孤立集落の課題

(能登半島を例に孤立集落を考えます)

 

1)孤立集落

 

能登半島地震被害では、孤立集落が問題になりました。

 

孤立集落という単語のイメージからは、細い道で都市部とつながっている集落に思えます。

 

しかし、Googleマップ能登半島の航空写真をみれば、そのような集落はありません。

 

航空写真を見ると都市と都市をむすぶ道路沿いに、小さな集落が見えます。

 

孤立集落とは、地震などの災害で土砂崩れが起これば、孤立する集落を指しています。

 

高度成長期の前に、宮崎県の職員をしていた人の話を聞いたことがあります。

 

山間部の椎葉村に行くには、宮崎市から歩いて2日かかりました。

 

そのときには、過疎問題も、孤立集落問題もありませんでした。

 

自動車は普及しておらず、山間部には、自動車が通れる道路もありませんでしたので、救急車が来ることはありませんでした。

 

現在では、宮崎市内から椎葉村までは、3時間かからないで自動車で行くことができます。

 

2024年の現在の基準でみれば、救急車がこれない家屋、病院が近くにない家屋は、居住に適しているとは判断できません。

 

過疎問題は、田中角栄氏の日本列島改造論によって、全ての集落を結ぶ自動車道路を作る計画とともに生み出されました。

 

孤立集落とは、過疎問題のバリエーションに過ぎません。

 

現在では、大型車両が入れる道路に近くなければ、住宅を建てることができません。

 

孤立集落の家屋には、道路沿いに移転した家屋もあったと思われます。

 

この移転時に、より利便性の高い都市部に近い場所に移転していれば、その家屋は、孤立集落の中にはなかったことになります。

 

人権によって、居住の自由と移動の自由がありますので、孤立集落の家屋を強制的に都市部に近い場所に移転させることはできません。

 

行政ができることは、次の2つです。

 

(C1)土地利用計画によって、将来の居住環境をデザインして、その情報を公開する。

(C2)土地利用計画によって、良質で安価な居住地域を供給する。

 

2)土地利用計画の失敗の原因

 

土地利用計画は、全総から始まっています。

 

土地利用計画は、お題目だけで、実効性はゼロでした。

 

欧米では機能している土地利用計画は、日本では悉く失敗しています。

 

作られた過疎問題があれば、土地利用計画が邪魔になります。

 

政治家は、計画ではなく、利権にしたがって公共事業を配分したい訳です。

 

官僚と学者は、政治主導(利権主導)に対して、ストップをかけられなかったことが、土地利用計画が失敗した原因です。

 

政治家は、選挙に勝てば正義で、何でも許されると主張します。

 

これに対する歯止めは、人権の尊重と、科学の方法をつかう以外の方法は、ありません。

 

官僚と学者は、人文科学の権威の方法に頼っていたことが歯止めに失敗した原因です。

 

バブルの頃には、地価は異常にあがり、首都圏の都市部では、サラリーマンの給与では、宅地が購入できなくなりました。

 

都市部からなはれた地域で宅地開発が行なわれました。

 

現在では、高齢化した鉄道の駅から遠い宅地は、居住者が減って生活困難になりつつあります。

 

これは、土地利用計画の失敗であり、過疎化問題(政治主導、利権政治)が引き越した結果です。




過疎問題はありませんが、土地利用計画問題があります。

 

人口の過密は避けるべきです、

 

人口の少ない地域が出ることは避けられません。

 

土地利用計画では、計画上の人口の少ないエリアは、災害の脆弱地域に設定します。

 

孤立集落の問題は、道路整備では解決できません。

 

孤立集落の問題は、土地利用計画の問題です。

 

過疎地域の土地利用には、選択と集中が必要であるという人もいます。

 

しかし、選択と集中、すなわち、土地利用計画の失敗問題は、1972年の日本列島改造がもたらした政治主導の結果であり、過去50年間、一度も成功したことにない問題です。

 

青森市は、コンパクトシティの見本のように扱われた次期もありますが、現在は失敗が明らかです。

 

政治主導をストップして、科学的な欧米並みの土地利用計画を実現する他に、住宅難の問題を解決する方法はありません。

 

土地利用計画については、次回に考えます。