1)生成AIでなくなる仕事
生成AIが、出てきて、これから、生き残る仕事は何かという議論がなされています。
生成AIにできる仕事では、これから、たべていけなくなるので、教育カリキュラムを抜本的に見直すべきという人もいます。
こうした発言には、2つの点で、疑問があります。
2)前提の課題(第1の疑問)
人間の仕事が生成AIに奪われるという説明は、デジタル社会へのレジームシフトが順調に進んでいることが前提にあります。
2023年の現状は以下です。
ー日本以外の国レジームシフトが進んでいる。
ー日本では、レジームシフトが進んでいない。
つまり、日本では、レジームシフトが進んでいないので、生成AIでなくなる仕事はありません。FAXすらなくならないのですから、生成AIを活用することは夢のまた夢になります。
これからは、2つの選択があります。
A.今後も日本はデジタル社会にならない。
B.レジームシフトの阻害要因を取り除く。
生成AIが出てきて、将来の仕事がなくなるという議論がさかんに行われています。
これは、B.の場合の議論です。
実際の2023年の日本は、A.ですから、生成AIが出てきても仕事はなくなりません。しかし、それは、happyではありません。デジタル社会に移行している国にくらべて、賃金が安くなります。生活が苦しくなります。
生成AIを論じる人は、日本の社会には、日本も他の国と同じように、自然体で、デジタル社会へのレジームシフトが実現できると思い込んでいるふしがあります。
しかし、致命的なDXの遅れがあります。マイナンバーカード問題は、レジームシフトの阻害要因を想定しなければ説明できません。
DXが遅れが進んで、海外とのDXギャップが大ききなった場合、B.を行うと、一時的な社会混乱が起こります。
DXギャップが小さいときには、B.を行ってもソフトランディングが可能です。
しかし、日本は、既に、ソフトランディング可能な領域を通り過ぎてしまったと思います。
社会的混乱は、フランス革命をイメージすれば、理解できると思います。旧勢力が撤退したあとで、安定した新勢力が力を持つまでは、色々な勢力が入れ替わります。
同様に、考えれば、デジタル社会へのレジームシフトは直線的にすすまず、革新とアンシャンレジームを繰り返しながら進むと思われます。
これは、旧勢力の撤退が、問題解決に結びつくまでには、時間がかかることを意味します。
3)生成AIを活用するのが前提(第2の疑問)
生成AIが、出てきて、これから、生き残る仕事は何かという議論がなされています。
生成AIにできる仕事では、これから、たべていけなくなるので、教育カリキュラムを抜本的に見直すべきという人もいます。
この2つの質問に最も正確に答えられるのは、生成AIだと思われます。
例えば、教育カリキュラムを抜本的に見直して新しいカリキュラムを作る問題を考えてみます。ここに2種類の新しいカリキュラムがあったとします。
第1のカリキュラムは、人間の専門家が作ったものです。
第2のカリキュラムは、生成AIが作ったものです。
どちらが優れているでしょうか。
筆者は、第2のカリキュラムの方が優れていると思います。
生成AIは、学習者毎にひとりひとり異なった、カリキュラムを作ることができます。
生成AIは間違いを犯します。
しかし、全ての行動には、エラーや間違いは付帯しています。
エラーや間違いは修正する必要がありますが、ある確率以下で起こるエラーや間違いは回避する必要はありません。あるいは、回避できません。
生成AIが、出てきて、これから、生き残る仕事は何かという議論を生成AIではなく、人間が行うことが合理的な場合は、人間の方が賢い場合だけです。
既に、この前提が崩れていますので、人間が無理に考えてもよい結果は出せません。
カリキュラムではありませんが、ビジネスマンはセミナーが大好きです。
セミナーを聞けば、わかった気になりますが、実際は何もわかっていないことが多いです。
例えば、生成AIのセミナーを聞いても、生成AIを作ることが出来るようにはなりません。
セミナーの目的は、生成AIを使えるようになることで、生成AIを作りことではないと反論する人がいるかもしれません。
しかし、生成AIを使えるようになるには、実際に生成AIを使ってみる方が早道です。
これは、自動車の運転は、いくら講義を聞いても出来るようにならないことと同じです。
セミナーの講師は、生成AIの今後の展望のような話をします。しかし、文献を読んでレニューする能力は、生成AIの方が、人間より高いです。つまり、セミナーの講師の「生成AIの今後の展望」は、部分的には、生成AIの作成した「生成AIの今後の展望」のパクリになっているはずです。そうでないセミナーは、文献の見落としリスクが高すぎて聞けません。
この現状は、「日本では、レジームシフトが進んでいない」に対応しています。