ズームレンズの画角と撮影法(3)

Kiss M/M2の標準ズームレンズで画角のサンプルを示します。

 

画角の説明は、一般には、広角(写真1)換算24㎜は広い範囲が写り、望遠(写真2)換算72㎜は狭い範囲が大写しになるといったものです。

 

しかし、これは、実際にレンズをズームさせれば、直ぐにわかることですので、操作の説明は不要です。カメラやレンズの使い方で、標準、広角、望遠といった用語は頻出しますので、その点では、用語の理解は必要になります。

 

カメラを購入して、絞りの意味がわからなければ、取り敢えずは、オートかPモードで撮影します。オートモードは、手ブレを防ぐために、露光の明るさ優先で撮影します。ポートレートは、F値を小さくして、線を柔らかく、風景は、F8くらいまで絞って、解像度をあげます。オートで撮影すると、ポートレートも、風景も同じようなF値になってしまいます。最近のカメラは、インテリジェントオートなどの名称で、シーンの判別モードがついたオートモードもあります。この場合、シーン判別に成功すれば、ポートレートは、F値を小さくして、線を柔らかく、風景は、F8くらいまで絞って、解像度をあげてくれます。ただし、シーン判別に失敗することもありますので、絞り優先で、カメラマンが、自分で、F値をきめた方が確実です。

 

こうして、オートモードや、Pモードを卒業する最初のステップは、絞り優先モードで、F値を、カメラマンが設定するところから始まります。

 

それでは、プロのカメラマンは、オートモードや、Pモードを使わないかといえば、そんなことはないと思います。オートモードや、Pモードが必要になる場面は、シャッターチャンスが限られている場合です。決定的瞬間では、レンズを向けて、シャッターを押す以外の操作はできません。ストリートフォトでは、常に、シャッターを押せる位置に指をおいて、歩き回ります。この時は、オートでしか使えません。

 

さて、絞りと関連して、カメラマンが自由に設定できる要素は、画角と構図です。

 

写真3、写真4、写真5は、画角は違いますが、中央の花の大きさがほぼ同じになるように、距離を調整して撮影しています。3枚の写真は、被写界深度とレンズによる圧縮効果(or 周辺の写る範囲)が違います。

 

ズームしても、F値が変わらないレンズであれば、望遠の方が、被写界深度が浅くなり、ボケの量が多くなります。

 

15-45㎜F3.5-6.3のズームレンズは、15㎜がF3.5、45mmがF6.3が一番明るいF値になります。

つまり、望遠の方が、被写界深度が浅くなるか否かは、F値の違いによって変わります。

写真3、写真4、写真5のどれが、表現したい写真かの選別は、被写界深度で決めることは難しくなります。ただし、写真3、写真4、写真5で見るように、花の茎の角度は違います。

 

プロのカメラマンがズームにともないF値が変動するズームレンズを使いたがらない理由は、ここにあります。

 

F3.5からF6.3の間は1.67EVあります。このEVの差が大きくなると、ズームに伴うF値が大きく変動するので、被写界深度の変化を読みにくくなります。

 

撮影する写真は1枚ですが、頭の中で、写真3、写真4、写真5のどれを選んでいるのかを確認して、ベストな画角を設定できるようになると、良い写真が撮れます。

 

15-45㎜F3.5-6.3のズームレンズは入門用ですが、入門用だからといって、プロが愛好するズームしてもF値の変わらないレンズより操作が簡単ではない点に注意が必要です。

 

写真1 15mmF3.5:換算24㎜

 

 

 

写真2 45mmF6.3:換算72㎜

 

 

写真3 15mmF3.5:換算24㎜

 

 

写真4 35mmF5.6:換算56㎜

 

 

写真5 45mmF6.3:換算72㎜