キヤノンイメージゲートウェイ編集部が、アドビの「ストックフォト」を紹介している記事があります。
キヤノンなどのカメラメーカーは写真教室を開いていて、教室で学習すれば、プロのように写真が撮れると説明しています。
プロの写真家のビジネスモデルは次のようなものです。
なお、ペットの写真は、ポートレイトに準じます。
・ライティングが100%できるスタジオ写真撮影(ポートレート)。
・結婚式の写真。
・集合記念撮影。
・スポーツ写真。
・商品撮影(ファッション、フードなど)
・特殊な対象(動物)
ポートレートを除けば、基本的にボケは不要で、カメラのオートやスマホで十分に良い写真がとれます。
言い換えると、写真教室とは、対象ごとの絞りやシャタ―速度のパターンを学習することがメインです。この部分は、オートが十分賢くなっています。
さて、アドビの「ストックフォト」を紹介には、アドビの「審査の基準」が載っています。
この第3の条件が、参考になります。
3:顧客から求められている素材であること
花、ペット、夕焼け、観光名所などの写真は、Adobe Stockですでに数多く発表されています。その中で際立つ魅力のある、価値ある写真であることが重要です。時事的なトピックを反映した写真もよく利用されます。
これは、写真教室では、「顧客から求められている素材」は学習できないことを意味します。
人並の写真では、ダメです。花、ペット、夕焼け、観光名所とポートレートを除きます。アドビの除外条件にポートレートが入っていない理由は、肖像権の問題があるので、プロのモデル以外は使えないためと思います。ポートレートでは、写真が下手でも、モデルが良ければ通ります。アマチュアカメラマンのポートレートは家族のポートレートなので、販売対象にはふくまれません。なので、除外されています。
自分の写真ストックから、この5タイプを写真を除外して、何が残るかを考えると、「顧客から求められている素材」の意味がよくわかります。
カメラマンの撮影技術は、カメラのオートモードやスマホで代替されています。
スピードライトの多灯照明のような新しい技術も出てきていますが、これは、Godoxの独占市場です。
「顧客から求められている素材」が撮影できるようなカリキュラムを考えた場合、それは、他の人とは同じことをしないカリキュラムになると思われます。
現在のカリキュラムは、他の人と同じことができることを前提にしています。
しかし、このカリキュラムで学習したカメラマンは、カメラのオートモードに勝てません。
筆者は、犬の散歩をしながら写真を撮影します。
以前は、絞り優先で、犬を撮影する時には絞りをあけて、風景を撮影するときには、絞りを絞って撮影していました。
しかし、この切り替えを頻繁に行うことは煩雑です。また、切り替え間違いが起こって、上手く撮影できないこともあります。
オートモードでは、被写体までの距離によって、絞りを開けたり、絞ったりしてくれます。
風景写真では、絞り優先では、F8を使います。一方、オートモードでは、F7.1にしかなりません。しかし、切り替えに時間がかかって、シャッターチャンスを逃したり、切り替えに失敗することはなくなりました。これは、絞り優先にするつもりが、シャッター速度優先になっていたような間違いです。
最近では、トータルの歩留まりを考えるとオートモードでよいと考えています。
昔のレンズは、F8まで絞らないと解像度が十分でないものも多かったですが、最近のレンズは性能がよくなったので、F4まで絞れれば、解像度の問題はほぼ生じません。F8とF7.1の違いが問題になることはほぼありません。
今回のおちは、AIとの共存の仕方です。カメラのオートモードは、かなり単純なAIですが、それでも、瞳認識などのオートフォーカスの性能はカメラマンをしのいでいます。写真教室のカリキュラムをどうしたら、「顧客から求められている素材」が撮影できるようになるかという問題は、教育問題の単純化された場合になります。
今までのように、決められたパターンを習得するカリキュラムを続けても、今後は、カメラマンと同じように、失業する人が続出するはずです。
そのまま解くことができないような複雑な問題は、単純化された場合をヒントに解法を考えるとうまくいくことがあります。そう考えると、アドビの「花、ペット、夕焼け、観光名所などすでに数多く発表されてい写真では、その中で際立つ魅力のある、価値ある写真であることが重要です」という指摘は、重要なヒントを含んでいます。
ある人は問題を解くより、問題を見つける能力が大切であるといいます。
アドビの指摘は、すでに数多く発表されてい写真素材の中から、新しい美を見出す能力が必要であることを示しています。
本当のクリエター以外は食べていけなくなることを意味しています。