リチャード・カッツ氏が、東洋経済に次のように書いています。
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デジタル分野に1円投資するごとに企業が得られる利益の大きさを示す「デジタルアジリティ」において、日本が63カ国中63位というのも当然のことである。
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ここで、「デジタル分野に1円投資するごとに企業が得られる利益の大きさを示す」という説明は、筆者の理解と異なりましたので、そのような定義があるのか、調べてみました。
Agility(名詞、機敏)とagile(形容詞、機敏な)は、同じ意味です。
野村総合研究所は、次の様に説明しています。
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アジャイルとは
アジャイルおよびアジャイル開発とは、小さな単位で動くソフトウエアを作っていく考え方、あるいは、その方法論まで含めて表現する場合もあります。2020年ごろから、ソフトウエア開発だけではなく、経営にもアジャイルを取り入れる動きが見られます。
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ここでは、ソフトウェアの開発手法を応用したと説明しています。
日本では、このパターンの説明が多いです。
森重和春氏は、「アジャイル型の開発は組織のアジリティを考えるうえで一部の要素にすぎない。 組織のアジリティを高める要素は、アジャイル開発以外にも数多くある」として、この2つを区別しています。
森重和春氏の議論は、組織のアジリティであって、デジタルアジリティではありません。
デジタルアジリティは、ウィキペディアにもありません。
chakrayには、Digital Agilityの説明があります。
ここには、Digital Agilityが失敗する要因に、次があげられています。
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不整合なガバナンス構造
多くの組織には、依然として集中化されたアーキテクチャ ギルド、設計フォーラム、変更諮問委員会、ガバナンス委員会、技術設計当局が多数存在します。これほど精査されている中で、どうして変化が急速に起こると期待できるのでしょうか? 現在では、テスト/QA ツールや CI/CD パイプラインの自動化を通じて必要な基準を維持するなど、精査とデュー デリジェンスに対するより機敏なアプローチが採用されています。
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これを読むと、デジタル庁には、Digital Agilityがないので、失敗する運命にあったことがわかります。
ウィキペディアで、Digital Agilityに近い用語に、Business agility(英語版)があります。
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ビジネスの機敏性(Business agility)
ビジネスの機敏性とは、競争上の優位性を獲得し維持することを目的とした、迅速かつ継続的かつ体系的な進化的適応と起業家的イノベーションを指します。ビジネスの機敏性は、顧客の需要を満たすために提供される商品やサービスを維持および適応させ、ビジネス環境における市場の変化に適応し、利用可能な人的リソースを活用することによって維持できます。
ビジネスの文脈における俊敏性とは、生産的かつコスト効率の高い方法で市場や環境の変化に迅速に適応する組織の能力です。この概念を拡張したものがアジャイル エンタープライズであり、成功を達成するために複雑な適応システムと複雑性科学の重要な原則を使用する組織を指します。ビジネスの機敏性は組織インテリジェンスの結果です。
歴史
ビジネス組織の属性としての「機敏性」の概念は、極度の複雑さに直面しても予測可能な方法で業務を遂行するという現代のビジネスの要件に応えて生まれました。特に、ソフトウェア開発組織は、要件の変化、技術の複雑さによる不確実な結果、システム全体の複雑さによる不確実なシステムダイナミクスの問題に対処するために、アジャイル手法として知られる特定の一連のテクニックを作成しました。アジャイル コミュニティの思考を形作ってきたアイデアの一部は、複雑性科学の研究と複雑適応システム(CAS) の概念から生まれました。
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これから、アジリティの理論的根拠は、雑な適応システムと複雑性科学にあることがわかります。
更に次のようにも書かれています。
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官僚制との比較
アジャイルな企業と従来の官僚的組織の間には、いくつかの重要な違いがあります。
最も注目に値するのは、機敏な企業が動的な意思決定構造を可能にする流動的な役割定義を使用していることです。従来の官僚制の特徴である厳格な階層とは異なり、機敏な企業内の組織構造は、変化するビジネス条件に流動的に適応し、現在の方向性と新たな競争上の優位性をサポートする構造を形成する可能性が高くなります。
同様に、機敏な企業は、官僚的組織に典型的な競争上の優位性を維持するという概念に固執しません。競争が激しく、絶えず変化する市場で事業を展開する機敏な企業は、アイデア、製品、サービスの強みを一時的に活用し、維持できなくなったらすぐに放棄するという、一連の一時的な競争上の優位性を追求します。
最後に、アジャイル企業には、無能さを追求する個人が多数存在します。彼らは、1 つの分野で一定レベルの熟練度を獲得するために熱心に働きますが、専門知識を開発するために次の「新しい」分野に移ろうとする傾向があります。従来の官僚組織によく見られる、1 つの話題の分野を何年も専門的に専門とする専門家はいません。
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ここで、「官僚制」と呼んでいるのは、ジョブ型雇用の官僚制です。
日本の多くの企業は、年功型雇用で、しかし、これからも、春闘を続けるといっています。
欧米の企業は、ジョブ型雇用で、ビジネスの機敏性をあげるために、組織マネジメントの改良を進めています。
それらの手法には、科学的な裏づけがあります。
年功型雇用を継続することは、組織マネジメントの改良を放棄していることになります。
引用文献
Digital Agility
https://www.chakray.com/initiatives/digital-agility/
デジタル時代のプロマネ、必要なのはアジャイルより「アジリティー」2018/10/24 Niike X Texh 森重 和春
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00139/102200029/
27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由 このままでは最大80万人が不足する事態に 2023/05/02 東洋経済 リチャード・カッツ
https://toyokeizai.net/articles/-/669331