特攻問題の研究(5)フィードフォワードシステム

(フィードフォワードシステムの恐怖について説明します)

 

1)市場原理の基本

 

生産性をあげる方法は市場原理しかありません。

 

これが、前世紀に社会主義国家が破綻した原因です。

 

生産性をあげるためには、適切な資源配分が必要です。

 

この資源配分について、市場を使う以上に効率的な方法は見つかっていません。

 

市場原理を使えば、経済格差が生じます。

 

経済格差が、機会の平等を阻害する場合には、人権問題になります。

 

機会の平等がなければ、チャレンジができませんので、経済が停滞します。

 

このために、市場への介入を最小限にするように注意しながら、所得移転を行ないます。

 

これが、資本主義の原理です。

 

社会主義は、市場を通じた資源の配分は好ましくないと考えました。

 

しかし、市場に代替できる公平で透明性の高い資源配分方式はありません。

 

市場原理を否定すれば、それは、利権原理になってしまいます。

 

社会主義では、独裁政権が生じやすい原因は、市場原理を否定すれば、利権の優先になるからです。

 

利権を優先すると経済成長が阻害されます。

 

ここで、市場原理に戻せば、フィードバックループができます。

 

ここでさらに、利権を優先すれば、フィードフォワードループになります。

 

2)日本政治

 

日本の政治では、過疎問題に見られるように、市場原理よりも、利権原理を優先してきました。

 

その結果、経済成長が阻害され、賃金が伸びませんでした。

 

特に、若年層の賃金が伸び悩みました。

 

これに、賦課金方式の年金の負担が追加されました。

 

その結果、出生数がが激減しました、

 

因果モデルを推定するために、アブダクションをする場合、原因と思われる因子を変化させた場合を想定します。

 

原因と思われる因子を変化させた場合に、結果が変化すると予想されるのであれば、その因子は、原因である可能性が高くなります。

 

1970年以降行われてきた場当たり的な過疎対策と所得移転は、利権原理が働いていたことを示しています。

 

資本主義の市場原理でも、最低限の所得移転が行なわれます。

 

その場合の所得移転は、利権を生じないようになわれます。

 

所得移転は、例えば、ジニ係数の最大値をいくつ以下に抑えるといったガイドラインに従って、透明性の高いできるだけ単純なルールを使います。

 

人権にもとづく、機会の平等のための所得移転は、個人に対して行なわれます。

 

人権無視の企業を通じて、所得移転が行なわれることはありません。

 

これは、利権を通じたゾンビ企業優先になってしまいます。

 

場当たり的な過疎対策と所得移転が、なされなければ、経済成長はより大きかったことがわかります。

 

市場原理を優先すれば、付加価値競争が起こりDXが進み、賃金があがります。

 

賃金が上がらない原因は、市場原理を無視した利権原理にあります。

 

若年層の賃金があがらなかった原因は、利権原理にあります。

 

過疎対策は、産業間の人口移動を止めて、経済成長を阻害しました。

 

ゾンビ企業対策も、産業間の人口移動を止めて、経済成長を阻害しています。

 

つまり、与党と官僚は、少子化の原因を作った倫理的な責任があります。

 

恐ろしいことに、野党もこの点をまったく認識していません。

 

3)フィードフォワードループ

 

利権原理の政治を進めた結果、市場が破壊されてしまいました。

 

本来であれば、ここで、市場原理に戻す必要があります。

 

しかし、政治は、さらなる利権原理に突入しています。

 

人手不足が生じる原因は、労働市場がないためです。

 

労働市場があれば、人手不足になれば、賃金が上がります。

 

人件費のコストがふえるので、人件費を抑えるために、DXが進みます。

 

現実に起こっていることは、人手不足になっても、賃金があがらず、DXも進みません。

 

その原因は、市場原理を無視した利権原理にあります。

 

現在、起こっていることは、経済の好循環ではなく、逆の現象です。

 

株式市場が正常に機能していませんので、株価は、経済の実態を反映していません。

 

利権原理という麻薬を飲んでしまって、薬の効果が薄れてきたので、投与量を増やしている状態です。

 

フィードフォワードループに入れば、経済の落下速度は加速度的に大きくなって行きます。