成長と分配の経済学(30)~2030年のヒストリアンとビジョナリスト

特攻とアンシャンレジー

 

(特攻とアンシャンレジームはよく似ています)

 

昨日の8月15日は、77回目の終戦記念日でした。

 

その中に「マルレ」と呼ばれる水上特攻の記事がありました。

 

戦争末期には、特攻で、多くの人命が失われました。

 

しかし、人命に見合うだけの戦果は全く得られませんでした。

 

つまり、エビデンスに基づく、戦術をたてていれば、特攻はありえなかったことになります。

 

コロナ対策や、デジタル化推進のために、膨大な補助金がつぎ込まれした。

 

しかし、コロナ対策も、学びなおしや、業種転換の補助金はなく、同じビジネスを続けることが前提ですので、アンシャンレジームになっています。

 

GoToトラベルなどの補助金は、需要の先食いをするだけで、中期的な効果はないことがわかっています。

 

日本の財政は、補助金増で、悪化して、前回の戦争の時の戦時国債のレベルを越えています。

 

今回も、特攻の時と同じように、エビデンスに基づく評価は行われていません。

 

そもそも過去の政策評価をして、その結果を次の政策の改善にフィードバックする仕組みがありません。

 

事業評価の目的は、合格点を出すことにあり、エビデンスから、次の事業の改善のためガイドラインを改善する手順になっていません。

 

事業評価という手段が目的化して、本来の目的である将来の事業のやり方の改善に資する部分が抜けおちています。この責任の半分は、民主党の事後業評価の誤った利用法にあると思います。

 

効果のない経済政策で、特攻のように直接人が死ぬことはありませんが、経済が破壊されます。

 

経済が破壊されれば、間接的に貧困で死ぬ人も出て来る可能性があります。

 

戦争末期には、資材は全くなく、実効のある戦果を上げられる作戦は組めなくなっていました。そこで、エビデンスを無視した言霊によるカルトな戦術が採用されていきます。

 

特攻はその一部です。

 

工業社会が終わり、先進国は、デジタル社会にレジームシフトしています。

 

日本だけが、実効のあるデジタル時代の先進国へのレジームシフトをする戦術が描けず、カルトになってきているように見えます。

 

前回の戦争の時の資材は、鉄と石油でした。

 

デジタルの資材は、ICとIT教育をうけた高度人材です。

 

どちらも、不足が改善しないので、現在のDX戦略は、特攻と同じように効果がないと思われます。

 

77年たっても、失敗から学ぶという、歴史の再構築ができているとは思われません。