固執の方法と前例主義

1)固執の方法

 

パースの固執の方法の例は、宗教でした。

 

日本では、一神教の宗教の信者は少なく、宗教の教義はフレキシブルです。

 

なので、宗教が固執の方法につながる例は多くありません。

 

2)前例主義

 

宗教に変わって、日本では、固執の方法は、前例主義として行われています。

 

これは、無批判に繰り返られます。

 

OJTの学習も、内容は、単に、前例を学習するだけであったりします。

 

データサイエンスや、IT関連の情報になれてしまいますと、1年前と同じイベントを繰り返す場合には、何かを見落としして、間違ったのではないかと気になります。

 

前例主義が全て悪いとは言えません。

 

これは、「ブリーフの固定化法」で、科学の方法をとらない場合に、100%ブリーフが検証されないわけではないことに対応します。

 

しかし、まぐれでブリーフが検証されることもあります、

 

つまり、結果主義は、能力主義ではありません。

 

先例主義は、オプションBを否定しています。

 

これは、社会はレジームシフトしている時には、致命傷となる「ブリーフの固定化法」になります。

 

3)前例主義と権威の方法

 

パースが指摘したように、固執の方法と権威の方法は、独立している訳でなく、オーバーラップがあります。

 

前例主義は、どこかで切り替える必要が出てきます。

 

どこで、切り替えることがベストかという問題は、科学の方法でなければ解決できません。

 

オリンピックで、連続して金メダルをとる選手は稀です。

 

つまり、4年前の成果は、4年後の実力とは関係がありません。

 

生成AIのような分野では、4年どころか、1年前の成果が、実力を反映しない場合もでてきます。

 

前例主義は、切り替える必要が出てきます。そして、それは、技術進歩の早い分野程、短期に切り替える必要があります。

 

1980年代までの日本で、前提主義がある程度成功をおさめた理由は、そのころの技術進歩がおそかったからです。