことがあります。細部化うまく写っていないからカメラを変えるのではなく、手振れを防ぐなど、撮影時の工夫で、同じカメラでも、より良い写真が撮れるのであれば、工夫をすることは、写真が上手になる上で、意味があると考えています。
サンプル1をdarktableで補正したものです。基本調整と傾き補正、トーンイコライザーを使っています。
ある程度は、細部が見えるようになります。処理していて、この写真は、主題がない悪い写真の例であると感じました。中央の橋が主題であれば、見る人にその橋にいってみたいと思わせるような魅力が伝わる必要がありますが、これでは、何の変哲もない橋になっています。
サンプル2は撮影角度180度の順光写真です。
F2.0,1/1600sec,25mm(4mm),ISO 40です。
このスマホは順光でとると水面の色が、青く出ます。実際には、ここまで青い色はしていません。
サンプル2の遠景の細部の等倍です。細部がきれいに写っていて、このスマホでは、ここまで写れば合格です。
サンプル2の近景の細部の等倍です。暗いので、わかりにくいですが、細部がリダクションによるつぶれはなく、細部まできれいに写っています。
サンプル2をdarktableで補正したものです。基本調整と傾き補正、トーンイコライザーを使っています。影の部分が明るくなっています。
まとめ
センサーのダイナミックレンジをテストするために、逆光と順光で写真をとって、比較しました。
このスマホのセンサーのダイナミックレンジの公開データはありませんが、昔のiPhoneが7EV、1.7インチのキャノンのPower Shot G12,G16が8EVですので、7から8EVであると考えてよいと思われます。2.3インチセンサーの場合には、最大でも8EVのダイナミックレンジに収まるので、変換を間違えなければ、JpegとRAW差はないはずで、Jpegの範囲でシステムを設計することは合理的です。もちろん、いったんJpegにすると後で修正できる自由度は下がりますので、画像編集する側は、RAWの方がよいですが、連射等の条件に関連するので、一概に、つねに、RAWがいいとは言えないと思います。
フィルム写真の時には、逆光写真は、基本避けるべきといわれました。現在の、2.のダイナミックレンジの広いカメラであれば、逆光写真は、何の問題もなく、撮影できます。一方、2.3インチセンサーのスマホでは、サンプル1のようにダイナミックレンジの広いフレームは破綻してしまいます。それでも、サンプル1程度には写ります。ですから、逆光写真は、画質が悪くなるのが、記録として価値があるから、撮影するのか、画質が悪くなるので、撮影しないかを、撮影者が判断することになります。
今回の確認する公式は次です。
スマホではダイナミックレンジの広いフレームは破綻するので避ける。特に、強い逆光は、避けた方がよい。
なお、これは、暗所で撮影できないことを意味しません。このスマホは、レーザーセンサーがついているので、暗所での焦点性能はわるくないと思われます。
また、逆光でも、太陽光が木の葉を通してくるようなダイナミックレンジの狭い場合は問題がなかと思いましたが、追跡した結果は、ダメでした。Jpegのダイナミックレンジは、最大8EVなので、もとの、ダイナミックレンジはわかりませんが、Jpegに変換されたダイナミックレンジは、トーンイコライザで調べられます。今回より弱い逆光写真を調べとところ、ダイナミックレンジが、4EVしかないことがわかりました。逆光写真では、暗所は完全にデータがつぶれていますが、これは、ダイナミックレンジを考えれば当然といえます。