ソフトウェアを作る話

 

(ソフトウェアを開発できる企業文化は限定されます)

 

オランダ企業で最大の時価総額を誇るASMLは「半導体露光装置」のメーカーです。この分野ではかつてニコンキヤノンが大半のシェアを持っていましたが、現在はその一部から2社とも撤退しています。

 

ASMLの水平分業はソフトウェアを作って、ハードウェアを水平分業で外注しているアップルのiPhoneに似ています。

 

ニコンキヤノンも水平分業していたら、シェアを失わずにすんだのでしょうか。

筆者は、仮に、ニコンキヤノンが、水平分業していても、成功しなかったと考えます。

 

それは、日本のメーカーはソフトウェアを作れないと考えるからです。

 

ソフトウェアは、演繹に次ぐ演繹で作るアートです。

 

ヒストリアン思考をしている限り、規模の大きなソフトウェアは作れません。

 

ソフトウェアを作るためには、コーディングできる能力は必要ですが、全体に占めるコーディングの作業の割合は次第に減っています。

 

しかし、ソフトウェアの設計は、最終的には、コードが出来上がることを前提に、論理を組み立てなければなりません。

 

ソフトウェア本体はアルゴリズムですが、データを入力し、出力の利用するためには、全体のアーキテクチャを設計する必要があります。

 

アーキテクチャは、最終的には、アルゴリズムをコード化したソフトウェア本体と入出力から構成されます。アルゴリズムを作るには、モジュール設計が必要で、モジュールを実装する作業がコーディングになります。

 

このように書くと、面倒くさい、くどいと感じる人が多いと思いますが、ソフトウェアの開発は、このようなくどい演繹を繰り返して行く作業です。

 

「キーワードを並べて、あとは、任せるから、適当にやっておいて、前例をみれば、いちいち説明しなくともわかるでしょう」という対応では、ソフトウェアは開発できません。

 

ソフトウェアは、複数の人が分業して開発しますから、モジュール間のパラメータの引き渡しが完全でないと破綻してしまいます。とんでもなく、厳密に書かないと上手くいきません。

 

フリーウェアは、世界中のボランティアが分業して開発しています。残念ながら、Rubyを除くと、日本人の参加者は、極めて例外です。

 

ソフトウェアは開発する前に、何が、問題で、どのようにして、何を解決するかを事前に決めないといけません。これが、アーキテクチャです。

 

政府は、キーワードに予算を貼り付けるだけで、アーキテクチャがありません。

これは、政府がソフトウェアを開発できる組織文化をもっていないことを示しています。

 

個別の企業については、詳しく見ていませんが、似たような企業文化が多いのではないでしょうか。

 

つまり、ソフトウェアが開発できる企業文化をもっている企業は少ないと感じます。

 

参考文献




データサイエンティストは、いまもなお「21世紀で最もセクシーな職業」なのか

2022/08/15 ハーバードビジネスレビュー トーマス H. ダベンポート、 D. J. パティル

https://dhbr.diamond.jp/articles/-/8782

 

Is Data Scientist Still the Sexiest Job of the 21st Century?

by     Thomas H. Davenport and DJ Patil July 15, 2022 

https://hbr.org/2022/07/is-data-scientist-still-the-sexiest-job-of-the-21st-century