(第3章のテーマは、科学の方法です)
「2030年のヒストリアンとビジョナリスト」の第1章のテーマは、「ヒストリアンとビジョナリスト」でした。
第2章はまだ、完成していませんが、検討の中心は、帰納法の問題とジョブ型雇用です。
現時点は、この2つは混在しているのですが、将来的には、分離した方が読みやすいのかもしれません。
そして、第3章のテーマの一つは、ビジョンまたは、仮説です。第2章は、帰納法には問題があることを指摘していますので、第3章では、帰納法に替わる科学的アプローチの説明を入れないとバランスが悪くなります。
第2章の原稿を書いている時には、間違って帰納法を科学と勘違いしている人が多いので、それを指摘することに主眼がおかれていました。
しかし、最近では、そもそも科学的方法をとるつもりがある人がいないのではないかというように考えるようになりました。
たとえば、2019年に、「数理資本主義の時代」という検討委員会を経済産業省と文部科学省が作っています。
その中で、有識者の発言を引用して、現在では、数学が必要であると羅列しています。
これは、権威主義の姿勢であって、科学的でありません。
おそらく、「数理資本主義の時代」の資料をまとめている人には、「数学」は、難しいものという先入観があると思います。
つまり、「難しい数学を使いこなせないと世の中の進歩についていけない」といった先入観です。
しかし、これは、間違っていると思います。
数学者や技術者が、数学を使い、数式を使うのは、それが簡単だからです。
最近では、数式の代わりに、サンプルコードをのせることもありますが、そうする理由は、それが簡単だからです。
問題が、少しでも複雑になると、文章では、面倒でとても表せません。
変数が使え、変数にスコープが設定できれば、とても便利です。
原因が1つ、結果が1つ、なおかつ変数が確率分布を持たない場合であれば、文章でもなんとかなりますが、パラメータの数が増えて、確率変数が入ってくれば、文章ではどうにもなりません。
要するに、実際の問題を記載して、解くためには、数学やプログラミングができないないとスタートにすらつけません。
これは、「123x456x789」を文章で書くと、悲惨なことになるのと同じです、
書くのが大変な上、読むのも大変です。統計では、誤差を問題にしますので、この掛け算に、有効数字がはいって、123.00のようになります。こうなれば、文章では、お手上げです。
「数理資本主義の時代 」という資料が、科学的なアプローチでかけていないこと、それが、気にならないことは、状況が非常に困難なことをあらわしています。
結局、科学の方法がマスターできていないと、問題を科学的に分析できなくなります。
これでは、間違いが、無限に繰り返されることになります。
問題を記載できなければ、問題を解く前に、座礁してしまいます。
現象が複雑であれば、数学を使うことが、一番簡単です。文章で考える場合にも、用語の定義を明確にしておかなければ、検討の議論もできません。
英文の湿地復元のパンフレットやマニュアルをみると、付録に、用語説明が、のっています。そこでは、国語辞典のように、こうした意味で用いられるという説明ではなく、この用語の意味を初めて明確に定義した、出典の論文すら載っています。つまり、用語は、エビデンスに基づかないと空回りするからです。
数学を使うことは問題解法の一面にすぎません。数学で、かけない場合には、エビデンスに基づいた概念をつかうことになります。これは、数学よりは、かなり厄介です。
まとめますと、第3章では、科学の方法の欠如の問題を大きな主題として取り上げる必要がありそうです。
引用文献
数理資本主義の時代 ~数学パワーが世界を変える~
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/risukei_jinzai/20190326_report.html