1.1 問題の所在~2030年のヒストリアンとビジョナリスト(新01)

これから「2030年のヒストリアンとビジョナリスト」の記事を、追加執筆して、再生整理してみます。今回は、新シリーズの第1回目です。

 

現在の日本の解決すべき問題には、次のようなものがあります

 

1.経済成長の停滞と賃金の伸び悩み

2.少子化と高齢化

3.男女不平等問題(賃金、役員比率)

4.科学技術振興とDX対応

 

最初に断っておきますが、筆者は、これらの課題の専門家ではありません。これらの課題については、問題点が指摘されてから、時間が経過しているにもかかわらず、解決が進まないという共通点があります。俗に、「変わらない日本」と呼ばれる症状です。専門家の指摘は、恐らく、正しいと思います。では、どうして「変わらない」のでしょうか。

 

これが、「2030年のヒストリアンとビジョナリスト」のメインテーマです。

 

日本では、今まで、30年間、変わると所得が下がってしまう状態が続いてきました。

 

一方、米国を中心とした資本主義の世界では、データサイエンス革命が進行して、パラダイムシフトが起こりました。

 

データサイエンス革命は、自然科学や工学だけでなく、社会科学と人文科学にも、パラダイムシフトを引き起こしました。

 

データサイエンスは、劇的な労働生産性の向上をもたらし、高度人材の給与を引きあげました。



データサイエンスの中心は、ソフトウェアで、ソフトウェアを作るには、ビジョンが必要です。

 

データサイエンスが経済の中心になった米国では、価値は、ビジョナリストが生み出します。

 

労働生産性を中心に考える経済の視点でみれば、世の中には、ビジョナリストとヒストリアンの2種類の人間しかいません。

 

ビジョナリストは、データサイエンス革命というパンドラの箱が開いて、登場した新しいタイプの人間ですが、米国では、古くからいたヒストリアンを駆逐してしまいました。

 

これに対して、日本では、未だ、ヒストリアンが、主流で、ビジョナリストは、マイノリティか、絶滅危惧種です。

 

米国では、グーグルのようなトップクラスのIT企業では、新卒社員に2000万円前後の報酬を支払っていますし、一般的な企業においても、大卒新入社員の年収が600万円を超えます。日本の新卒の年収は、240万円程度です。

 

この差は、春闘での賃上げレベルで埋めることはできません。

 

筆者は、ここで、「ヒストリアン対ビジョナリスト」という視点で、何が起こっているのかを解析することで、「変わらない日本」の本質を理解し、改革への道筋が明らかになると主張します。