ミームの研究(14)デザインの力

ミームの変化を考えます)

 

1)問題解決の方法

 

ミームのモデルでは、人間の行動はミームに支配されています。

 

脇田晴子氏と水林章氏は、特攻は、法度制度のミームに原因があると考えました。

 

つまり、特攻が再び起こらないためには、法度制度のミームを取り除く必要があります。

 

脇田晴子氏は、法度制度のミームを取り除く方法を提案せずに亡くなりました。

 

水林章氏は、法度制度のミームは日本語に組み込まれていると考え、フランス語で、解決方法を検討しています。

 

それでは、どうすれば、法度制度のミームを取り除くことが可能でしょうか。

 

2)公民権運動

 

例によって、日本語版のウィキペディアは、法度制度のミームで書かれているので、使いものになりません。英語版のウィキペディアのCivil rights movementには次のように書かれています。

公民権運動は、米国で 1954 年から 1968 年にかけて、合法化された人種隔離、差別、権利剥奪を廃止する社会運動およびキャンペーンでした。この運動の起源は19 世紀後半のレコンストラクション時代にあり、現代的なルーツは 1940 年代にありましたが、この運動が法制化で最大の成果を挙げたのは、長年にわたる直接行動と草の根の抗議活動を経て 1960 年代でした。社会運動の大規模な非暴力抵抗運動と市民的不服従運動により、最終的にはすべてのアメリカ人の公民権が連邦法で新たに保護されることになりました。

 

アフリカ系アメリカ人が追求した法的戦略の頂点に達した1954年、最高裁判所は、米国で人種隔離と差別を合法としていた法律の根幹を違憲として無効にしました。

 

つまり、公民権運動とは、「アフリカ系アメリカ人が追求した法的戦略」であり、憲法違反の法律の改訂を求める運動でした。

 

公民権運動には、法律を改訂するためには、何が必要になるかのヒントがあります。

 

日本では、性差別の解消のために新しい法律が追加されていますが、性差別を温存した古い法律が残っています。

 

アメリカの公民権運動では、人種隔離と差別を合法としていた法律は違憲で、全て改訂されています。

 

パーティ券問題では、裏金を使った議員は、グレーも含めれば、脱税をしています。少なくとも、脱税していないという証拠を提示した議員はいません。

 

政治資金規正法は、議員が採決して、骨抜きになっています。

 

しかし、公民権運動にみるように、憲法違反の法律は、改正すべきです。

 

政治資金規正法を、議員が作成して採決することは、三権分立に反します。

 

政治資金規正法は、議員とは利害関係のない第3者機関が作成することができます。

 

この第3者機関が、政治資金規正法の改正案を、例えば、A、B、Cと3つ作成して、選挙の時に、国民投票で、採決することは可能です。

 

公民権運動は、Civil rights movementでした。

 

「movement」は権限とは関係がありません。

 

最高裁は、国会ではありませんので、法律を作ることはできません。

 

しかし、最高裁は、政治資金規正法の改正において、三権の分立の確保を要請することができます。

 

最高裁が、指示待ち人間でなければ、法律の順守以外に、法と正義の確保のために必要な要請をだすべきであると考えられます。

 

同様の問題は、学会、税理士などの業界にもあります。

 

現在の法律が、憲法に照らして問題があると感じれば、関係者は、法律を改訂する要請を社会的に公開することができます。

 

ここで議論していることは、法律の内容ではなく、法律はどのような手順でデザインされるべきかという課題です。



3)法律とミーム

 

法律は、人々がそれにしたがって活動しなければならないミームです。

 

憲法は、適用範囲が広い大きなミームですが、個別法は、適用範囲の狭い小さなミームです。

 

法律は最初は、ミームではありませんが、法律の順守を繰り返えすと、その部分のニューロンのネットワークが強化されてミームになります。

 

「悪法もまた法なり」は、法度制度が生み出した間違ったメッセージです。

 

これは、ニューロンのネットワークが強化から考えると大きな問題です。

 

問題は、悪法を改正する方法にあります。

 

憲法(人権)のミームが機能していれば、憲法違反の法度制度や年功型雇用はありえません。



現実には、法度制度のミームが、個別法のミームを介して、生き残っています。

 

これは、公民権運動の前のアメリカに似ています。



水林章氏は、法度制度のミームは日本語に組み込まれていると考えました。

 

しかし、筆者には、法度制度のミームは、個別法に組み込まれているように見えます。



ミームが問題発生の原因である場合、ミームの変更なしに、問題を解決することはできません。

 

法度制度のミームにとらわれた人は、すぐに解決策をだせと要求します。

 

思考が、過去の成功事例をコピーする帰納法に、とらわれています。

 

この思考ルートでは、法律の改正は、解決手法にあがってきません。

 

法度制度のミームにとらわれた人は、科学の因果モデルで思考することができません。

 

推論は、科学的に破綻しています。

 

今回のパーティ券問題では、政治資金規正法違反を裁判に訴えたり、国税庁に調査要求をした人がいました。

 

これは、進歩ではありますが、政治資金規正法憲法違反である限り、その効果は限定的です。

 

現在の政治資金規正法というミームはまともではありません。

 

問題解決には、ミームの変更が必要です。

 

ミームの変更は、個別法や憲法レベルのこともありますが、人権思想や法度制度といった憲法より更に、強力で広範囲なものもあります。



デザイン思考は、ミームの変更が出来るという点で、非常に強力な思考法です。