IMF待望論

1)異次元の少子化対策

 

5月19日、岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」をめぐって、政府が年間3兆円規模の追加財源確保を想定していることが報じられました。

 

財源に関しては、公的医療保険に上乗せ徴収する案が有力といわれています。

 

問題点を整理しておきます。

 

(a1)「異次元の少子化対策」には、効果があるというエビデンスはありません。エビデンスを計測する計画もありません。

 

少子化の原因が、若年層の所得の減少と、結婚率の低下にあるという仮説もあります。この仮説が正しければ、「異次元の少子化対策」の効果は非常に、限定的で、他の政策より、効率が悪いので、お金を投じるべきではありません。

 

(a2)日本では、エビデンスバースの政策決定が全く行われていません。その結果、効果のない無駄な予算が全く削減されていません。これは、政策決定が、科学を無視していることを意味します。

 

(a3)財務省は、節約せずに、実質的な増税だけを考えています。補助金のカットは一つも出てきません。公共財の基本理論では、補助金は、市場をゆがめ、生産性の向上を阻害して、中期的には、市場と企業をつぶすことになっています。公共財である教育や基本的人権に係る医療や年金の支出を減らしてまで、産業振興に補助金を投入すれば、消費が冷え込んで経済はつぶれます。

 

2)IMFによる韓国救済

 

1997年のIMFによる韓国救済の説明をしたHPから、以下に一部を引用します。

 

現在の日本には、IMFによる救済が必要なのかもしれません。

 

 

当時の韓国では、通貨危機が起きた1997年末の1ヶ月足らずで、それまで議論されてきた改革案の数年分が一気に決定されている。

 

日本の財務省に当たる財政経済院の権限を減らし、中央銀行の独立性を高め、外国人の債券や株式の保有制限を緩和すること。銀行の融資先を政府がコントロールしてきた金融政策を改めること、などである。国内政治ではいろいろな利権が絡んで難しかった改革が、IMFという「進駐軍」の上陸を許すことにより、大幅に前進させたといえるかもしれない。

 

こうした諸改革が進み、また企業の危機意識の高まりから、外向きな経営が促され、世界に打って出る「英語教育」まで徹底された結果、今の「KOREAN POWER」が生み出されたのかもしれない。

 

少しデータでその当りを探ってみよう。

 

IMFショック前に年間経済成長率が7.4%(93~97年平均)であったものが、その後は6.7%(99~03年平均)へとペースはダウンしたが安定成長へと軟着陸し、同時に、国際収支は-7.9%(93~97年平均)の赤字から、14.2%(99~03年平均)の黒字へと大幅改善を果たした。さらに、弱体化を経た韓国ウォンは、対円為替レートを危機前年(1996年)高値時の1ウォン=0.145円から1998年以降は同0.9円へと大幅切り下げに成功し、産業競争力を格段にアップさせている。

 

 

引用文献

 

怖いと思うから怖い?IMFショック後の韓国の絶好調に思う 採用活動ナビ

https://www.direct-recruiting.jp/topics/knowhow/category_010465/detail_0008.html