ウクライナへの支援の現状

ウクライナへの支援は、1)資材・食料、2)兵力、3)武器、に分かれます。

 

最近の現状をまとめてみます。

 

1)資材・食料

 これには、非常に多くの寄付があります。ただし、市街戦に近い部分もあるようなので、ロジスティックが上手くいっているかは不明です。都市部では、食料不足であるとも伝えられています。

 

2)兵力

 

今の所、他の国の軍隊で、ウクライナに入った例はありません。

 

フランスは、「欧州軍の創設」をすべきという人が7割をこえています。

 

[03/03 Yahooニュース ] フランス公共放送は、フランス大統領選の候補者に話を聞くシリーズで、極右と呼ばれEU懐疑派のマリーヌ・ルペンに話を聞く番組を放送した。その中で、フランス人に「欧州軍の創設に好意的ですか」という設問の世論調査を発表した。

好意的が全体で72%、反対が全体で28%という結果となった。

 

アメリカでも、派兵すべきという人はいます。

 

派兵賛成者の割合は、戦況で変化しますので、今後の動向に注意する必要があります。

 

外国人部隊は1万6千人が到着していますが、国籍は明らかにされていません。

 

NATOは動くか」で想定したような派兵はしないが、外国人部隊への参加を認めるという動きが、ラトビアに出てきています。

 

[03/05 読売新聞 ]  ロイター通信によると、米国やカナダからは、退役軍人から戦闘経験のない一般人まで幅広い人が志願。志願兵についての各国政府の対応は割れる。ロシアと国境を接するラトビアでは、議会が2月28日、自国民の志願兵としての渡航を認めることを全会一致で決定した。

 

3)武器

 

 武器の提供は始まっていますが、温度差があります。

 

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[03/02 Bloomberg]ロシア高官:NATOと直接衝突のリスク増加

 

  北大西洋条約機構NATO)加盟国がウクライナへの武器供給を増やす中で、NATOとロシアの間で意図しない衝突が発生するリスクが高まっていると、ロシアのグルシュコ外務次官が指摘した。インタファクス通信が報じた。

 

  「ある種の衝突が起きないという保証はない。衝突がエスカレートしないという保証もない」と同次官は国営テレビに語ったという。

 

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ロシアの対応で、読み切れないことは、上記の発言の趣旨です。

 

一般には、次の図式が考えられます。

 

(1)ロシアとウクライナ

 軍事力の違い:ロシア>>ウクライナ

=>ロシアは、ウクライナに戦争で勝てる。

(2)ロシアとNATO

=>NATO>>ロシア

 NATOはロシアに戦争で勝てる

 

(1)だけをみれば、開戦することには、合理性があります。

しかし、(2)をみれば、開戦することに合理性はありません。

 

NATOは、本来は、(2)が明確であれば、NATOには、戦争を防止する機能があるという前提で活動しています。

 

バイデン大統領は、米国がウクライナに派兵すると、第3次世界大戦になるから、派兵しないと明言しています。この発言は、NATOには、戦争を防止する機能がないといっているに等しいですから、意図が不明です。

 

アメリカの姿勢が混乱の原因になっている可能性もあります。

 

(2)が、機能していれば、ロシア高官の発言はありえません。




エストニアも米国の承認を受け、スティンガーミサイルをウクライナに支援しています。

 

ドイツ政府は26日、ウクライナに携帯型地対空ミサイル「スティンガー」500発と対戦車火器1000発を速やかに供与すると発表しています。

 

[03/03 WSJ]バイデン米政権は26日、政府としてウクライナ向けに最大3億5000万ドル(約402億円)の軍事支援を追加で実施すると発表。米当局者は、政府がウクライナに供与する予定の兵器には、米国製の地対空ミサイル「スティンガー」や対戦車ミサイル「ジャベリン」に加え、小型兵器や弾薬が含まれると述べている。 

 

[03/02 コリア・エコノミックス]APはホワイトハウスウクライナにスティンガーを提供することを初めて承認したと伝えた。時期は現在のところ未定とのこと。

 

つまり、アメリカのスティンガーは、3月5日時点では、まだ、提供されていません。

更に、問題を複雑にしている点は、武器を誰が使うのかという議論がなされている点です。

 

[03/02NewsWeek]レジスタンスへの武器供与で事実上の「参戦」という道を選べば、悪夢の核戦争へのエスカレートが危惧される。だが米政府と議会の関係者によれば、議論は白熱している。

 

これも、よくわかりません。アフガニスタンでは、提供した武器が、反政府ゲリラに使われていたことがわかっています。

 

武器を提供した後で、その武器を誰が使うのかをコントロールできるとは思えません。

ともかく、アメリカのスティンガーは、まだ、ウクライナにいっていません。



国連で、ロシアの非難決議案に、反対または、棄権した国からの軍事的な支援があれば、バイデン大統領のいうように、第3次世界大戦になるかもしれませんが、それが無ければ、ロシアの敗色は濃いです。

 

ロシアには、エネルギー資源戦争として、次のステージがあり、ロシアに勝算があると考えている可能性はあります。そのような仮定を設けない限り、ロシアの軍事行動は、あまりに不合理にみえます。




外国人志願兵がウクライナへ続々、1週間で1万6千人…戦闘経験ない一般人も 2022/03/05 読売新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/361d0fe78162c187cc26e74d959762f964a79643

 

キエフ陥落を前に、フランス人の72%が欧州軍の創設を支持、モルドバEU加盟を申請:欧州の歴史の転換 2022/03/03 Yahooニュース 今井佐緒里

https://news.yahoo.co.jp/byline/saorii/20220304-00284874



米政府、ウクライナへの武器供与急ぐ 困難に直面も 2022/03/02 Wall Street Journal

https://jp.wsj.com/articles/u-s-rushes-arms-to-ukraine-as-russian-forces-escalate-attacks-11646175647

 

アメリカはウクライナ軍事支援を検討中 2022/03/02 NewsWeek ジャック・デッチ、ロビー・グラマー

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/post-98180.php

 

米がウクライナに地対空ミサイル「スティンガー」を支援へ アフガン戦争で旧ソ連軍困らせた兵器 2022/03/02 コリア・エコノミックス

https://news.nifty.com/article/world/korea/12329-1495153/

 

ロシアの孤立化鮮明、国連総会が非難決議-米はICBM発射実験延期 2022/03/02 Bloomberg

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-03-02/R83KSMDWX2PS01