日本製品の品質

1)日本製品の品質は悪い

 

今まで、日本製品は、品質がよい、あるいは、過剰品質であると言われてきました。

 

しかし、その話のエビデンスは揺らいでいます。

 

トヨタグループのダイハツは、輸出車について、検査データの不正が見つかっていました。2023年5月18日には、国内向けのハイブリッド車種でも不正が見つかっています。

 

自動車メーカーで、検査不正がみつかっていない会社はゼロでしょう。

 

2023年5月19日には、日立製作所の自動車部品子会社の日立アステモで、国内外の15拠点・22製品について、定期検査を実施していなかったり、顧客に無断で仕様を変更してた不正が発覚しています。出荷された部品は、2億個にのぼり、一部の不正は40年から行われてきたそうです。

 

不正をすることは悪いですが、検査に現実的に手間がかかったり、検査のパフォーマンスがわるければ、不正が起こりやすくなります。

 

検査は手段であって目的ではありません。

 

これだけ、不正が蔓延していることは、より簡便で、実用的な検査方法を採用していないなど、検査ルールにも、不都合があった可能性もあります。

 

日本の鉄道運行は、時間に正確であると言われます。しかし、時間厳守は福知山線脱線事故の原因にもなっています。時間を守ることは手段であって、目的ではありませんので、副作用を考えれば、時間に正確であることを喜べない面もあります。

 

検査の目的は、エラーを見つけて、改善することにあります。ところが、エラーがないという手段が目的化すると、エラーのないことがよいことになってまいます。

 

これは手段の目的化です。その結果、実現がない範囲で、検査を手抜きしてもよいという発想が生まれます。

 

行政では、製品検査は製造者に任せています。これは、利害関係者の検査を進めているので、バイアスがかかります。検査は、製造者でなく、第3者機関でもこなうべきですが、日本にはそのようなシステムは、消費者センターしかありません。これは、これームがあった場合に、対応することが原則で、大変規模が小さいです。第3者機関の計算は、手段ではなく、目的に性能を対象にする必要があります。

 

不正をみれば、日本製品の品質は高くないと思います。性能は目的を達成するための手段にすぎません。必要以上(不必要な)の性能で、価格が高い製品は、高品質とは言えません。

 

2)不正発覚時の対応

 

日本の組織の不正発覚時の対応のも異様です。

 

通常は、「謝罪して、原因を究明します」というだけです。

 

これは、生成AI以下の対応です。

 

こうした対応した出来ない人が企業幹部を務まるはずがありません。

 

日立アステモの不正に対するブリス・コッホCEOの対応は以下です。

 

(Z1)コンプライアンス違反に対する謝罪。

(Z2)安全性の懸念と法令違反は見つかっていない。

(Z3)経営陣の処分を今後検討する。

(Z4)再発防止策

(Z4ー1)2025年までに、3600台の試験装置を導入して、検査と計測を自動化する。

(Z4ー2)品質保証部門の嫌煙の強化と他部門からの独立性の確保をする。

 

ここで、大切なことは、(Z2)と(Z4)です。

 

この2つがあることで、不正の株価への影響を最小限にすることができます。

(Z4)は、不正の原因がわかっていないとできません。今回の再発防止先は、的外れである可能性もあります。しかし、会見時では、もっとも確率の高いと考えられる原因をあげています。

 

ブリス・コッホCEOの対応は生成AIでは、難しいでしょう。

 

欧米の投資家は、日本企業の経営者の能力に疑問を突きつけています。

5月25日に迫ったセブン&アイ・ホールディングス(HD)の株主総会を巡り、委任状争奪戦(プロキシーファイト)が激しさを増しています。

 

正確な内容は不明です。

 

しかし、日本では、自動車などの不祥事に対して、コッホCEOのような対応は見られません。これは、海外投資家にとっては、異様な世界に見えていると思われます。



引用文献

 

セブン&アイ、社長続投が焦点 退任迫る物言う株主―25日に株主総会 2023/05/21 時事通信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2023052000351&g=eco