フィルムカメラの時代には、解像度の問題はなく、被写界深度だけが問題でした。
被写界深度をあげるためには、絞りを絞れというルールです。
フィルムカメラの時代には、解像度と被写界深度を区別する必要はありませんでした。
フィルム時代には、絞ると解像度が上がりました。
フィルム時代には、風景写真は、光量が十分あれば、F16やF22で撮影する人もいました。
アンセル・アダムスの撮影した写真には、F30で撮影したものもあります。
現代のデジタルカメラでは、解像度の最大は、F4からF5.6の間にあることが多くあります。
これは、センサーの解像度とレンズの分解性能のバランスできまります。
多くの場合、F11では解像度は落ちてしまいます。
デジタルカメラになって、解像度と被写界深度を区別する必要が出てきました。
解像度は、レンズの性能と画像センサーのピッチのバランスできまります。
レンズの絞りを大きく開くと、収差の影響が増加して解像度が落ちます。逆に開口絞りを下に絞ると回折が増加し、解像度が落ちます。
しかし、モニターに映しだされるJpegは、解像度と被写界深度が合成されたものです。
つまり、Jpeg画像の状態を説明するためには、解像度と被写界深度が合成された結果を示す別の単語が必要です。
この単語を検索したのですが、わかりませんでした。
結論としては、レンズの解像度と画像の解像度と区別するしかなさそうです。
NIKONは、「絞り込むことで全体がシャープになっていくはず」と書いています。
これは、回析現象の説明なので、「全体がシャープに」は、「画像の解像度」を意味していると思われます。この説明は、フィルム時代のアナロジーです。
とはいえ、NIKONのマニュアルの説明は、極めて正確です。
パナソニックの説明は、以下です。
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By altering the aperture setting, the depth of field and the sharpness of the image can be controlled for greater photo expressivity.
絞り設定を変更することで、被写界深度と画像のシャープネスを制御し、写真の表現力を高めることができます。
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これは、正確には、次のように書かれるべきです。
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絞り設定を変更することで、被写界深度と「レンズのシャープネス」を制御し、「画像のシャープネス」を変化させることで写真の表現力を高めることができます。
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フィルム時代には、被写界深度解像度をあげるためには、絞りを絞れというルールが使われていました。
よくある説明は以下のようなものです。
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F8からF11あたりに設定するとパンフォーカスで撮影することが可能です。
F値をF16以上に上げると、回析現象による画質劣化が起こります。
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風景写真では、もっとも近景にある被写体が、10m以上離れていれば、絞りを絞らなくとも、被写界深度の大きなパンフォーカスになります。
つまり、F8からF11あたりに設定して、パンフォーカスで撮影すると良いという説明は正しくありません。
パンフォーカスになっているかは、絞りを開放近くに設定して、フレームの中に、被写界深度を外れたボケのある部分があるかを点検すればわかります。
Todd Vorenkamp氏は、レンズの解像度について、「レンズの最もシャープな絞りは、レンズの最大絞りから 2 ~ 3 段絞ったところにある」という経験則を主張しています。
引用文献
Lesson21:最適な「絞り」の見つけかた
https://www.nikon-image.com/enjoy/phototech/lenslesson/lesson21.html
Aperture Value and Expression
https://av.jpn.support.panasonic.com/support/global/cs/dsc/knowhow/knowhow06.html
How to Find Your Lens's Sharpest Aperture or Sweet Spot 2022/08/22 Todd Vorenkamp
https://www.bhphotovideo.com/explora/photography/features/lens-sharpest-aperture-sweet-spot
Sharpness: What is it and How it is Measured