レンズを巡る旅;下剋上(3)

下剋上で一番混乱している規格がMFTです。

 

筆者は、MFTが売れなくなった原因は、下剋上問題にあると考えています。

 

MFTはセンサーが小さいので、レンズ径を大きくとれば、極めて性能の高いレンズをつくることができます。

 

フルサイズのレンズのように、レンズの周辺で画像が流れることはありません。

 

ズームレンズで、レンズ径を大きくとったレンズは、性能もよく、MFTのレンズの中では大型ですが、フルサイズセンサーのレンズと比較すれば小型です。

 

問題は、この先です。

 

MFTの単焦点レンズは、ズームレンズより、レンズ径が小さいものが多いのです。

 

レンズ径の大きな単焦点レンズも少数ありますが、大変高価です。

 

センサーが小さいので換算画角の関係で、フルサイズよりボケ量が減ります。

 

この点を考えると、価格が安ければ別ですが、レンズ径の大きな高価な単焦点レンズを購入する理由はありません。

 

レンズの物理特性は、物理法則です。物理法則に反して、価格付けをすることは不合理です。

 

単焦点レンズは、ズームレンズよりF値が明るいですが、MFTの手ブレ防止は強力なので、手ブレ防止のために、単焦点レンズを使う必要がありません。

 

小型単焦点レンズの性能は、大型ズームレンズの性能より、若干よいのですが、その差はわずかです。場合によっては、逆転していることもあります。

 

単焦点レンズを使う場合には、画角が固定されるため、ズームレンズにくらべらば、シャッターチャンスを犠牲にすることになります。

 

シャッターチャンスを犠牲にした見返りが余りに小さいとストレスになります。

 

それから、長くなるので、詳細は書きませんが、MFTは、センサーが小さいために、レンズだけではなく、カメラのサイズも、小型と大型の2系統になっています。これは、下剋上をさらに、混乱させています。

 

どの場合に、どのカメラとレンズの組み合わせがベストかが決まりません。

 

写真1は、小型単焦点のLUMIX20mmF1.7で、撮影しています。小型単焦点レンズのF値は、多くの場合F1.7です。

 

写真2は、APS-C用の中国製のTTArtisan 17mm f/1.4で、撮影しています。

 

写真1では、写真2のボケ量を得られません。収差、ボケ、解像度よりも、画角とF値を優先することは、物理法則に従うことです。

 

写真1 LUMIX20mmF1.7

 

写真2 TTArtisan 17mm f/1.4