1)鄧小平の猫
「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」(中国語: 不管黑猫白猫,能捉到老鼠就是好猫)とは、中国共産党の指導者鄧小平に帰せられる有名な言葉であり、その考え方を猫論、白猫黒猫論、黒猫白猫論ともいいます。
中国語のウィキペディアによれば、出典は、聊齋志異にたどれます。
日本語のウィキペディアは、次のように解説しています。
「計画経済であれ市場経済であれ資源配分の手段の一つに過ぎず、政治制度とは関係がない。資本主義にも計画はあり、社会主義にも市場はある。生産力の発展に役立つのであれば、実践の中で使用すればよい。この言葉はおおむねこのような意味である」
2)英語の文献
ウィキペディアの「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」には、中国語版と日本語版しかありません。こうした場合には、日本語版ウィキペディアと英語圏の理解が異なっている可能性があります・
1985年、鄧小平(Deng Xiaoping)はタイム誌の今年の人に再選(第1回は1978年)され、「黒猫でも白猫でも、ネズミを捕まえれば良い猫は良い猫だ」という言葉がタイム誌に掲載され「猫理論」が、世界中に広まりました。
つまり、猫理論を普及させたのは、タイム誌です。
「Chinese Terminology: Black Cat White Cat CCTN」には次の様に書かれています。
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「黒猫白猫」というフレーズを聞くと、おそらく猫の友達のことが頭に浮かぶでしょう。実はこの表現は中国の改革開放以来広く知られていた理論です。
これは、1960 年代の故鄧小平指導者の言葉「黒猫でも白猫でも、ネズミを捕まえることができれば、それは良い猫だ」という言葉に基づいています。
つまり、計画経済であろうと市場経済であろうと、経済は資源を配分する手段にすぎず、政治制度とは何の関係もありません。
社会主義には計画があり、資本主義には市場があります。経済が生産性を向上させることができる限り、両方を実際に使用することができます。
現実主義者として、鄧小平は理論的な議論に参加すると(経済発展の、筆者注)機会が遅れると信じていました。彼は、空虚な議論は役に立たず、真実は実践でのみ検証できると考えました。したがって、彼によれば、私たちは大胆に行動するべきであり、何かを試す前に結論を急ぐべきではありません。
そのソリューションは開発目的の問題を解決しますか? それが最も重要なことです。特定の要件を満たしていても、問題を解決できないソリューションには価値がありません。彼は、重要なのは結果だと考え、イデオロギーの純粋さなど気にしていませんでした。
そして長年の実践を経て、現在、中国は中国の特色ある社会主義への新たな道を切り開き、社会主義市場経済を確立しています。
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3)データサイエンス
鄧小平の言葉はエビデンス革命に翻訳できます。
「そのソリューションは開発目的の問題を解決しますか? それが最も重要なことです。特定の要件を満たしていても、問題を解決できないソリューションには価値がありません」
=>問題を解決できる因果モデルでなければ価値はありません。
イデオロギーの理論的な議論(形而上学の議論)は、経済発展の機会を失なわさせます。彼は、形而上学(空虚な議論)は役に立たず、真実は(科学理論のエビデンスに基づく)実践を通じた検証でしか得られないといいます。したがって、私たちは大胆に行動(問題解決のための仮説命題を作成)するべきであり、何かを試す(エビデンスに基づく検証)前に結論を出してはいけません。
つまり、鄧小平は、形而上学のイデオロギーより、科学の方法を優先していたことがわかります。
書店にいくと売れ筋の本は、形而上学(空虚な議論)ばかりです。「マルクス主義が問題を解決する」、「いきすぎた資本主義」など、これらのは、鄧小平が、否定しています。中国は、科学の方法を取り入れることで、経済成長を達成しています。
「そのソリューションは目的の問題を解決しますか?」
最近、この設問にYESと答えられる政策や提言はみたことがありません。
引用文献
Chinese Terminology: Black Cat White Cat 2018/11/28 By Zheng Chunying, Sun Zhifu
https://news.cgtn.com/news/3d3d414d7741544f30457a6333566d54/share_p.html