許認可行政と拡張された過疎問題

(許認可行政は拡張された過疎問題です)

 

1)官僚支配の構造

 

拡張された過疎問題の構造を考えます。

 

過疎問題は、過疎のエリアを政治資金の集金エリアと非集金エリアの2つにわけます。

 

そして、政治資金の集金エリアには、キャッシュバックをします。

 

拡張された過疎問題では、過疎のエリアを政治資金の集金組織(集団)と非集金組織(集団)の2つにわけます。

 

そして、政治資金の集金組織には、キャッシュバックをします。

 

政治家が、拡張された過疎問題を実現するためには、官僚の支配が必要です。

 

そのために次が、使われています。

 

(C1)権威の方法(法度制度)

 

科学の方法は、排除され、権威の方法が使われます。

 

科学的に正しいブリーフではなく、法度制度の上位者のブリーフが採用されます。

 

マスコミは、毎日のように、総理大臣やポストの上位の政治家の発言を放送します。

専門家の意見として、大学の教授など、学問のポストの高い人の発言を放送します。

 

視聴者には、科学の方法は理解できないとして、固定化したブリーフを放送し、ブリーフの固定化の過程は隠蔽します。

 

読者は、使われているブリーフの固定化法が、わかりますか。

 

使われているブリーフの固定化法は、権威の方法に基づいてキャッシュバックする利権政治です。

 

このブリーフの固定化のプロセスが表に出ると、政治家は落選してしまうので、科学の方法を排除し、科学の方法と根拠となるエビデンスの計測を妨害します。スマホによるDXは、もちろん排除の対象なので、DXを阻害するマイナンバーカードに固執します。

 

マイナンバーカードは、DXを阻害するツールなので、十分に機能しています。

 

個人IDを使った課税システムは、エストニアで既に実現していますので、各段、難しい技術ではありません。

 

マイナンバーカードは、氏名の文字とよみが、IDに結びついていませんでしたので、これは、ID以前の問題です。

 

中国は、2006年5月1日に、漢字コードGB 18030を定めて、その中には、少数民族言語の文字も含まれています。

 

つまり、文字コードの統一問題は、国際的には、2006年頃には、検討が終了しています。

 

日本の戸籍は、この問題を2006年から、15年以上放置してきました。

 

中国では、IDと氏名の漢字コードとよみは、1対1に対応しています。

 

このIDが整理されていれば、エストニアと同じようなシステムを導入すれば、2、3年で、税金の申告は、スマホで5分で終わり、パーティ券のような脱税はできなくなります。

 

もちろん、システムに合わせて、法律を改正する必要があります。

 

当たり前ですが、法律に合わせて、システムを作ってはいけません。

 

なぜなら、厳密には、法律が間違っているからです。

 

例えば、氏名とID が対応していなければ、公平な課税は理論的に不可能です。

 

なぜなら、ある確率で、人の取り違えが起こるからです。

 

これは、現在の法律が、科学的に間違っていることを意味します。

 

(C2)人事権

 

安倍内閣は、政治主導(=利権主導)を主張して、人事権を掌握しました。

 

科学の方法によってブリーフを固定化する官僚は、危険人物なので、左遷され、排除されています。

 

忖度して、権威の方法を守る官僚が良い官僚です。

 

法度制度に基づく年功型雇用によって、科学の方法の排除が完成しています。

 

歴史的にみれば、人文科学の研究者は、そのときの権力者の政治を正当化する理論を捏造してきました。現在の日本でも、伝統に従った由緒正しい人文科学の研究者が多数います。

 

年功型雇用には、法度制度が組み込まれています。

 

ポストの上位の人間は、下位の人間に対して、仕事や人事を押しつける権利を持っていることが、正当であると考えられています。

 

官僚の法度制度の最上位は、事務次官でしたが、安倍政権は、政治家が法度制度の最上位に位置するように組み替えています。

 

安倍政権が、人事権を掌握する前にも、科学の方法ではなく、権威の方法が使われていたため、官僚は、安倍政権による人事権の掌握に抵抗できませんでした。

 

年功型雇用と法度制度のないジョブ型雇用でも人事は、科学の方法を反映しています。

 

2023年11月17日にOpenAIの取締役会が、アルトマン氏のCEO職を解任しました。その後、11月19日にはアルトマン氏のMicrosoft加入が発表されていましたが、11月22日にアルトマン氏はOpenAIにCEOとして復帰しました。

 

ここで、指摘しておきたいことは、ジョブ型雇用では、OpenAIのようなダイナミックな人事が当たり前であるという点です。また、ジョブ型雇用では、給与はポストとは直結しません。ポストもピラミッド型をしていません。

 

日本の年功型雇用は、人権無視であり、世界では異端です。

 

これは、政治主導(政治利権)を維持する装置になっています。

 

(C3)許認可行政と天下り

 

拡張された過疎問題では、過疎のエリアを政治資金の集金組織(集団)と非集金組織(集団)の2つにわけます。

 

そして、政治資金の集金組織には、キャッシュバックをします。

 

この政治資金の集金組織には、官僚が天下りをして、キャッシュバックの一部を受け取れる仕組みになっています。

 

官僚も利権のキャッシュバックシステムに組み込まれていますので、内部告発がおこらない仕組みになっています。

 

予算作成は、官僚が行いますので、どこの国にも、予算配分とセットの官僚の天下りはあります。アメリカは、軍事産業が、官僚の天下りに繋がっています。

 

しかし、これは、兵器が市場で取引されないという特殊性を反映しています。

 

市場で取引されるものやサービスに関連した天下りは、少ないです。また、行政から独立して監視機関も設置されています。

 

仮に、天下りがあっても、年功型雇用ではありませんので、効果は一時的です。

 

さて、拡張された過疎問題では、過疎のエリアを政治資金の集金組織(集団)と非集金組織(集団)の2つにわけるところがポイントです。

 

政治資金を上納して、天下りを受け入れ、めでたく政治資金の集金組織に認定されれば、許認可行政で、営業許可が与えられます。

 

政治資金の上納金が少なければ、営業許可が与えられませんので、上納金を増やす必要があります。

 

天下りシステムによって、この上納金は政治資金だけでなく、天下り官僚の受け入れによる人件費負担でもかまいせん。

 

日本では、政治資金の集金組織に認定されないと、ビジネスができなくなっています。

 

逆にいえば、ビジネスができる条件は、政治資金の集金組織に認定されることであって、ビジネスの内容とは関係がありません。

 

ビジネスの内容がビジネスが継続できる条件であれば、「政治資金の集金組織に認定されないと、ビジネスができない」というシステムが維持できなくなります。

 

市場経済では、ビジネスの内容がビジネスが継続できる条件です。

 

よいものやサービスをより安価に提供できれば、ビジネスが継続できます。

 

情報の非対称性があって、市場が正常に機能しない場合には、保険を併用することで、障害を軽減できます。

 

例えば、各種学校は許認可ですが、学校が閉校になったり、学習内容に問題があった場合には、保険金が支払われるような保険への加入を義務づければ、許認可の内容を減らすことができます。

 

「政治資金の集金組織に認定されないと、ビジネスができない」という許認可モデルは、市場経済とは相容れません。

 

文部科学省は、習得主義ではなく、履修主義です。

 

習得主義では、授業に出席すれば、習得できなくとも、卒業単位が得られます。

 

ここで、アブダクションを使って、文部科学省は、習得主義をとった場合の影響を考えます。

 

習得主義をとると「政治資金の集金組織に認定されないと、ビジネスができない」という許認可モデルがくずれてしまいます。

 

政治資金が集まらなくなり、官僚は天下り先がなくなります。

 

ですから、習得主義ではなく、履修主義でないと困る訳です。

 

これがわかれば、科学技術立国の議論は、フェイクであることが理解できます。

 

政治主導(利権誘導)を阻害する科学技術立国はあってはならないわけです。

 

2)中抜き経済



冷泉彰彦氏は、中抜き経済について次のように述べています。(筆者要約)

2024年問題としてクローズアップされている、運送業や建設現場の人手不足問題があります。トラック輸送の仕事は、ドライバーが直接荷主から報酬を受け取るのではなく、間に(報酬を中抜きする)多くの中間業者が介在しており、ドライバーの報酬は低く抑えられています。建設現場での職人への報酬にも似た構造があります。



経済のあらゆる段階に「事務部門の維持費」という固定費(中抜き)がかかるために、現場の報酬が上がらない、これが「中抜き経済」の大きな問題点です。

 

付加価値を産まない中抜きをDXによって効率化すれば、現場では大幅な賃金アップと労働時間削減を達成できます。

 

社会は専門職としてそのスキルを評価するような社会、つまり公平で流動的な労働市場が開かれた社会にすべきです。

 

成功の鍵は、事務仕事の人材の解雇です。解雇規制を緩和して痛み先行で進めるのは得策ではありませんし、何よりも社会を暗くします。そうではなくて、成功事例によるトレンドを生み出すべきです。

<< 引用文献

日本を衰退に追いやる「中抜き」経済を考える 2024/02/07 Newsweek 冷泉彰彦

https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2024/02/post-1341.php 

>>

 

中抜き経済は、天下りの人件費の捻出のために存在しています。

 

中抜き経済は、政治主導(利権誘導)を維持して、市場経済を潰しています。

 

労働市場があれば、中抜き経済はあり得ません。

 

ドライバーが働く会社の選択に、A社とB社があり、A社は、DXによって中抜きがすくなく、B社より賃金が高ければ、ドライバーは、B社を選びます。

 

これが、労働市場です。

 

解雇規制の解除は、年功型雇用を憲法違反として全企業で解除する方法で行なわれる必要があります。

 

なぜなら、解雇された場合、全ての企業が、ジョブ型雇用でなければ、再就職するための労働市場がなくなるからです。

 

年功型雇用は、人権無視の特攻をすすめている明治憲法の元で、戦時体制として作られました。特攻と同じように、年功型雇用は、組織を個人より優先します。これは、人権無視です。過労死や自殺が多い原因は、年功型雇用は、組織を個人より優先するためと思われます。

 

戦後、人権優先の新憲法ができたので、年功型雇用は、その時点で解散すべきでした。

 

明治憲法下のルールを行政や法律の継続性を理由に続ければ、それは、新憲法の人権違反になります。

 

組織の空気をよむ年功型雇用のブリーフの固定化は、特攻と変わっていません。

 

中抜き経済ができるためには、A社とB社が同じレベルの中抜き費用を設定する必要があります。これは、建設工事の談合と同じ構造です。

 

談合のシステムは、第1に、「政治資金の集金組織と非集金組織(集団)の2つにわけ」、第2に、「集金組織ないの中抜きのレベルを均等化」することがポイントです。

 

拡張された過疎問題は、拡張された談合を生みます。

 

運送業と建設業は、拡張された談合に組み込まれています。

 

その結果、中抜き経済が出来ています。

 

労働市場があれば、中抜き経済はなくなり、ドライバーの賃金はあがります。

 

その場合には、「政治資金の集金組織」と天下り先がなくなります。

 

それは、まずいというので政治家と官僚が、労働市場に反対しています。

 

その結果、賃金の男女格差は残ります。

 

労働力不足も残ります。

 

経済学では、問題解決は、市場経済を使ったTINA(There is no alternative)しかないことがわかっています。

 

政府は許認可を更に拡大しています。

 

例えば次もその一例です。

政府は、外国人技能実習に代わる新制度「育成就労」で、別の職場に移る転籍の手続きから悪質なブローカーを排除するため、民間の職業紹介事業者の関与を当分認めない方針を固めた。自己都合で転籍する場合の日本語能力の要件も厳格化する。

国土交通省は、単身高齢者らが賃貸住宅に入居しやすいよう、社会福祉法人などによる見守り機能が付いた「居住サポート住宅」を創設する。

 

入居者の生活を継続して支援するとともに、大家が安心して物件を貸し出せる環境を整えるのが目的で、自治体が認定する仕組みを設ける。

 

 併せて、入居者の家賃債務保証を引き受ける業者を国が認定する制度も創設。住宅セーフティーネット法の改正案を開会中の通常国会に提出する。

 

悪質なブローカーは、政治主導の許認可の隠れみのに過ぎません。

 

見守り機能が付いた「居住サポート住宅」は、民間が市場で供給できるサービスで、政府の介入は不必要です。

 

政府が、保証すると保険サービスのビジネスを潰してしまいます。

 

このような問題は、市場原理と保険の組合せで解決できます。

 

「大家が安心して物件を貸し出せる環境」は、保険でカバーできます。

 

政治と政府は、拡張された過疎問題を続けて、日本の経済発展を阻害していますので、これから、日本は、更に、貧しくなります。