検査・治療・ランキング
(検査・治療を例に、アーキテクチャの説明をします)
1)検査・治療のアーキテクチャ
体の調子が悪い時は、病院で検査を行い、治療します。
検査をしたままで、治療をしないことはまずありません。
これは、病院に行く目的が、体調を回復する(病気を治す)ことにあるからです。
健康診断や人間ドックの場合には、検査で問題があっても、治療に繋がらないことがあります。例えば、人間ドックで、問題が見つかっても、後で、専門医のところで、より精密な検査を受けてくださいと言われるだけです。ドックでは、専門医の精密な検査を予約はしません。
つまり、人間ドックでは、検査・治療のアーキテクチャが完全には機能しておらず、それが、検査の効力を弱めています。これは、医療全体のアーキテクチャがないために起こっています。
2)日野自動車
日野自動車で、排ガス検査のデータの捏造がありました。
この問題も、検査・治療のアーキテクチャで考えることができます。
2-1)検査=排ガス検査
排ガス検査を、アーキテクチャの検査ステージと考えると、検査の目的が、エンジン設計の改善にあれば、不正は起こりません。
エンジンの設計時点で、排ガスは測定して評価しているはずです。しかし、排ガスのデータには、ばらつきがあります。安全率を十分に取らないと設計時には、規制値をクリアしていても、その後で、規制値がクリアできていない状態は考えられます。
あるいは、試作品段階では、規制値をクリアしていても、量産ラインにのせた時点で、規制値を超えた可能性もあります。
マスコミが問題にしているのは、国土交通省が指定している量産ラインでの製品の品質検査だと思われます。
ここで、規制値オーバーが見つかった場合、量産ラインを見直すので、膨大な時間と費用がかかります。がんの検査で言えば、ここでの規制値オーバーは、病気がかなり進行して、治療が困難になった、高いステージの状態です。
排ガス検査は、一番最初は、設計時の試作品段階から、量産ラインまで、いくつかのステージで行われているはずです。早いステージの検査程、設計の変更へのフィードバックは容易で、遅いステージの検査程、設計の変更へのフィードバックは困難になります。
つまり、日野自動車の場合には、早期発見・早期治療(設計改善)のアーキテクチャが機能していなかったと想定されます。
最終的な検査を厳格に行う行政指導は、アーキテクチャの問題を放置しているので、治療(設計改善)に繋がらす、効果は期待できません。
2-2)検査=不正検出
検査・治療のアーキテクチャで、検査が不正検出にあたると解釈します。
データ捏造が見つかった場合、それを報告するようなシステムです。
このシステムでは、治療ステージが適正に設計されていないと検査ステージは機能しません。
3)ランキング
外部機関が、大学ランキングを発表しています。
ランキングの目的は、受験者の大学選びの参考資料を提供することです。このアーキテクチャは、検査・治療アーキテクチャとは異なります。
ミシュランやレストランの評価サイトのランキングも同じで、レストラン選びの参考にするためです。ランクを見て、レストランが味を改善する可能性はありますが、ランキングの作成者は、そのことを期待していないと思います。
ランキングの問題は、次です。
(1)評価の客観性の確保
(2)データの数の問題
(1)は、特にWEBの評価サイトでは、サクラ投稿や逆サクラ投稿が多数あります。ランキングをつける基本は、比較で、比較に使ったデータ(少なくとも視点)が添付されていると良いのですが、その例は少ないです。
(2)データの数が多いと、総当たりで調べるのが大変なので1次選抜をします。この基準と、選抜作業には問題が起りやすいです。
4)統一教会問題
国会議員の統一教会問題では、統一教会との関係は、各議員の自己申請です。
自己申告は、検査の客観性を保証していません。
統一教会以外の問題のある宗教法人を除く理由もありません。
問題があるか否かは、党本部でチェックするにしても、その場合には、すべての活動記録をデジタルデータとして保存し、問題が見つかった場合には、常時、遡って、検索調査できるシステムの構築が必要です。これも、問題のある政治活動をチェックするアーキテクチャですが、野党でも、この問題は扱っていません。要するに、与野党ともブラックのままで置きたいようです。
この検査には、治療ステージがありません。
がん検査で言えば、肺がんが見つかって、患者は、タバコの吸い過ぎが悪いと非難されているだけで、治療はしない方法です。
この検査には、目的がありませんので、アーキテクチャが不明です。
選挙の参考にするのであれば、マスコミは、ミシュランのように星をつけて、議員の問題度ランキングを公開することも可能です。
今のところ統一教会問題議員のランキング表は出ていません。