(ミームの排他性を法度制度を例に説明します)
1)2種類の排他性
これが、第1の排他性です。
レイ・ブラッドベリは、SF小説「華氏451度」を書きました。
2)第2の排他性
第2の排他性は、表にでない排他性です。
経済学者は、ベンタムのころから、貧困の解消を大きなテーマに研究をすすめてきました。
Thomas Carlyleは、経済学を陰気な科学(dismal science)と呼びました。
これは、経済学のメインテーマに、貧困の解消があるためです。
貧困の解消に必要な条件は、次の2つです。
第1に、生産性をあげて、経済成長をして、再半分可能な所得を増やすことです。
第2に、課税と福祉によって、富裕層から、貧困層に所得移転をすることです。
第2は、私有財産の侵害になりますので、透明性の確保と再配分ルールの合理的な説明が必要です。
再配分ルールは、できるだけ単純で分かり易い方法をとる必要があります。
岸田総理大臣は、新年度予算の経済政策などを着実に実施することで、ことし中に、物価上昇を上回る所得を必ず実現させるといいました。
この発言は、法度制度のミームに基づいています。
バイデン大統領は、年頭の教書演説で、経済対策を説明しましたが、その際に、説明した経済対策は、多くの経済学者の合意を得ている科学的な政策であることを強調しています。
岸田総理大臣の発言は、総理大臣の発言であるから、正しいに違いないという法度制度のミームに基づいています。
岸田総理大臣の発言が、経済学の科学の方法に基づいているのであれば、生産性の向上、所得再配分による貧困問題解消(ジニ係数の調整)について言及するはずです。
政府が少子化対策の財源として徴収する「子ども・子育て支援金」では、年収600万円なら月額1000円の負担となることが分かりました。この金額は、社会保険料、つまり給料から天引きとなります。
これは、上記の2つのルールに反しています。
経済成長があれば、税率をあげなくとも、税収が増えます。年収600万円なら月額1000円の負担が生じるのは、経済成長がないためです。
月額1000円の負担は、経済成長を阻害します。悪循環になっています。
さて、ミームの視点でみれば、岸田総理大臣の発言は、法度制度のミームに従って行なわれたと判断できます。
そこには、科学のミームで説明する意図はありません。
岸田総理大臣の発言に期待するか聞いたところ、「大いに期待する」が6%、「ある程度期待する」が23%、「あまり期待しない」が37%、「まったく期待しない」が28%でした。
<< 引用文献
https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/
>>
「まったく期待しない」の28%は、科学のミームで、岸田総理大臣の発言を聞いた人と思われます。
「大いに期待する」の6%と「ある程度期待する」の23%は、法度制度のミームで、岸田総理大臣の発言を聞いた人と思われます。
「あまり期待しない」の37%は、法度制度のミームか、科学のミームか、2つの解釈が可能ですが、ここでは、法度制度のミームと考えます。
整理すると以下になります
法度制度のミームの人 66%
科学(経済学)のミームの人 28%
不明 6%
以上から、法度制度のミームが全体の3分の2以上あることがわかります。
もちろん、世論調査をしたNHKは、法度制度のミームで動いています。
基本的にマスコミの方法は、科学のミームではなく、法度制度のミームでできています。
鈴木財務大臣は、行き過ぎた動きに、あらゆる手段を排除しないといいます。
財務大臣の発言で、世の中が動くと考えることは、法度制度のミームです。
日本のマスコミは、法度制度のミームで動いていますので、大臣の発言を報道します。
同じ内容をアメリカの人が聞く場合には、プラグマティズムの科学のミームが働きます。
為替介入か金利の変更がなければ、日本の財務大臣の発言は、無視されるはずです。
自動車会社で、不正点検があった場合、幹部が謝罪会見をします。
幹部の発言は、不正が再びおこらないように、努力しますというものです。
この発言は、法度制度の中でしか意味を持ちません。
プラグマティズムの科学のミームでは、具体的に何をするのか、その対策はどうして効果が出来るのかを説明します。
それができない幹部は無能と判断され、株主総会で、クビになります。
ミームが拡大すると第2の排他性が働き、他のミームを排除します。
第2の排他性は、焚書坑儒のように血が流れないので、目立ちませんが、焚書坑儒と同じ効果があります。