社会的説明責任

1)広島マツダの「障害者への差別動画」騒動

 

加谷珪一氏が、Newsweekに、「障害者への差別動画」騒動を取り上げています。一部を引用します。

 

 

自動車販売会社である広島マツダの社員が障害者を揶揄する動画をアップし、同社が謝罪したものの、さらに炎上が拡大するという出来事があった。

 

(中略)

 

つまり日本では、差別する意図がなければ何を言っても自由であり、意図がない以上、当事者には直接謝罪しないことが当然視されていることになるわけだが、これはグローバルな企業社会における価値観と著しく乖離している。

 

近代社会においては「思い」ではなく「行為」によって判断する、あるいは「自身がどう思うのか」ではなく、「相手がどう受け止めるのか」によって判断するというのが大原則であり、本人にどんな意図があったかは問われない。この原則を崩してしまうと、当事者が正しいと思えば、どのような不当な行為も正当化されるということになり、異なる文化圏同士で適切な交流ができなくなってしまう。



 

加谷珪一氏の話題は、「障害者への差別動画」についてのものです。

 

加谷珪一氏の表現には、目的語が省略されていますので、補えば、次になります。

 

近代社会においては、(社会は、障害者への動画のが、差別か否かを)「思い」ではなく「行為」によって判断する、あるいは「自身がどう思うのか」ではなく、「相手がどう受け止めるのか」によって判断する。

 

この表現(大原則)は、次のように一般化できます。

近代社会においては、(社会は、Xの妥当性を)「思い(発言の意図)」ではなく「行為(行動の結果)」によって判断する、あるいは「自身がどう思うのか」ではなく、「相手がどう受け止めるのか」によって判断する。

 

この大原則は、重要です。

 

たとえば、「X=アベノミクスの第3の矢の構造改革」、「X=日銀の大規模金融緩和」、「X=デジタル庁」、「X=マイナンバーカードのバグ」とおいてみれば、そこには、「X=障害者への差別動画」と全く同じ構造が見られます。



2)出典の問題

 

加谷珪一氏の大原則は、その通りなのですが、出典を思い出せません。

 

加谷珪一氏は、日本の閉鎖的ムラ社会の意識が、世界の大原則と相容れない原因であるといいます。

 

つまり、和文献で、出典を探すことが難しそうです。

 

たとえば、社会的責任(social responsibility)も、日本の閉鎖的ムラ社会の意識が、世界の大原則と相容れないケースです。

 

日本語のウィキペディアは以下です。

 

 

社会的責任(しゃかいてきせきにん、英: social responsibility)とは、市民としての組織や個人は、社会において望ましい組織や個人として行動すべきであるという考え方による責任である。

 

英語のウィキペディアは以下です。

 

社会的責任とは、個人が残した世界を継承するコミュニティの利益のために、個人が他の個人や組織と協力し働く義務があるという倫理的枠組みです。

 

社会的責任は、経済とその中に住む生態系とのバランスについて、すべての個人が維持しなければならない義務です。

 

ここが違っていなすので、企業の社会的責任も、日本の閉鎖的ムラ社会の意識が、世界の大原則とは相容れなくなっています。

 

出典をさがす良いアイデアがなかったので、beingに聞いてみました。

 

知らない間に、beingは、クレードアップしていて、20回まで、プロプトを受け付けるようになっていました。

 

ただし、beingの文献検索では、出典がわかりませんでした。これは、日本語の文献が、日本の閉鎖的ムラ社会の意識になっていて使えないことも影響しています。

 

今回は、日本語で、プロンプトを書きましたが、英語の方がよかったかもしれません。

 

3)AI国家戦略



 Anita Ramaswamy氏は、大規模言語モデルが、既に、幾つかの業種に影響を与え、株価が変動しているといいます。

 

一方、マイクロソフトとアルファベットの株価は今年、それぞれ32%と18%上昇しています。

 

 Anita Ramaswamy氏は、大規模言語モデルは、GARAM以外には手が出ないといいます。(以下引用)

 

 

これら巨大IT企業間の競争は熾烈(しれつ)を極めるだろうが、大規模言語モデルをゼロから開発するには信じられないほどのコストと時間がかかる。対話型AIに対する投資家の熱狂にもかかわらず、挑戦者がほとんど出てこないのもそのためだ。

 

ビッグテック企業はバランスシート上に合計2500億ドル(135円で,33.75兆円)以上の資金を保有している。そして規模とデータは重要な鍵だ。クラウドコンピューティングや、その前で言うと電子商取引の初期と同様に、AIの台頭によって生み出される価値の大半を享受するのは巨大企業だろう。それ以外の多くの企業にとっては、生き残りをかけた戦いが始まったばかりだ。

 

 

 Anita Ramaswamy氏の見立てが正しければ、日本企業は、大規模言語モデルを作れませんので「AI国家戦略」は、最初から、問題解決(AI技術の開発)を目指したものではなく、AIにかこつけて、補助金をとって利権を山分けすことが主たる目的であることになります。

 

「Worldwide Governance Indicators(WGI)」の2018年版では、日本の「国民の発言力と説明責任」は、G7では最下位になっていますので、日本の閉鎖的ムラ社会の意識は、世界の大原則と相容れないと言えるでしょう。



引用文献



コラム:対話型AI革命、ビッグテックが勝ち組 弱者はたちまち敗退か 2023/05/17 ロイター Anita Ramaswamy

https://jp.reuters.com/article/breakingviews-ai-big-tech-idJPKBN2X607X




広島マツダ「障害者への差別動画」騒動には、日本を「貧しくした元凶」が表れていた 2023/05/17 Newsweek 加谷珪一

https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2023/05/post-234.php